クロッキーF美術館コレクション vol.2007 may 9

11 picters
(500mm x400mm)
acryl gouache , sumi

<画 材> アルリル、墨、ジェッソ、
     筆、刷毛、割り箸、霧吹き
      約400×500の紙(画用紙、白ボール紙)
<時 間> 指定時間固定(合計1時間)
<モデル> NBさん

note
 1対1で描くのは何年ぶりだろう。これからの作家としての方向性を見極めるために自分と向かい合いたい、と思いながら描いた。これまでは自分のため、あるいは、絵画を描く人(作家)を意識して描いていたが、これからは絵画をあまり勉強していない人を対象にしたい。

 とはいうものの、準備は不十分。自分のアトリエを使わなかったことが原因だ。結果として、画用紙に墨(いつものと同じ)を使った。しかし、1枚目を見れば分かるように面白くないし、色気がない。私は、色を使うべきだと判断した。一般の人々が絵画を見る時、色があるなしでは第1印象が大きく違うから、同じ内容でも色を使う必要がある。

 まず、赤を入れた。でも、赤い絵具が品切れで、茶色と赤のようなチューブをひねった。それから、墨で黒い線を入れた。ルオーのような線が出て来た。あまり描くとダメになってしまうから、1本1本の線を大切にして、しかも、黒については面を感じるようにして仕上げた。

 3枚目は黄色を入れた。仕上げに白だと思ったチューブはパールっぽい金色だった。まとめるはずの色で、これまでの仕事がばらばらになってしまい、捨ててしまおうかと思ったけれど、そこそこまで修正した。

 4枚目はパールを中心に描いた。とても美しい色だからである。それに合うように、黄色と赤、そして、黒を入れた。黒には墨ではなく、リキテックス社のマースブラックを使った。紙に馴染まない調子がとても美しく、満足した。手前は、墨を混ぜ、落ち着かせた。

 5枚目は、オレンジ色が入った。赤がなくなったからである。オレンジが墨を弾き、面白い効果を上げた。

 6枚目からは、地塗りしたボール紙を使った。地塗りは薄い黄緑色で大変爽やかなものである。しかし、モデルの雰囲気が油絵のように濃密に感じたので、その紙の調子は不安だった。描きはじめると、地塗りのタッチにマースブラックが上手く乗らなくて、困った。薄緑色も合わない。困りながらも描き進めると、マチスのようになり、満足した。モデルのフォルムが画面に美しく配置され、私は満足している。

 中略

 合計1時間ほどの作業だったが、これからの方向性が見えてきた。

 取りあえず、赤い絵具が欲しい。

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