クロッキーF美術館コレクション vol.2009 Dec 3

22 pictures
A3 (420 x 297, thin paper)

画 材: 鉛筆、A3上質紙
時 間: 3分×14、5分×8
モデル: ながあめ
小道具: 竹刀、小冊子

note
 私はモデルの真横に座った。そして前半3分、後半5分で22ポーズ描いた。鉛筆の準備が不十分で、芯を削りながら描いたので時間配分が上手くできなかった。芯を削る作業には、描く作業とは異なる時間が流れる。途中で削るなら、初めにプログラムしておくか、秒数をカウントする必要がある。

 次に、この会の直前に行ったクロッキー講座についてメモしておく。受講者は初心者から描き慣れた方までの5人で、すでに個性豊かな独自の表現方法を持っている方々の集りだった。

 モデルを使って描く前にそれぞれの要望や課題をお聞きしたところ、(1)臨場感や動きのある描き方を知りたい (2)ダブルポーズの描き方を知りたい (3)3分間で全体を描く手順を知りたい (4)力強い線の描き方を知りたい (5)初心者なのでクロッキーの基本を教えて欲しい、だった。私は、まず『力強い線の描き方』、次に『クロッキーの基本』について、それぞれ5分程度指導した。

力強い線の描き方

(1)鉛筆の持ち方
 とりあえず、何本か力強い線を描いて下さい。(ホワイトボードに描いて示しながら)こんな感じです。・・・線はさておき、自分の鉛筆の持ち方を振り返ってみましょう。みなさんが描いていた様子を拝見すると、鉛筆の持ち方が2種類ありました。どちらが良い悪い、ということはないのですが、持ち方によって線の質が変わります。文字を描くように持つと指の関節を動かせるので、しっかりとした線を良くコントールして描くことができます。鉛筆の軸を握るように持つと指ではなく、手首や肘の関節を動かして『力強い線』を描くことができます。しかし、今回使っている紙の大きさはA3サイズ、あまり大きくないので、文字を描くときの持ち方が良いでしょう。力強さも大切ですが、小さな紙に全身を捉えるポイントを学ぶ必要があるからです。それでは鉛筆の持ち方に注意して、もう一度『力強い線』を描いて下さい。

(2)紙の質(素材)
 力強い線をホワイトボードで描くことは、大変です。なぜなら、ボードが堅くてつるつる滑るからです。みなさんが使っている紙は薄いコピー用紙なので、それを机の上に1枚だけ載せて描くと滑りやすくなります。しかし、何枚か重ねて描くと、下の紙がクッションになって筆圧を吸収し力強い線が描きやすくなります。もちろん、厚すぎるとぼやけた線になってしまいます。それでは紙の枚数を変え、タッチの違いを確かめて下さい。

クロッキーの基本

(1)クロッキーとは
 クロッキーの定義はいろいろありますが、今日行う3分クロッキーについては『身体の動きを素早く捉える描画』として定義します。3分では全てを描くことは不可能なので、モデルの動きを捉えることを課題とします。モデルさんも3分だからこそできる動きのあるポーズを取ることができるので、それを表現することを目的としましょう。そのためには細部にこだわることなく、全体の動きを掴むことが基本になります。

(2)全体を画面いっぱいに描く
 頭のてっぺんから足先まで、画面いっぱいに描きましょう。立ちポーズの場合、画面の上端5mmのに頭のてっぺんが、画面の下端5mmに足先が入るようにします。だからといって、先に頭のてっぺんや足先を位置を決めるようなことはしてはいけません。身体の中心部から描くことが基本です。重心がかかっている腰(腰骨)から、一気につま先まで描くようにします。その途中にある膝でひと呼吸すれば、膝の位置も決まります。頭頂も同じように、腰から肩(あるいは、脇の下や首)で一息入れて、頭頂部までひと筆で描くようにします。上端と下端は決まっているのですから、迷うことは一切ありません。あなたがその途中に選んだ中間地点(膝、肩など)の位置だけに意識を集中すればよいのです。つまり、腰からの角度、上端(下端)からの割合を測定し、それを正確に写せば良いだけです。これができるようになったら、さらにそれらの中間にあるポイントを探して、同じように描いて下さい。決定した2つの位置との関係『角度』と『長さの割り合い』だけに注意すれば良いのです。そして、注意したポイントの部分をしっかり濃くハッキリと描き、それ以外の部分を伸びやかに消えるほど薄く描いて下さい。あなたの絵はメリハリが効いたクロッキーになっていることは間違いありません。なお、着目するポイントはポーズによって変化しますが、大まかな部分は決まっていますので、別の時間に少しずつ学習しましょう。

その後、個別に指導した。以下に、主なその内容をメモする。

(1)顔と身体を区別せず、同じタッチで描く

(2)いつでも同じように画面からはみだす場合
 頭の大きさを10%だけ小さく描くようにする。ほどんどの人は、モデルが近くにいても遠くにいても同じ大きさに描く癖がついてしまっているので、腕を伸ばした立ちポーズの場合は、意識的に20%頭部を小さく描くようにすれば、ほどんどの場合解決する。もちろん、腹部を同じように小さくしても同じように成功する。それでも上手く行かない場合は、縦の長さではなく、横の長さに注意すると良い。細く身体にしてみよう。

(3)顔の各部を描く前に、髪と顔の割り合いを描く

(4)首の位置と左右の足の位置の関係

(5)骨盤の傾きと肩の傾きの関係

(6)しゃぼしゃぼの線を描かない

(7)左右の肩のラインを結んだ位置にある顔のパーツを探す

(8)ある目的を持って描き方で始めたら、途中で変更しない。とくに、古典的な写実を目的にするなら、上級者でなければ生身のモデルを使う必要はない。机上の学習の方が効果的である。

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