クロッキー F 美術館

合評会を充実させる方法
    ─2つの目的とそれぞれの方法─

 クロッキー会は、美術学校のように専門のカリキュラムにしたがって学習するのではなく、クロッキーをしたい人が自由に集る場合が多いです。したがって、描いた後はばらばらに解散することになるでしょう。しかし、時間に余裕があるときは、各自のクロッキーを見せあって意見を交換しましょう。

 合評会は、たくさんの人が参加するほど実り豊かな会になるはずですが、目的や方法を曖昧にすると、時間の浪費につながります。したがって、司会者を決め、参加者の要望を聞き、目的を明確にして会を進めると良いでしょう。このページでは、目的を2つに分け、それぞれの方法を紹介します。

目的1:クロッキーの多様な見方を学ぶ

方 法
(1)クロッキーを見て欲しい人が、自分の作品を全て並べる
  ※ 良くないと思う作品も並べること! これが一番他大切です!!
(2)本人が良いと思う作品をいくつか選び、その理由を述べる
  ※ 悪いと思う作品は指摘しない
  ※ 理由が分からない場合は、とくに言わなくても良い
(3)参加者が良いと思う作品をいくつか選び、その理由を述べる
  ※ お世辞をいう必要はありません。良いと思わなければ、黙っていること

→ この合評会では、『作品の評価は、鑑賞者の嗜好や経験によって大きく変わること』が分かると思います。あなたが良くないと思う作品でも、「素晴らしい」と感じる人がいるのです。したがって、あなたは評価された作品のそれぞれの価値を認めなければいけません。それでも「私はこの私の作品は嫌いだ(あなたの嗜好が嫌いだ)」と主張することはできますが、他人の嗜好そのものは否定できません。その人の存在とその人にとって価値あるものは、誰も否定できないのです。繰り返しますが、この合評会の目的は、多様な価値をもった作品を認める大きな心を育てることです。
雰囲気:和気あいあいとした、楽しいものです

目的2:クロッキーの描き方の学ぶ

方 法
(1)クロッキーを見て欲しい人が、自分の作品を全て並べる
  ※ 良くないと思う作品も並べること!
(2)本人がうまくできなかったものを指摘しながら、どのようしたら描けるか質問する
  ※ ・・・のように描きたかった、・・・が描きたい、と具体的に質問すること!
(3)参加者が挙手をして、その目的にあった表現技法を具体的に教える
  ※ 本人の目的に合わせて答えること。それ以外のことを言ってはいけません
  ※ 本人の作品の中から(一部分から)上手くいっている部分を指摘することは、よい教え方です

→ その技法が本人とって有効であるかどうかは別として、そのような技法があることは学べられます。この時の注意点は、他人が紹介した技法を否定しないことです。それでも否定したい場合は、険悪なムードを回避するために、自分の作品を見せながら自画自賛して下さい。その絵に使われた技法として紹介します。この会の目的は「いろいろなクロッキーの描き方を学ぶこと」ですから、それはとても良い方法です。
雰囲気:シリアスになりやすいので注意しましょう

合評会の司会者
 実際の合評会では、上記の2つの目的と方法が入り乱れることが多々あります。方針や方法がぐらぐらすると、参加者は何をどうしたら良いのか分からなくなってしまいますので、司会者はかじ取りを頑張って下さい。かじ取りができる代表者がいない場合、合評会の価値はほとんど無くなるので、場所を変えてティータイムにすることをお勧めします。

2009 2 21

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