note
とても長い時間をかけて描いた。モデル彩海のリズムに合わせるように、あるいは、それよりも遅くするように心掛けた。
前回のポーズは全く定まらなかったが、今回は違った。彩海によると「今回は1つずつにテーマを持ってポーズした」そうだ。なるほど、私はほとんど思考することなく一般的な手順にしたがって描いた。その結果として生まれた作品は、彼女が意図することを表現しているように思う。
例えば、「立っても良いですか」といってポージングした掲載8点目の作品(左)は、初めての立ちポーズだった。私は何か大切なものを抱いているように感じたが、あえてそれを意識することなく描き進めた。後から話を聞くと、彩海は未来の自分の子どもを想ってしていたそうだ。
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左のポーズでは何を思っていたのか私は知らないし、聞いてもいない。しかし、とても普通のことを思っていたのだろう。さもなければ、私がこんなに素直なものを描くはずがない。描き終えたこのクロッキーを見て、私が「とても普通の作品ができてしまい、面白くない」と評したら、彩海は「普通は面白くない」と言うものの、絵画としては普通の作品を好むようだった。
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長時間のクロッキーが終り、帰る段になってから撮影が始まった。今日のコスチュームが面白く、記念写真を1枚撮ろうとしたのである。しかし、だんだん欲が出てきて約750カット撮影した。大変な宿題ができてしまったが、うまくいけば作品として発表しようと思う。そうなることを願っている。