このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2008年度)です

実験11 2つの水を混ぜる
         ─ カロリーという熱量を計算する ─

2008 6 20(金) 第1理科室

 こんなに高い知的興奮に包まれた授業は1年に何度もありません。
 すごい! ぴったり! という歓声が飛び交い、何度も同じような実験と面倒臭い計算をくり返しているのです。是非、みなさんも実践して下さい。温度と質量が違う2つの水を混ぜてたときの温度を調べるだけなのに、実験結果と理論値と完璧といえるレベルで一致するのですから、もう止められらません。このページは、その感動を伝えたくて書きました。

 この授業については、私が語った全ての言葉を記録したページ骨格となる先生の言葉があります。別ウィンドーで開きますので、合わせてご覧下さい。


(上:2本の温度計を素早く読み、水の温度を計測する生徒たち)
 補足:3年生では『エネルギー保存の法則』を学習しますが、今日は2年生で学習する熱エネルギー(カロリー)の復習をしました。ほとんどの生徒が、カロリーの定義について理解してなかったからです。

授業の目標
(1)水を使ったカロリー計算ができるようになる
(2)2つの水を混ぜ、理論値と実験結果が一致しているか確かめる


◎ 授業の流れ
1 2つの水を混ぜた時の温度  (15分間)

 みなさんも一緒に、次の2つの問題に解いて下さい。それが終わったら実験開始です。

第1問
 『27℃、100gの水』と『10℃、100gの水』を混ぜると、何℃になりますか。
→ この答えは簡単です。27℃と10℃の平均になるので、18.5℃です。なお、27℃はただ今の気温です。
 さて、ここで注目して欲しいのは、100gと100gは足し算して200gにできたことです。あたり前ですが、これは凄いことです。なぜなら、温度は足し算できなかったからです。
 「何故、温度は足し算できないのか? 逆に、何故、質量は足し算できるのか?」
 これを説明するためには、
 「数とは何か? 足し算とは何か?」
 という大問題から始めなければなりません。
 どうですか、僕は知的興奮を覚えるんだけれど、、、
 あ、それから忘れていたけれど、温度が平均になるのは、水の量(質量)が同じだからです。第2問は、水の量を変えますよ。

(上:A君のノート)

第2問
 『1℃、100gの水』と『2℃、50gの水』を混ぜると、何℃になりますか。
→ この答えは3℃でも、1.5℃でもありません。1.7度Cです。


2 実験の手順  (5分間)

 演示しなから、以下の点について注意する。
<注意事項>
・ 氷は他の班のことも考えて、一人占めしないこと
・ 氷は全部溶けてからでないと、誤差を生じること
・ ささっと温度を読まないと、すぐに温度がかわってしまうこと
・ 温度計によって、0.5℃の誤差があること

(上:板書案)

先生が準備するもの
(1)氷(2リットルぐらい。初夏は氷が嬉しい!)
(2)いろいろなサイズのビーカー(100mlから500mlまで)
(3)お湯(湯沸かし器で60℃ぐらいのものを準備)
(4)温度計(一班に数本)
(5)白紙(盛り上がると、子どもが記録用紙の追加を要求します)

3 生徒実験『2つの水を混ぜる』      (25分間)
 先生の「はじめ!」の合図で実験が始まりますが、氷を溶かすのが面白いようです。温度計でかき混ぜるのは良くありませんが、誤差を少なくするという理由で使ってしまいましょう。割れないように注意させれば、割れることはほとんどありませんし、アルコール温度計なら割れても危険はほとんどありません。


(上:氷を溶かしたり、ヤカンの湯を使って実験をする生徒)


(上:氷を早く溶かすために、ビーカーを手で温めながら実験する生徒たち)

(上:実験結果をまとめている様子)

◎ Aさんの学習プリント

(上:3回の実験結果のそれぞれの誤差は、0.3℃、とりあえず0℃、0.2℃。)

◎ B君の学習プリント

(上:右下のB君の実験結果を見ると、驚きの誤差0。なお、プリント左側は、前時に行なったガスバーナーによる加熱実験)

◎ Cさんの学習プリント

(上:彼女の班は、同じような実験を5回も繰り替えした。それほどまでに面白いということだ)


授業を終えて
 とにかく「素晴らしい」の一言に尽きる授業でした。この授業は、近い将来、すべての教科書に採用されることでしょう。主な学習内容は、次の通りです。
(1)器具の目盛りを1/10まで読む練習
(2)小数点を含む割算をさせる練習
(3)カロリー計算の単純計算の練習
(4)実験結果と理論を比較させる学習
(5)エネルギー保存の法則の学習

 なお、この授業を『濃度』の授業に使う場合は、次のように変更します。
水の温度 . 水溶液の濃度
水の量(g) 水の量(g)
水の温度(℃) 水溶液の濃度(%)
カロリー(cal) 塩の量(g)

余談:このページは2008年7月に完成し、画像などの公開許可も得ていたのですが、一般公開は2010年5月9日になってしまいました。このページより先に、本時の言葉だけを記録したページ骨格となる先生の言葉を作成して力尽きてしまったこと、理科の授業記録とは違うことに集中していたからです。失礼しました!

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