note
描いているとき、今日は今までのクロッキーとは違う、と感じていました。これまでの定義『モデルと作家が休息を挟まずに1つのことを表現する活動』に反しているように感じたからです。1枚の描画時間は最長9分。その間に明確な休息はありませんでしたが、私は自分の意識がいくつかの時間で区分されているように感じました。私が死守したい内容は不変でも、それを実現させる作戦づくりの時間、および、作業する時間が区別できるように感じたのです。
さて、今回は動画にモデルさんを入れました(美術モデルを描く12mar14)。初めての試みです。ビデオを見直すと、後半になって上手く描けた部分を壊したくない自分がいることに気づきました。ある部分を守り、一部分だけを描いています。その結果生まれるものは、つまらない作品です。
私はクロッキーを次のように再定義します。『クロッキーは画面全体を動かしながら作品をつくる行為』。それは生き物をつくる行為です。私が描きたいものはモデルから生まれた1つの生物、宇宙のようなものです。本物みたいな作品や写真みたいな作品とは隔絶したもの、動画ではない静止した平面でありながら生きているもの、です。
また、作品をつくるためには、それが生まれる過程(時間)を平面に定着させる必要があります。生きた証(痕跡)を残しておくわけです。