このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録:物理学 2年(2003年度)です

 実験11 右手の法則1
              
                   2003 9 10(水)
                   第1理科室

  前時、電磁石(コイル)をつくり、それに電流を流すと磁界が発生することを確かめた。
  そして、+−を変えるとコイルのN・S極が変わることも調べたが、これらの関係を法則
  化しなければ小学生の遊びで終わってしまう。これから「右手の法則(右ねじの法則)」
  を学習するが、空間把握ができない生徒にとっては極めて難しいので、欲張らずにちょっ
  とだけ教えて終わることが肝要である。


  (上:4つの図は全て同じ。左から『電磁石』『コイル』『棒磁石』『右手の法則』。)

  <指導のポイント>
  とにかく欲張らないこと。親指が『磁界』、他の指が『電流』の方向を表わすことだ
  けを指導する。時間があまったら、簡単な問題練習をさせたり、生徒どおしで教えあ
  うようにする。これ以上の内容を教えると、数時間のにちに混乱を招く。


 <授業の流れ>
 1 前時の復習

  <説明の例>
  「前の時間の復習から入ります。釘の頭を左におき、それにエナメル線をまいて電磁
  石を作りましたが、そのエナメル線は手前から巻きましたか、それとも、奥から巻き
  ましたか。」
  「そうです。よく覚えていましたね。奥から巻きました。これを逆にすると、磁石の
  N極とS極が変わってしまうので注意して下さい。この極が今日の学習のポイントで
  すからね。では、電流を左から流し、ここまでをプリントに書きなさい。」
  
  (上:Aさんの学習プリント)

 2 右手の法則

  <説明の例>
  「極の調べ方を説明します。はい、右手を出して。そして、親指を立てなさい。オッ
  ケーって感じです。準備はこれで完了ですが、使い方が難しいので真剣に聞いて下さ
  い。いいですか、4本の指を電流の方向に合わせます。コイルの中をぐるぐる回って
  いる電流の方向に合わせます。この場合どうなりますか。親指は左を向きますか、そ
  れとも、右を向きますか。答はどちらかです。簡単です。全員に答えてもらいます。
  では質問! 左を向くと思う人?」
  「・・・」
  「右を向くと思う人?」
  「はい、正解です。この場合、鉄棒で逆上がりをするときの持ち方になりますね。こ
  れをプリントにスケッチしてまとめましょう。」
  
  (上:B君の学習プリント)

 3 練習問題(クラス全体で)

  <説明の例>
  「右手の法則の説明はここまでです。これから練習問題をやるだけなので、しっか
  りして下さいよ。まだ、授業がはじまって10分しか経っていません。さて、練習
  問題は何問になるか分かりませんが、5つ分のスペースは空けて下さい。自信がな
  い人は、コイルと右手をセットしにてまとめると良いでしょう。では、黒板に問題
  を書くので写しなさい。立体的な図は難しいと思いますが、図を書ければ、もうそ
  れで半分以上理解したと言えるので、丁寧にゆっくり書いて下さい。」

  (上:C君の学習プリント)

  <説明の例>
  は、省略しますが、コイルを縦にした場合もやりましょう。また、コイルの巻き始
  めの左右・上下を変えるだけでも混乱する生徒がいるので、クラスの雰囲気を読み
  取り、必要な量・質の問題を与えて下さい。答えは二者択一なので、必ず全員が挙
  手するようすれば、クラス全体の理解度が分かります。

  

  4 実習『コイルを作る』
  巻き方は2種類しかありません。上の練習問題に合わせてコイルを作らせることで、
  問題に親しみが沸くと同時に理解度が深まります。また、落ち着きのない生徒も静
  かに制作に取り組みます。

  (上:コイルをプリントに添付する)

  <制作のポイント>
  ・ コイルは5回巻きで十分
  ・ エナメル線の長さは15cm
  ・ コイルは、少し引き伸ばすと分かりやすい

  




 ◎ D君の学習プリント

  ・ 乾電池をイラストで書き込んであるので、電流の向きが視覚的によく分かる



 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A コイルを5つ以上つくり、学習プリントにまとめることができる
  B コイルを2つ以上つくり、学習プリントにまとめることができる

 2 科学的な思考
  A  コイルのまわりに働く磁界を立体的に把握することができる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 2種類のコイルの巻き方を、プリントにまとめることができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B コイルに流れる電流と磁界の方向の関係を正しく指摘することができる
   (右手の法則)


  授業を終えて
  たくさんのことは教えていないので、授業が終わった時点では生徒全員が理解
  していたようである。

  また、実際の授業では、前時の実験結果の確認の行った。その内容は下の通り。
  1) +−を変えると→  磁界の向きが逆になる
  2) 釘を抜くと→    磁力が弱くなる
  3) 巻き方を変えると→ 磁界の向きが逆になる
  4) 巻き数を増やすと→ 磁界が強くなる

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