このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。 |
第2章 How to 授業
14 机間巡視でネタを仕込む
1 机間巡視って何?
机間巡視はこの世界の専門用語です。授業のホームポジションである黒板前から離れ、いろいろな速さで生徒の机の間を巡視することです。その目的は以下の(1)〜(4)の4点に整理できますが、上の方が簡単な内容です。机間巡視の目的
(1)まどろんでいる生徒に刺激を与える
(2)とても重要な内容の点検と個別指導
(3)先生に質問しやすい環境をつくる
(4)学習状況を調べ、これからの授業展開を立てる(ネタを仕込む)
(ア)黒板が書けているか
(イ)問題が解けたか
(ウ)問題をどのように考え、取り組んでいるか
(エ)授業内をどのように理解しているか
(オ)どのような考え、疑問を記述しているか2 まどろんでいる生徒に刺激を与える
生徒がテストを受けている様子を観ると、まどろむ原因は2つです。1つは問題が難し過ぎること、もう1つは問題が簡単過ぎることです。これと同じように、授業中に生徒が眠くなる最大の原因は、授業内容(レベル)が生徒と合っていないことです。授業レベルを適切にすれば、刺激を与えるための机間巡視は必要ありません。授業が単調な場合も眠くなりますが、これも授業を改善して下さい。なお、体調不良で顔色が悪い生徒に対しては速やかに近づき、しゃがんで声をかけて下さい。3 とても重要な内容の点検と個別指導
とても重要な内容や語句を確実におさえたい時、ポイントを絞って早足で机間巡視します。内容にもよりますが、40人を数分で点検し、間違いがあれば指摘し、訂正させます。事前に「○○を点検するから、見えるようにしておいて」と声をかけておくもの良いでしょう。なお、1回の点検に10分以上使うのは間違いです。それは授業外に行う個別指導、です。授業における点検項目は十分に絞り、生徒みんなの考えによって授業を作るようにしましょう。4 先生に質問しやすい環境をつくる
比較的ゆっくり歩きながら、質問を求めます。「質問はありませんか」「何かある?」「(目と目を合わせて)質問?」と1人ずつに声をかけても良いでしょう。丁寧に巡回しますが、数分以内になるようにして下さい。たった一言ですが、先生と生徒が1対1で触れあう貴重な時間です。しかし、長々と時間をとることは、3と同じ理由で控えて下さい。5 学習状況を調べ、これからの授業展開を立てる
4で、重要な質問を受けた時、その内容を一斉に指導します。その内容について、もう一度繰り返したり、新しい角度から説明し直したり、代表生徒に説明させたり、最適な方法を考えて授業を展開します。新任の先生は難しいと思いますが、机間巡視の本来の目的はここにあります。机間巡視は、まんぜんと歩き回るのではなく、生徒の学習状況を調べ、次の授業展開を計画したり変更したりするためにあります。寿司屋さんが毎朝、新鮮なネタを仕入れるのと同じです。学習状況は、(ア)黒板が書けているか、(イ)問題が解けたか、(ウ)問題をどのように考え、取り組んでいるか、(エ)授業内をどのように理解しているか、(オ)どのような考え、疑問を記述しているか、などによって調べることができます。6 次に指名する生徒を選考する(ネタを仕込む)
机間巡視をして、次に指名する生徒を選考してみましょう。生徒が記述している内容を素早く読み取り、その場で推薦しましょう。自分から手を挙げることが少ないA君、意外な考えを書いたBさん、別な視点を取り上げたC君などを指名し、板書させたり発言させたりしましょう。授業がスムーズかつ豊かに展開していくと思います。7 意識的に行うこと
机間巡視は、意識的に行うものです。少なくとも1時間のうちに数回、机間を歩いて下さい。初めは、目的がなくてもオッケーです。とにかく歩く癖をつけて下さい。6列に並んでいる40人学級の場合、前から後ろまで2回往復すれば良いので、すたすた歩けば30秒です。だんだん生徒の様子が見えるようになってきます。どんなに精一杯の授業をしているときでも、歩いて下さい。独りよがりではない、生徒1人ひとりの現状や考えにもとづいた授業が少しずつできるようになります。2010年5月14日公開
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