このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第9章 評価は不要物か

11 定期テストの作り方

─先生が作成、予想、採点、分析、反省する─

1 定期テストとは
 1年間に、2〜7回程度行なわれるテストのことです。一般的には、1年間を3学期に分け、1学期(中間、期末)、2学期(中間、期末)、3学期(学年末)の合計5回実施します。最近は、音楽や美術など、教科の特性に応じて定期テストを廃止する傾向にあります。

2 テストの作り方
 作り方の手順は、次の(1)〜(5)の通りです。この時、もっとも重要なのは(5)の平均点の設定です。事前に平均点を設定したり、予想できないようではテストを行なう意味が半減します。先生の思い込みや過去の経験や直感だけに頼っていては、科学的な分析はできません。授業中の子どもの実態をよく観察し、±数点の誤差(5%程度)で設定できるまでに頑張りましょう。これができるようになったとき、あなたの観察眼は公平で信頼できるものになったと言えます。

(1) テスト範囲を決定する
 一般的には、教科書と補助教材(問題集を含む)のページ数を決めます。生徒の立場になると、勉強する範囲が明確になっていないと、何を勉強したら良いかわからないからです。また、理科の場合は、第1分野と第2分野ができるだけ均等になるように配慮します。

(2) 教科書の内容や重要語句を確認する
 どれほど簡単でも、逆に、どれほど難しくても出題しなければならない内容があります。これらは、教科書を見て十分に確認して下さい。私は、教科書をほどんと使わないで授業を行なうので、この作業を必ず行ないます。また、テスト勉強をする生徒は、一通り教科書に目を通すので、先生自身も必ず目を通して下さい。教科書中心に授業を展開しているなら、なおさらです。その場合は、細部までよく見直すことも大切ですが、基本となる部分は確実に出題するようにして下さい。

(3) 補助教材の内容を確認する
 教科書と同じように確認して下さい。生徒は、必ず目を通します。また、授業で考えた練習問題のいくつかは、必ず出題するようにしましょう。授業に対する生徒の取り組みが変わります。また、授業で問題集を使っている場合も、同じような問題を作成して出題して下さい。

(4) 先生が授業用に作った『学習プリント』の内容を確認する
 これは先生の個性が溢れた内容なので、学習指導要領の内容から逸脱しないように注意して下さい。また、分量も多くなりがちなので注意が必要です。しかし、先生が独自に作成した教材(学習プリント)の内容こそ、定期テストの内容に相応しいものです。業者が作った一斉テストは画一的な学力しか測定できませんが、先生が作ったテストは違います。子ども、地域の実態に応じた学力が測定できるからです。また、このページの冒頭で述べたように、テストの第1目的は、先生自身の授業を点検することです。

(5) テストの平均点を設定し、問題を作成する
 私は生徒の実態に合わせて、55点〜65点の範囲になるようにして作ります。子ども達がやる気を出しているとき(あるいは、学力が高い地域)は、平均点を低く設定し、逆に、自信を失っている時は平均点が高くなるようにやさしい問題を多くします。テスト前後の子どもの実態に合わせて、しなやかに問題を作って下さい。なお、先生の授業レベルが高ければ、生徒の学力レベルも高くなります。詳細は別ページ『』を参照して下さい。

とても学力が低い学校におけるテスト作成例
 教科書の章末問題(各章のまとめとして、章末にある問題)から出題します。教科書の紙面は限られているので、基本的な問題しかありません。少ない数で確実に出題するためには、最適な問題集であるとも言えます。この場合、問題の解答と解き方を確認しておいて下さい。もし、解き方まで丁寧に解説したなら、その問題から応用問題を作成します。ごく簡単な暗記問題なら、そのまま出題しても構わないでしょう。

3 平均点は55点〜65点
 平均点55〜65点になるように問題を作成します。そして、テスト後に、先生の予想点と実際の平均点を比較して下さい。予想と5点以上違う場合は、テスト問題と授業内容に問題があります。先生自身がよく反省し、毎日の授業を改善して下さい。そして、生徒の実態をよく把握した上で、次のテストを作成して下さい。

2008年1月1日

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