このページは中学校1年理科『地学』/takaの授業記録2002です

偏光顕微鏡写真
黒雲母花崗岩
Biotite granite
茨城県 稲田

『オープン』と『クロス』を左右に配置した。
ステージを回転させ4組(合計8枚)撮影した。

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画面中央の「黒雲母」は誰でも識別できるだろう。
ステージを回転させる(オープン)と多色性(茶〜緑)を確認できる。
また、鉱物標本の厚さや角度でも色は変化する。

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問題は無色透明に見える「石英」と「長石」の区別である。
まず、下の写真を見よう。

上半分が「石英」、下半分が「長石」である。


のっぺししている上半分が「石英」
汚れている下半分が「長石」


左のプレパラートをクロスで観察したもの

オープンで観察した時は、両方とも無色透明に近いが、長石は汚れて見える。
しかし、ほとんど同じ成分なの区別が難しいことが多い。
(上のような典型的な部分を見つけることが大切である)

さて、同じ標本を少し回転させたものを見てみよう。



左下が「長石」、右上が「石英」


左のプレパラートをクロスで観察したもの

クロスで観察した時の色によって区別できないことが分かったでしょうか。

石英と長石の区別はオープンで行うことが肝心です。

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では、クロスではっきりすることは何でしょう。
もう少し回転させたもので調べましょう。


左上部分の「長石」に着目

左上のぐっと飛び出て見えるのは『ジルコン』


左のプレパラートをクロスで観察したもの

『ジルコン』は放射性元素を含むことが多い

クロスで観察した時の、左上の「長石」に着目して下さい。
筋が入っているのが分かるでしょうか。

長石にはいろいろな種類があるので、一口では言えませんが
この茨城県稲田のプレパラートでは「斜長石」として区別する手がかりになります。


長石の分類

特 徴
アルカリ長石
(Kを含む)
正長石 ・ レメラ構造を持つ。ラメラは、マグマから冷却して結晶になるとき、温度差で離溶することによってできる。
・ 風化して白濁していることが多い。
・ さらに風化すると、腐って粘土(焼き物の原料)になる
微斜長石 ・ 正長石と同じ成分だが、わずかに結晶構造が違う。ラメラ構造に対して、80度ぐらいの角度で小さな連続する亀裂構造をもつ(クロス・ニコルで観察)。
・ 社長席の次は
「ビ社長席」と説明すると、渋くうけるかも知れないので挑戦してみよう!
斜長石
(Caを含む)
・ 「社長席」と説明すると、すべるかも知れないので注意!
・ ほどんどの岩石に含まれる鉱物
・ 岩石プレパラートの厚さの基準となる。標準の厚さ0.03mmのとき無色透明になる(オープンニコル)。それより厚いものは屈折率が高くなりすぎて色が変わったりして観察に適さない。
・ ほどんどの場合、双晶する。クロス・ニコルで観察すると、それが『ストライプ模様』として初心者でも明確に判別できる。(変成岩では、双晶構造が破壊されていることが多い)


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最後に、もう少し回転させたものを見せますので自分で識別して下さい。

つまらないことですが、黒雲母の中央にある丸いものは空気の泡です。

おつかれさまでした。

実物で楽しんで下さい。

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謝 辞

このページは名古屋市科学館学芸員、西本昌司氏のご指導・ご助言を頂きました。
心から感謝の意を表します。

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