note
モデルさんが長い時間をかけて選ばれた着物を使った。選択のポイントはたくさんあるが、その1つに着物の地色の白とモデルさんの肌の白の相性がある。
着物は浴衣とは違い「袖の重さが重要だ」というアドバイスを頂き、私は質量を感じるように心掛けた。しかし、上手くいったかは着物の専門家ではないので良く分からない。
さて、着物を描くのはnudeよりも簡単だった。人体のポイントを押さえれば、その他は比較的自由に表現できるからである。描き初めはとても順調で、気楽に描くことができた。しかし、着物のがら(模様)を描き始めた途端に苦しくなった。絶対的な作業時間が必要になる。描くことはできるが、ある一定量の時間が消費されることが事前に予定されてしまうことが面白くなかった。それでも我慢すればそれだけの価値はある。ただ、それが自分の作品作りの中で、どのような位置付けになっているのか曖昧なのが良くない。この先、目的を明確にすれば、単純作業時間も楽しくなると思う。
ほぼ完全なnudeを描いた時、とても懐かしい気持ちになった。自分の手の筋肉がいくつもの動きを覚えていているだけなく、目や耳やその他複数の感覚器官がモデルからの情報を受け取る方法を覚えていて、全自動で画面が完成していった。いつもの描き慣れた日常の感覚で、自分のリズムとあまりに一致してしまうので、還ってドキドキした。