クロッキーF美術館コレクション vol.2009 Dec 26

18 pictures
A3 (420 x 297, thin paper)

画 材: 鉛筆、A3上質紙
時 間: 指定時間固定
モデル: ヴァリー

note
 前回ヴァリーを描いたのは7月26日だから、ちょうど5ヶ月経ったことになる。彼女はその頃と変わっていないと思うのだが、私は正確に彼女を見れないような気がして、HBの鉛筆を使った。ごまかしが効かない明確な線で描くためだ。2枚目は3B、3枚目は5B、4枚目は7B、5枚目は8Bの鉛筆だけを使い、だんだん柔らかな線を出した。それから、複数の鉛筆を混ぜたり、2Bの平鉛筆や5Bの平鉛筆を使ったりした。

 描いている時、ヴァリーは私の方を見いた。それは私にとってごく自然なことのように感じたが、最近では珍しいことかも知れない。視線が合うことは大きな励みになる。

 それから途中で会話したことの1つに、「それらしく見せるための技法」「芸術的に見せる手法」がある。その技法とは無限にあるが、例えば、画面への入れ方だったり、描き終えてから濃い線を入れたり、背景を入れたり、画面を擦ったり、しゅしゅっ・さらさらーっと描くようなものだ。そのような行為は作品の本質を曇らせるので、極力避けるようにしなければいけない、と話し合った。自然に生まれたもの、歪んだり汚れたものにこそ、真価を見い出すチャンスがある。それらを消し、画面を整えることは、野生動物の牙を抜くようなものだ。ある程度は仕方ないとしても、限度を超えたり、描く目的を見失ったりしないように十分注意しなければいけない。自然の摂理に背く行為は、芸術といえども慎むべきである。

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