クロッキー F 美術館

第6章 美術モデルのためのお話

初めてモデルになる日

1 はじめに
 どんなに度胸が座っている人でも、初めてモデルになる日はドキドキするものです。期待と不安が入り交じった気持ちになるのは、ごく自然なことです。このページは、期待を膨らませ、不安を軽くすることを目的に書きました。このページの内容すべて実行するのは大変ですが、プリントアウトして持ち歩けば、お守り以上の効果があるでしょう。回数を重ねるうちに、ごく自然にできるようになります。

2 前日までにすること
(1) 当日の持ち物の準備
   → 別ページ『美術モデルの持ち物』参照
(2) クロッキー会場の場所の確認(交通機関)
(3) 体調を整える
(4) 緊急連絡先の確認(モデル事務所、クロッキー主催者など)

3 当日は、15分前に会場へ到着する
 15分前に到着するのは当然のマナーです。事前に、場所だけでなく、交通機関や所要時間まで調べておきます。できるなら30分前に到着して、会場で待っているぐらいでも良いでしょう。時間はお金よりも重要であると考えて下さい。遅刻は絶対に許されません。回数を重ね、主催者と気心が通うようになっても、開始時間にはゆとりを持ちたいものです。終了時は、いろいろな事情があると思いますので、さっと帰っることができます。

4 主催者に挨拶する
 氏名(あるいはモデル名)を名乗り、「今日はよろしくお願いします」と言いましょう。モデルは雇用された身分であることを忘れずに、丁寧な言葉遣いをするように努めます。ただし、必要以上にかたくなる必要はありません。一般社会人としてごく普通に振る舞えば良いのです。雇用者である主催者にとっては『日常のひとこま』です。ただ、あなたと出会うのは初めてですから、あなたと同じように期待と不安が入り交じっています。同じようにどきどきわくわくしならが挨拶して下さい。

5 主催者と打ち合わせをする
 
「今日はどのようにポーズをさせていただければ良いですか?」と尋ねてみましょう。疑問や不安がなくなるまで、積極的に質問して下さい。これはとても重要なことなので、曖昧にしてはいけません。もちろん、モデル事務所を通して事前に打ち合わせができている場合は別です。そのような時は、「モデル事務所から、@@するように伺っていますが、予定通りでよろしいですか?」と確認して下さい。

主な打ち合わせ内容
(1)1ポーズの時間、休息時間、終了時間
(2)ポーズの内容
(3)その他、注意すること

6 更衣室で脱ぐ
 鍵をかけて更衣します。そして、きちんと畳み、鞄の中にしまいます。美術準備室になっている場合、誰かが用具を取りに入る場合があります。準備ができたら、簡単に脱着ができるモデル着を羽織り、スリッパを履きましょう。

ワンポイント:下着のあと
 作家としての私は、下着の痕について無関心です。ほとんど気にしません。むしろ、下着のあとが面白い場合、捉え難いポーズの場合はポイントして積極的に描くことさえあります。ただし、あまりに無造作なあとはダメです。創作意欲を削いだり、意識が散漫になってしまような痕はつけないようにしましょう。

7 みなさんの前で挨拶
 「モデルの@@です。よろしくお願いします」と挨拶しましょう。この一言は自分に対するけじめでもあります。そして、開始時間が来るのを待ち、主催者の合図があったらポーズを始めます。

8 1番初めのポーズ
 モデル着を脱いで、「よろしくお願いします」と一礼して、さっと始めましょう。モデル着はきちんと畳む必要はありませんが、ある程度まとめ、描き手の邪魔にならない場所に置きます。タイマーを自分で押す場合は、押し忘れないようにしましょう。

9 ポーズ中のこと
 ポーズ中は、そのポーズに専念します。ある程度時間が経過したら、次のポーズを考えても構いませんが、基本的に今のポーズの集中して下さい。ポーズとポーズの間は、何も言わず、タイマーをセットして、次のポーズを取ります。1ポーズ毎に「お願いします」と言う必要はありません。ただし、最後か最後から2ポーズ前に、「これで最後です」などと声をかけると親切です。全てのポーズが終了したら、黙礼して「お疲れ様でした」と言いましょう。

10 休息時間
 休息時間は、モデル着を着て、リラックスして時間を過ごします。会場を出る時は主催者に声をかけた方が良いですが、トイレには自由に行きましょう。飲み物やお菓子が用意してある場合は、遠慮なくもらうべきです。更衣室に閉じこもることはお勧めできません。とても疲れている時は、仮眠しても構いません。その後のポーズに休息が反映されれば、描き手は喜ぶものです。

11 着替え
 終わったら、更衣室を借りても良いか声をかけてからにしましょう。

12 賃金、交通費の請求
 次のスケジュールで時間に余裕がない場合は、事前に相談しておきましょう。前払い、あるいは、休息時間中に支払ってもらえるはずです。

13 クロッキー後の合評会
 もし興味を持っているなら、主催者の許可をもらって参加しましょう。個人的に見せて欲しい作家さんがいる場合は、個人的に頼んでみましょう。多くの場合、快く受け入れてくれるはずですが、強要してはいけません。また、自分が欲しい作品がある場合は、遠慮なく聞いてみましょう。もしかしたら、無料でいただけるかも知れません。ただし、数分で描いたクロッキーと言えども作家にとっては立派な作品です。それによって生計を立てている人もいます。絶対に強要してはいけませんし、たとえ金銭の収受がなくても何らかの形でお礼をするべきです。

14 別れの挨拶
 全ての用件が終ったら、出口付近で「今日はありがとうございました」と言って退席します。主催者に挨拶するは言うまでもありません。

2010年1月12日公開

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