| このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。 |
第7.2章 子どもとは何か
6 子どもの感受性は教師より高い1 一般的な教師がもっている経験
教師の多くは、「頑張って努力し、その結果として学力という力を獲得した経験」を持っています。本人の評価はともかく、平均的な子どもと比べればとても高い成果を出してきました。その結果、友達や先生から注目を浴び、室長や生徒会役員を経験したこともあるでしょう。他の子どもより先生と話す機会が多く、自分の考えを言葉で表わし、悩み、解決し、成長してきた子どもです。自分だけでなく、他人の気持ちを言葉に置き換え、考えたり整理したりする力がある子どもだったのです。2 多くの子どもの言語能力と現状
しかし、ほとんどの子どもは自分の考えを言葉にしたり、自分の行動を反省したりすることが苦手です。感じたことを言葉にする力、言語で思考する力、言葉にしたがって行動する力などが不足しています。あなたの学校の子どもを見て下さい。会話の少ない家庭で生活している子ども、親と会話できない子ども、先生を含む大人と会話する時間が1日に5分に満たない子どもがたくさんいるでしょう。このような子どもは、他人の気持ちを受け取ることが苦手です。さらに、愛情が不足している家庭の子どもは、感情に関する言葉を理解できません。実感をともなう経験がないからです。3 言葉によらない情報収集
言語能力が低い子どもや愛情を知らない子どもは、それを補うために『言葉によらない方法』で他人の気持ちを読み取る力を発達させます。その力によって、危険を察知し、外敵から身を守ります。相手が何を求めているか感じる力、いわゆる『感受性』が強くなります。例えば、授業で先生から指名されそうになったとき、いち早く下を向き、自分の存在を消す能力を発達させます。一般に、彼らの感受性は高く、繊細で弱く、傷つきやすい状態になっています。4 先生自身が認めること
先生は、3のように小さくなっている子どもを瞬時に見つけられると思いますが、それはあなたの感受性の高さを証明するものではありません。いじわるな目を持っていれば、弱い生徒を見つけることは簡単です。先生自身が認めなければいけないことは、学級の90%以上の子どもが先生より高い感受性を持っていることです。それが学級経営や授業のスタート地点です。「君の気持ちはわかる!」などと軽々しく言っていってはいけません。自分と同じレベルの言語能力、成功経験、成果をもっているこどもの数は、全体の数%です。学力だけで単純に割り切ることはできませんが、大多数の子どもは、あなたより敏感に環境を感じ取り、厳しい現実を生き延びています。5 私が中学生のときの経験
私が中学生のとき、生まれて初めて外国語『英語』を学習しました。入学当時、ABCぐらいは知っていましたが、EFGは知らなかったと思います。学校の通知表は、5・4・3・2・1の5段階評定で、小学校の◎・○・△の3段階評定とは大きく雰囲気が違いました。さて、1番初めに私が手にした通知表には、何と、『1』がありました。教科は英語です。今から思えば、かなりショックだったような気もしますが、当時の私は自分の気持ちを言葉できるほど頭が良くなかったので、何も感じなかったような気がします。本当にできない子どもは、そんなものです。「あれ」「あ」「何か変だな」「おかしいな」「何だろう」という程度です。私はこの自分の経験をとても大切にしています。その他の教科についても同じようなもので、私の目標は『オール3』でした。6 あなたの経験を振り返る
私の中学時代は低学力でしたが、高校では全力で勉強をしたのでそれなりの成果を上げました。大学では苦労した記憶はありませんが、高い評価を頂きました。これらの経験は、どれも貴重で今の教員生活に役立っています。とくに、『1』をとった経験は大切です。ただし、同じ『1』を取るにしても、その背景は多様です。私は「自分の経験を当てはめることができる生徒は1人もいないこと」を経験から知っています。あなた自身も自分の経験を振り返り、それに照らし合わせならが生徒と会話してみましょう。数%ぐらい推測できるようになるでしょう。7 もし、あなたが優等生の経験しかないなら
もし、あなたが優等生のまま教師になったなら、ほとんどの生徒の気持ちが理解できないのは当然です。おそらく、あなたは『子どもの気持ちが理解できない教師』として悩み、落ちこぼれ、仕事を辞めようと考えているかも知れません。しかし、よく考えて下さい。あなたは今、まさにできない子どもと同じ立場にいるわけです。この人生最大のチャンスを活かして下さい。大人になってから『落ちこぼれること』は大変ですが、これは乗り越えなければいけない試練であり、チャンスです! 「死ぬまで優等生でいよう」と望む人は、本当に死にしかありません。どうか、どん底で3年間苦しんで下さい。その素晴らしい経験は一生の宝になるでしょう。学校の生徒を見てご覧なさい。今のあなたと同じように落ちこぼれながらも、懸命に生きています。初めからプライドも何もなく、とにかく何もなくても、生きています。何も自覚せず、幸せに学校生活している生徒もいます。いずれも、あなたが未だ経験していないことを経験してきた人生の先輩です。見習ってみましょう。2010年5月27日
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