クロッキー F 美術館

第6章 美術モデルのためのお話
美術モデルの理想的な体型

1 女性モデルの理想は『やや太り』
 多くの作家は、標準より太っている女性モデルを求めています。あなたがプロとして末永く活躍したいなら、標準より少し太るように努めましょう。太っている女性の自然な丸みは、それを描き写すだけで女性らしい包容力や温かさが表現できるからです。身長160cm、体重65kgは完全合格です。これに対して、標準や細身のモデルは貧弱になりがちです。初心者が描くと、骸骨のようになったり異常に膨らんだりします。

2 男性モデルは筋肉を鍛えること
 男性モデルの場合は筋肉が必要です。男性はトレーニングによって筋肉がつきやすいので、脂肪で弛んだ身体は怠け者、と言われても仕方ないものです。したがって、自分に厳しい態度で筋肉を鍛えて下さい。ただし、理想的なトレーニングでも、部分による筋肉の付き方には個人差があります。鏡を見て研究し、バランス良く鍛えて下さい。

3 スペシャルな活動をしているなら
 あなたが特別な身体活動をしているなら、話は別です。ダンサー(現代舞踊、クラシックダンス、バレエ、フラメンコ)、スポーツ(サッカー、空手、太極拳)、ヨガなどです。それぞれの身体活動を続けていると、それに最適な筋肉がつき、洗練された動きができるようになります。モデル台では、その特徴を十分に活かしたポーズをして下さい。描き手は大喜びするはずです。自分の身体活動に専念し、より磨きをかけて下さい。欲を言うなら、立っても座っても寝ても小道具を使っても日常生活を演じてもあなたの特徴が発揮できるようなら最高です。

4 作家の理想とあなたの理想
 作家の理想は、上で述べたように『太り気味の女性』『筋肉がある男性』『特別に鍛えられた人』です。これに対して、あなたの理想の体型は何でしょうか? まず、それを明確にすることが大切です。あなたの理想は自由ですが、私は「あなたらしい体型」をお勧めします。あなたらしい体型=あなたの生活スタイル、体型は日常生活からつくられるものます。体型ばかりを考えるより、毎日の生活を見直し、規則正しい生活、心身のバランスがとれた生活を目ざしましょう。精神や心から身体を磨く方が、心身のバランスがとれた美しく身体になります。

5 現実の自分の身体に目を向けよう
 モデルに限らず、人は誰でも自分の基本体型を持っています。大人になれば、身長はほとんど変化しませんよね。これと同じように、体重やその他のサイズもあなたの丁度良い大きさがあります。自分の身体を鏡に映してみましょう。写真モデルのような体型からかけ離れていても、大丈夫です。あなたが抱いている理想像は、マスメデアによって造られた幻想です。持って生まれたものを大切にすることは、とても自然で美しいことです。

6 肌を綺麗に
 美術モデルにとって、素肌は重要です。潤いと張りのある清潔な肌は、よく洗濯してよく乾かされた衣服のように清清しいものです。体調がすぐれない時にスキンローションを使うモデルもいますが、できるだけ自然な状態でモデル台に立てるよう、日頃の健康に注意しましょう。虫刺されや湿疹にも注意します。必要なら、専門の医師に相談して薬を処方してもらいましょう。ただし、1週間経っても効果がない場合は、医師、あるいは、薬のどちらかを変えた方がよいでしょう。

7 日焼けの痕には注意
 日焼けの痕がくっきりついているのは、作家の立場からすると歓迎できません。不要なところに色の境界線ができてしまい、そこで目の動きが止まるからです。衣服のあとも同様です。美しい痕なら歓迎ですが、あまり見たことがありません。事前に下着を外しておくモデルもいます。

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2010年2月2日公開

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