このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 2年(2017年度)です

第30時
実験5 鉄と硫黄の化合 

     2017 7 12(水)最高気温34℃、14(金)32℃
     理科室(気温より2℃以上高くなります)

はじめに
 待ちにまった実験授業! と言いたいところですが、理科室は35℃を超えています。ここでガスバーナーを使うことは、まさに灼熱地獄といえます。燃焼は無風状態で行うため、窓を閉め、扇風機を止めます。そこで9台のバーナーを点火さるのですから、中途半端な気持ちでは倒れます。

 本来なら、化学分野の初めから実験中心の授業を組みたいのですが、6月中旬以降に理科室を使うことはできません。普通教室には100%完備されている空調設備が、理科室にないからです。教育差別ともいえるでしょう。

 私が中学生の頃は、学校のどこにもクーラーはありませんでした。我慢はあたり前、でした。しかし、今は無理です。地球温暖化もあり、28℃設定の教室から理科室へ移動することは健康だけでなく精神もそこないます。「35℃を超える場所(理科室)へ行く」、と考えだけで嫌になります。

 2017年現在、名古屋市公立中学校の理科教育環境は劣悪を極めています。それでも、子どもたちは窓を閉め、ガスバーナーに点火します。私は燃焼時間を10分に制限し、硫黄のにおいと暑さと闘いながら生徒たちとがんばっています。この環境を改善できる立場の人は、自分の仕事をきちんと仕事をしてください! 子どもたちは高い目的意識をもち、暑さに耐えて学習していますが、身体の弱い子どもから倒れます。一刻も早い設置を強く要望します。それは命を大切にすること、守ることです。不登校レベルを超えた、命のレベルです!


上:暑さを感じさせないほど目的意識をもって楽しそうに『鉄と硫黄の混合物』をセットする生徒たち

関連ページ
実験1 鉄と硫黄の化合(硫化)
(2003年度)
 生徒実験の様子がよくわかりますよ
実験7 鉄と硫黄の化合    (2000年度)


本時の目標
・熱中症で倒れたり死んだりしないようにする

・安全に、鉄と硫黄の化合実験をする
・混合物と化合物の違いを理解する
・鉄と硫黄の化合を化学反応式で表現する

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 本日の学習プリント  1枚/人
  • 鉄製スタント     1/班
  • 試験管(新品)    1/班
  • ガスバーナー     1/班
  • チャッカマン     1/班
  • 乳鉢 & 乳棒       1/班
  • 薬包紙        1/班
  • 電子てんびん (生徒用)1/班
  • 電子てんびん(教師用) 1
  • 鉄粉         7g/班
  • 硫黄         4g/班
  • 古紙         20枚程度
  • 金づち         1/班
  • ピンセット       1/人


上:始業前の黒板

 「久しぶりの理科室だ!」
 多くの子どもたちは喜々として駆け込んできます。私は彼らのやる気を削がないように、すぐに実験準備をさせます。暑さを忘れるためには、自主的に活動することが一番です。上図(始業前の黒板)を見てください。実験器具が書かれています。始業前に準備させるものです。久しぶりの理科室で、どこにあるのか忘れいる子どもが多いので、「どこどこ?」という子どもたちの声に応えるように、大きな身振りと声で場所を教えます。すると、子どもたちはそれぞれの器具を見つけ出し、自分の班へ運びます。そうこうするうちに、始業のチャイムが鳴りますが、一段落するまではそのまま準備させます。

 なお、 もともと理科が好きでない子どもは始業ギリギリの時間に入ってきますが、熱心に準備する友だちの様子をみて、「暑い」とか「めんどうくさい」という言葉を失います。
※上図(始業前の黒板)の器具は一部だけです。その他は授業の中で指示します。安全確保、および、早くできた生徒を退屈させないための作戦です。

授業の流れ
(1) 本時のねらいと内容紹介

 @ 激しく反応する危ない(面白い)実験です
 A くさい臭いのする、思い出深い1時間になります
 B 気分が悪くなった人はすぐに申し出てください
 C 火傷、けがの心配がある実験です
 D 加熱する時は窓を閉め、扇風機を止めますが、10分間に制限します
 E 結果はとても簡単です
 F やることはたくさんある授業です
 G ぼやぼやしないでください

(2) 実験を2つのステップに分けて理解する
 @ 鉄を硫黄を混合する(混合物をつくる)
 A 混合物を加熱する (化合物をつくる)

上:鉄と硫黄の化学式、および、2つを混ぜたものを考えさせるための板書


上:まぜる=混合、できたも=混合物、を示した板書
指導上のポイント:混合物『FeとS』


上:各自の学習プリントに鉄と硫黄と混合物を添付することを示した板書
指導上のポイント
(ア)セロハンテープの絵は書かせない
(イ)記述できた生徒から、自由に席を立って実物を添付させる
(ウ)先生は、鉄と硫黄とセロハンテープを準備する(詳細は以下にあります)


上:実物を添付する様子(混合物はこの後の操作で作ったもの)
指導上のポイント
(ア)貼付させる鉄と硫黄は、白紙に適量出し、理科室前後に配置すると混雑しない
(イ)それぞれの横に、セロハンテープ1台を配置する
(ウ)セロハンテープ→ 実物、の順にとれるようにする
(エ)たくさん取ることは不可能である、と事前に知らせる
(オ)硫黄は金属やいろいろな物質と反応しやすいので注意させる


上:混合物を加熱するとどうなるか考えさせるための板書


上:硫黄でも鉄でもない物質、硫化鉄を示した板書
指導上のポイント
(ア)化合という言葉は当たり前のように教える
(イ)硫化という言葉は、いずれ教えることになるので教えてもよい
 ※私の授業では、すでに教えているクラスがある

(3) 実験準備の説明
 @ 図示しながら説明する
 A 前半は写さなくよい雰囲気でテキパキ進める(よく聴くことを重視)
 B 最後に考えさせる場面になって、プリントへの記述を指示する

上:試験管の角度(45°)、鉄と硫黄の量を示した板書


上:加熱位置、および、その位置にする理由を考えさせるための板書
指導上のポイント
(ア)ガスバーナーの炎は小さく書く(弱火〜中火)
(イ)加熱位置は矢印()で明確にする
(ウ)加熱位置に注意する理由を考えさせるスペース(
空欄)を作る
(エ)机間巡視で進捗状況を把握する
(オ)代表生徒に(ウ)の答えを発表させる(写真下)


上:発熱反応についてまとめた板書

(4) 生徒実験
 ※実験の様子は2003年度の実践『鉄と硫黄の化合(硫化)』の方がよくわかります! ご覧ください。

本年度(2017年度)の指導手順
@ 鉄粉7gを計量し、取りにくるよう指示する
A 班に持ち帰ってから、乳鉢に入れさせる
B 各班で、硫黄4gを計量させる
C 硫黄を乳鉢に入れ、乳棒でよくかき混ぜさせる
 ここまでのポイントは、鉄の次に硫黄を入れさせることです。逆にすると、比重の関係でよく混ざらないからです。私の手順のように、まず鉄を取りにこさせれば、自然に正しい順序になります。また、早くできた生徒が活動できるので時間が無駄になりません。同時に、各班で硫黄を計量させれば、全員が動くようになります。
 なお、本来なら鉄7gも各班で計量させたいのですが、時間の都合で私が行いました。
D できた混合物を、薬包紙の上にすべて出させる
E 混合物の一部を、学習プリントに添付させる(写真下)

F 残りの混合物すべてを試験管に入れさせる
G 試験管を鉄製スタンドにセットさせる

H ガスバーナーをセットさせる
I 先生を呼び、正しくできているか見てもらうようにさせる
 先生はすべての班が正しくできているか個別確認、できていない部分は指摘します。
 ◎ 鉄製スタンドの支柱がぐらぐらしていないか
 ◎ 試験管とはさむ位置は、口付近か
 ◎ 試験管の角度は45度か
 ◎ ガスバーナーの位置は混合物上部か
 ◎ ガスバーナーの口と混合物上部の距離は5〜7pか(弱火〜中火の距離)
 ◎ 試験管の口が無人方向に向いているか
11 すべての班が準備できるまで待たせる
 本来なら、準備できた班から点火させるべきですが、前述のように名古屋市の教育環境では不可能です(早くできた班に追加実験をさせることも不可能です)。狭い理科室に約40人が入り、室温35度Cを超えています(警報レベルですね)。そこで、次のように話をします。
 「準備が完了した班はしばらくお待ちください。すべての班ができるまで待ちます。加熱時間を5分に制限するからです。暑いことはわかっていますが、本日の炎は弱火〜中火なので、わずかな風の流れで加熱部分がかわり、失敗します。反応しないなら安全面では安心ですが、混合物の下部から反応が始まると、大量の熱が発生して試験管が曲がります。想定外の事故が起こる可能性もあるので、5分間、扇風機を止め、窓を閉めます。それから点火です。しばらくお待ちください!」
12 扇風機を止めさせる
13 窓をしめさせる
14 チャッカマンを取りにこさせる
15 点火させる
 先生は実験室前の中央から、すべての班の様子を見ます。混合物の一部が赤熱しはじめた班を見つけたら、次のように話します。ただし、先生の顔や目を見るように指示してはいけません。危険です。先生は他班の反応状況を監視しながら、説明・解説してくだい。もし、他の班でも赤熱反応が始まったら、その班は自分の試験管を注視するように指示します。
 「(赤熱し始めた班を、腕も使って大きく指差しながら)みなさん、A班を見てください。反応が始まっています。混合物の上部が真っ赤になっています。このようになったら、先ほど指示したように、ガスバーナーを移動させます。炎を消す前に、試験管の下からゆっくり移動させてください。加熱しなくても、赤熱部分が移動していきます。発熱反応だからです。その様子をしっかり観察してください。なお、ガスバーナーの炎は消した方が安全ですが、観察を優先させるためにそのままにしておいても構いません。変化が終わってから、確実に消してください」
16  終了した班は、他の班の様子を見るように指示する
17 さらに、反応のようすや発見・疑問を記録するように指示する
 すべての班がガスバーナーを消したら、次の操作説明をします。これは重大な火傷事故を防ぐために重要です。
 「(最後に赤熱反応を始めた班を見つけたら、近くへ移動し、反応が終わるまで見守ります。そして、反応が終了したら試験管温度が下がらないようにすぐさま話します)全員注目しないさい。次の操作説明をします。まず、火傷しないでください。(反応終了直後の試験管の口を持ち、クリップから外して全員に見える位置まで持ち上げ、白紙を当てます。すると、白紙は茶色く焦けたり、焦げて穴をあいたり、炎を出して燃えたりします。その様子を見せながら)おっと、紙が茶色くなって、ほら、黒くなって、あ、このままひっつけておくと燃え始めると危険なので、これぐらいにしておきますね。先生が何が言いたいかわかりますか? これが紙ではなくて君の手だったら同じようになるということです。試験管は無色透明で冷たいように見えますが、違います。一瞬触れただけでも皮膚が失われほど高温です。先生が持っている部分は試験管の口の部分で、その温度は60℃程度ですが、下の部分は細胞が瞬時に失われます。十分に注意しください」
18 試験管を割り、化合物を取り出すための注意を聞かせる
 厳重注意:試験管を割る操作は危険なので、すべての先生にお勧めできる実験ではありません

 「次に、化合物を取り出して調べてもらいますが、実験に使った試験管はもう使えないので、割っても構いません。化合物がするっと出てくるなら割らなくても良いのですが、取り出せない班は割っても良いです。さて、絶対に守って欲しい注意点を3つ言います。その1、紙を巻いてから叩くこと。その2、全力で叩かないこと。その3、割らない人もゴーグルを着用することです。破片を飛び散らないようにするための紙は二重に巻けば十分ですが、一度叩くと破れて穴が空きます。空いたまま2度目を叩いてはいけません。その穴から破片が飛び出し、あなたの目に刺さることがあります。(ゆっくりとガラスの破片が飛び、先生の目に刺さる様子を示しながら)こんな感じで飛んできてあなたの目に刺さると、激痛が走ります。痛さで目をこすりたくなりますが、こすると失明の可能性がアップするので、刺さったまま先生に「刺さりました」報告してください。したがって、絶対に試験管を裸のまま、あるいは、穴の空いた紙のまま叩いてはいけません。割る人以外もゴーグルを着用してください。また、割るための力はゼロです。金槌は持ち上げるだけで、振り下ろしてはいけません。金槌の重さだけで十分に割れます(先生が金槌をもってその重さだけで叩き、簡単かつ安全に試験管が割ることを示す)ほらね、力はいらないでしょ! さらに、力を完全に伝えるため硬い床の上で割ります。では、試験管の温度が下がっていることを確認してから、化合物を取り出してください。取り出したものはピンセットで拾ってもよろしい」
19 化合物を取り出して観察、まとめさせる
20 各自による考察、まとめ
21 かたづけ


◎ 生徒の学習プリント

上:Aさんの学習プリント(クリックすると拡大)


※ 化学変化は1+3= ではなく、1+3→ で表す。ポイントは『→』。それは全く別の物質ができることを表す。


上:Bさんの学習プリント(クリックすると拡大)


授業を終えて
 初め

関連ページ
実験1 鉄と硫黄の化合(硫化)
(2003年度)
実験7 鉄と硫黄の化合    (2000年度)

実践ビジュアル教科書中学理科の化学

第29時 ←
実習4 いろいろな物質
をつくろう2

→ 第31時
実習6 分子

↑ TOP

[→home
(C) 2017 Fukuchi Takahiro