クロッキーF美術館コレクション vol.2009 July 13

19 pictures
A3 (420 x 297, thin paper)

画 材: 鉛筆、A3上質紙
時 間: 指定時間固定(90分)
モデル: ヴァリー
小道具: 帽子、アクセサリー

note
 久々のヴァリー登場で大変喜んでいる。

 始める前に飲食物を使って脳内モードを切り替えた。これは重要な準備で、クロッキーは始まりが大切だ。初めの1、2枚はウォーミングアップとしての要素が強いが、ウォームアップ段階から上手くいかないと後が続かない。また、事前の脳内モードが今回とは別なチャンネルに入ると、初めの1枚がとても『初々しい作品』になる。場合によっては、その後の全作品と比較して1番になることがある。これはクロッキーに対する喜び、チャレンジ精神、そして、慎重さがバランス良く反映された結果である。

 その後は、新しいポーズやこれまでのポーズを織りまぜながら順調に進んだ。ポーズについては、作品を観る人を十分に意識した現場が良かったのかも知れない。作品は、観る人がいなくなった時にその生命を失う。

 小道具は突発的に登場した。長続きしなかったのは面白い結果だ。

 1時間を過ぎたところで、突然新しいモードへ入った。後から振り返ると、そのスイッチは、モデルのポーズ(あるいは、画面)を突き破った意識(あるいは、行動)だった。私は次のポーズも同じのチャンネルで捉えようとしたが、目前のポーズがあまりに魅力的だったので、再びモデルの形態に囚われてしまった。もちろん、形態にはモデルの意志が宿っているから、問題は私自身にある。私が強く、形態を超えたモデルの強い表現や感情から入ることができれば、未知のモードに突入していただろう。シーレが描いた『ヴァリーの意志や覚悟』を描くことができたのではないか、と直感している。

 現場のクロッキーは90分で途端に終った。私が素面のモードになってしまったからである。その原因は不明であるが、今回のクロッキーの収穫から考えれば妥当だったと思う。

 ところで、私が最近のクロッキーに求めているものは、クロッキーFの定義をするための実践(研究)だ。理論はいつでも1人でもできるから、私は現場のあらゆる可能性を求めて旅をしなければいけない。全ての可能性を試したい。できないなら、その定義内における全ての可能性を予見したい。

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