クロッキー F 美術館

第7章 photograph
クロッキーと写真撮影を両立させる方法

1 クロッキーと撮影は全く違う思考をする
 私はクロッキーの途中に写真を撮ることがあります。しかし、その両者を両立させることは難しく、クロッキー後にたった1枚の記録写真を撮るだけで、次のクロッキーが全く描けなくなる経験を何度もしています。これは、クロッキーと撮影が全く違う思考モードを必要としていることが原因です。

2 モデル『ながあめ』との出合い
 しかし、私は2009年中旬、モデル『ながあめ』との活動を通して、少しずつクロッキーと撮影を両立できるようになってきました。クロッキーと撮影を平行して行うことを許可してくれた彼女との出会いが第一条件でした。幸運な私は、クロッキー前に撮影したり、クロッキー後に撮影したり、いろいろな方法を試みました。

写真右:2009年10月19日のクロッキー中に撮影したもの。2010年1月2日現在、モデルながあめを撮影したものは多数あるが、HP公開している写真はこれ1枚限り。

3 両立させる練習方法
 練習方法は、クロッキーと撮影を何度も繰り返し行うのみ、努力だけです。そのとき、クロッキーも撮影も、それぞれ様々なアプローチで試さなけばいけません。私がある日突然「両立できた」と感じた理由は、カメラを持っても左脳で計算しなくなったから、あるいは、『クロッキーの後に撮影する作業』が習慣化され、自分の呼吸と同じように意識されなくなったからです。これは、クロッキーを中心にした方法です。とにかく、何度も失敗を繰り返しながら、2つのモードの切り替えを意識的に行い、それぞれが完全に切れてしまわないように努力し続けることがもっとも大切なことだったと思います。この先、さらに高い次元で両立できるときが来ると思いますが、2009年現在は以上です。

写真左:2009年12月17日の現場写真

 次に、撮影前、および、撮影中に行うことを記します。

4 撮影前に準備すること
 撮影前に準備することは次の通りです。
(1) カメラとレンズの準備、選択
  ・ 複数のカメラやレンズを使う場合は、机に並べておく

(2) 背 景
  ・ 黒い布を張り、背景を単純化する

(3) 光源とライティング(ホワイトバランスを含む)
  ・ 500W-3200Kのフラッドランプ、および、十分に弱くした室内灯を使うことが多い
  ・ 背景にライトが直接当らないように、ライトをアルミホイルでカバーする
  ・ ホワイトバランスは、手動で設定する

(4) 露出設定(シャッター・スピードと絞りとISOの関係)
  ・ シャッター・スピードと絞りは、マニュアルで設定する
  ・ ISOは、320前後に設定する
 ※(1)〜(4)の詳細は別ページ『ヌードを撮影するための準備』をご覧下さい。

 これらの下準備は簡単ではありませんが、クロッキー前に完全に整えます。モデルのポーズとは直接関係しない単純労働に近い作業は、極力避けるようにしましょう。そして、クロッキー中の撮影は、以下の点に注意して行います。

5 撮影時に計算すること
(1) カメラの高さ(基本はクロッキーと同じ位置)
(2) 構図やフレーミング
(3) ピントの位置
(4) 光と影のバランス
(4) モデルとの距離とレンズの焦点距離
 これらの計算は、直感レベルで実行できるまで練習する必要があります。これは、クロッキーと両立させる以前の撮影練習です。これについては、別ページ『ヌード写真を撮影する時のポイント』をご覧下さい。

6 まとめ
 結論として、クロッキーと撮影を両立させる方法は、練習を繰り返すしかありません。もちろん、それ以前に、クロッキーと写真撮影それぞれの基本的な表現技術を習得していることが条件です。したがって、かなり努力を重ねたとしても3年間は必要でしょう。学問に王道なし。しかし、努力を続けていれば、私のように素晴らしいモデルとの出会いに恵まれ、ある日突然、両立した感覚を味わえるでしょう。幸運を祈ります!

7 関連ページ
 ・ ヌードを撮影するための準備
 ・ ヌード写真を撮影する時のポイント

2010年1月2日公開

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