このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第36時
実験12:水素をつくって調べよう

     2012 9 12(水)、14(金)
     理科室

はじめに
 気体の授業3時間目は、水素を作って小爆発させます。酸素と水素はいずれも小爆発によってその存在を確かめますが、酸素は線香、水素はマッチを使います。水素の爆発は楽しい実験なので、くり返し行わせて酸素との印象を明確に分けるようにしましょう。理論は実験の後です。また、時間の都合で、ここで中学1年生で学習する気体7種類を一覧表にしてまとめます。一覧表の配列はいろいろありますが、基本的に教科書に準じました。

他年度の実践
・ 実験5 水素の爆発  1年(2002年)


上:複数の試験管に1回の反応で発生した水素を集める生徒達


本時の目標
1 水素の特徴をまとめる
2 塩酸と金属を反応させ、水素をつくる
3 水素を小爆発させ、その存在を確かめる
4 7種類の気体(酸素、ニ酸化炭素、窒素、塩素、アンモニア、水素、塩化水素)を一覧表にしてまとめる

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 塩酸(5倍に薄めたもの)
  • 亜鉛
  • マグネシウム
  • 薬包紙
  • 試験管(5本/班)
  • 試験管立て
  • ゴム栓、ガラス管、ゴム栓セット
  • 水 槽
  • マッチ
  • 水素ボンベ(演示実験用)

授業の流れ
(0) 実験装置の準備

 試験管内で発生させた気体を水上置換法で集めるのは、今日で連続3回目です。写真右のように、本日の実験に使う器具を事前に用意させるようにしました。

 なお、塩酸、亜鉛、マグネシウムは授業開始後に準備させます。

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(1) 本時の内容紹介 (1分)

(2) 水素の化学式の紹介 (1分)
 初めに酸素の化学式『H2』を確認します。誰か知っている人? と問いかければ、何人かが挙手します。化学式を確認するのは『O2』『CO2』に続いて3回目なので、さらっと流すことがポイントです。

(3) 水素とは何か? (5分)
 水素はときどき耳にする言葉ですが、生徒の発表で印象に残った言葉は『爆発』です。昨年起った福島県の原子力発電所の『水素爆発』事故は、子ども達の未来に大きな負の遺産を残したものでした。13才の子ども達の口から聞く『水素爆発』は、大人の発言よりも重みがありました。


上:A組での板書


上:B組の生徒の学習プリント


上:C組での板書

(4) 水素の作り方、および、捕集方法 (3分)
 C組は(3)と(4)を入れ換え、水素の作り方から確認しました。写真下を見れば、展開例がわかると思います。水素の作り方は、生徒に発問すれば何人かが挙手して答えてくれるでしょう。


上:C組での板書(クリックすると拡大)


上:水素の作り方をまとめた板書例

(5) 実験操作のポイントの演示 (5分)
 私が演示している写真はありませんが、水素を作りながら行う操作上のポイント3つを紹介します。

Point1試験管を下向きにする
 水素は空気より軽いので、試験管の口を下にしておけば簡単には逃げません。試験管を口を上にしたものと下にしたものを生徒に示し、どちらが正しいか全員に挙手させてください。

Point2水上置換法で集める酸素の量
 酸素は、連続して試験管3本以上集めます。初めの試験管には空気がたくさん含まれていますが、だんだん減っていきます。1回の反応で何本も集めれば、それらを比較することができます。

Point3大きな音をたてるための水素量
 試験管いっぱいに水素を集めると、小爆発を起こしません。水素と酸素が一気に化合しないからです。理想的な割り合いは、水素:酸素=2:1、ですが、実際にあるものは空気です。したがって、試験管に集める理想的な水素は目分量で行うしかありません。生徒実験にはさまざまな条件があるので、いろいろ試させてみることが大切です。試験管半分以下でも大きな音を立てることがあります。なお、ヒュっ、という音は、試験管内に空気が吸い込まれる時に発生する音です。

(6) 生徒実験 (24分)
 (5)で操作ポイントを十分に解説し、生徒から出た疑問点を解決しておけば、スムーズに実験は進みます。


上:教師用実験台に置かれた塩酸入りビーカー(左)、薬包紙に上にあるマグネシウムの粉末


上:塩酸入り試験管にマグネシウムを入れる様子


上:逆さになっている試験管には、水上置換法で捕集された水素が入っている


上:水素を爆発させる様子


上:同上

(7) 気体7種類のまとめ (15分)
 残り時間15分になったところで、気体7種類をまとめるために教科書を読ませます。その後、各自で学習プリントに記述させます。時間内にできない生徒は宿題、早くできた生徒は実験の考察や後片付けをします。


上:教科書を参考にしながらまとめる生徒


上:同上


上:板書例

(8) 実験の考察、および、後片付け

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上2枚:生徒2人の学習プリント(いずれもクリックすると拡大)


授業を終えて
 水素の爆発実験は面白いので、何度もくり返して行わせましょう。よく観察すると、爆発時に試験管内に炎が発生し、それが試験管内部に引き込まれていく様子が観察できます。気体の水素と酸素が化合して水になると、体積が一気に小さくなるので、試験管の口から大気が吸い込まれるからです。水の生成の確認させるより、自分の目と耳で爆発の瞬間を確実に捉えることができる力を身につけさせてください。知識はあとから付加できます。

関連ページ
実験5 水素の爆発 1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
第3章 分 子 大気に含まれる物質 p.30
気体の集め方 p.33
第4章 化学変化 水素(気体)の爆発 p.54、p.55
第8章 化学電池と電気分解 塩酸と金属の反応 p.140、p.141

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実験13:アンモニアの噴水

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