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クロッキーF美術館コレクション vol.2012 Mar 1

19 croquis
(420 x 297, pencil)


動画:クロッキーの描き方12mar1-09

動画:クロッキーの描き方12mar1-10

画 材: 鉛筆、A3上質紙
時 間: 指定時間固定
モデル: ocotea
撮影機材:ニコンD700、24-120(f4)
動 画: クロッキーの描き方12mar1-0912mar1-10

note
 クロッキーを始める前に、キネシオロジーを教えてもらいました。筋肉と心の連動性を基盤においた学問のようです。その表面的な現象はいくつか知っていましたが、後からネットで調べると多様なものであることがわかりました。時間を見つけて調べる必要があるようです。

細部観察描法
 本日のクロッキーは細部観察描法(右図)から始めました。細部観察描法は私が今日造った言葉で、エドワーズの純粋輪郭画法、修正輪郭画法にヒントを得たクロッキー用ウォーミングアップ(準備運動、暖機運転)です。言葉にしていませんでしたが、私は20年以上前から日常的に使っています。前回も行いましたが廃棄しました。大まかな目的と方法は、モデルの細部を観察するための画面を見ない描画です。

 ウォーミングアップの目的は、私の筋肉と視点(モデルの見方)を一体化させることです。これはクロッキー前に話し合っていたキネシオロジーと同じすね。準備運動させる筋肉は指、手、腕、肩、首、全身、眼球を動かす筋肉です。そらら複数の筋肉を連動性を高めることを暖機運転といいます。観察するものはモデルの筋骨、腱、皮膚、温度、色、硬さなどの物理的なものを捉えます。モデルを表現者として捉えるのでなく、物体として詳しく観察します。細部にこだわって詳しく観察することを求めます。以上がウォーミングアップの第1段階です。

 もう少し細かい方法を紹介しましょう。紙と鉛筆を用意して、モデルを観察します。全体ではなく、細部を観ます。何かに囚われて描けないようなら、もっと細部を観ます。自分の心と筋肉が自動的に動き始めるレベルにまで細かく観ていきます。そして、物理的な情報しか感じないレベルに達したら描きはじめます。自分の筋肉、および、観たいという欲求が消失するまで、同じ筋肉運動を繰り返して描きます。飽きたら次の部分を観て同じように描きます。これの繰り返しです。

 この作業を繰り返すと、細部では満足できない自分が生まれます。だんだん大きなものや関連を描きたくなってきます。その感情や感覚を感じながら、同じように自分の筋肉を動かします。注意すべき点は、画面を見ないこと。つまり、画面に定着したものを確認しないことです。余裕がでてきたら、紙と鉛筆の接点を感じるようにします。

 第2段階は作家としての視点を調べることに重点が移ります。モデルが何を表現しようとしているか読みとることではなく、まず、作家としての自分が何を観たいか調べます。同じモデルによる同じポーズでも、作家の精神状態によって違うものが見えますから、それを正確に捉えます。モデルの何を見るかは自由です。

 確認ですが、以上の細部観察描法は準備運動・暖機運転です。作者1人による準備に過ぎません。私が現在定義するクロッキーはモデルとのリンク、モデルの本質を捉えて表現することです。その手法については、別ページhiro.F の手法2008年などをご覧ください。

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 今日の細部観察描法は、2Bの鉛筆だけを使いました。基本的に1枚描く途中で鉛筆の種類を変えませんが、完璧なウォーミングアップを目指すなら、本日使用する可能性があるすべての画材を試すべきです。また、私の目線と同じ高さにある太ももから腰にかけては良く見ていますが、上半身は手抜きです。顔は見ていません。いくつかのパーツに分けて詳しく観察すべきです。

 物体としてのモデルを描画するときは、画面を見ません。目的は観ることですから、最終的な画面はどうなっても良いのです。それは作品として扱うものではないからです。もちろん、作者がこだわっているものを調べるための材料になるので、本質を見抜く力を持っている人にとっては魅力的な1品です。作家の興味、精神や心を読み取れるのですから。

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