このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第10章 評価は不要物か

12 定期テストの作り方 2014年

 定期テスト作成は、簡単で単純な作業です。難しく考えている先生は、次の手順でこれまでの自分の授業を振り返ってみましょう。テストは、あなたの実践を振り返る作業です。

手順1 授業時間数を確認する (10分〜20分)
 あなたの授業ノートや進度予定表などを利用して、これまでの授業内容•タイトルを拾い出します。1回の定期テストまでの授業時間は、わずか10時間〜20時間です。週1時間だけの教科(技術家庭、音楽など)は全クラスを統一しなければいけないので、数時間になることもあるでしょう。なお、時間数や内容の確認作業はテスト範囲を決定する時に終わっているはずです。

手順2 1時間の配点を単純計算する (5分)
 例えば、授業20時間で100点満点のテストを作成する場合、1時間あたりの配点は5点です。計算式は「100÷20=5」です。したがって、1時間につき平均5点、問題数にして2問程度作成すれば良いことになります。1時間につき2問ずつ作れば良い、ということが分かれば、気持ちが楽になりますよね!

手順3 授業で教えたことを拾い出す (40分)
 1時間ごとに教えた内容を確認します。私のように毎時間手作りの学習プリントを使っている先生は、蛍光ペンでポイントをチェックしていけば良いでしょう。ワークノートを使っている先生も同じです。この作業は、あなたの1時間の授業内容を振り返ることです。理想的な授業をしている先生は、毎時間の得点配分が同じになるはずです。問題がつくれないように思う授業でも、あなたが一生懸命教えたなら、その一生懸命教えた内容を問題として出題してください。それは言葉や問題にするのに適した内容ではないように感じますが、それは違います。子ども達に伝えたくて精一杯授業した内容なのですから、本気で出題してください。それが学校の定期テストの真値です。画一的なテストで良いなら、業者テストで十分です。あなたの授業を問う、本物の問題を出してください。私はそのような問題を作成する時にわくわくします。

 なお、1時間ごとの内容が分からない、思い出せないような先生は反省してください。毎時間、きちんと授業を反省する習慣をつけましょう。反省する時間は5分で十分、箇条書き、メモで十分です。それができないから、テストの時につけが回ってくるのです。繰り返しますが、テストは先生自身の授業を振り返る作業に過ぎません。楽しかった充実した授業を振り返り、にやにやしながらテスト作りができる先生になりましょう。

手順4 問題用紙を作る (3時間〜5時間)
 手順3ができれば、問題はすぐできます。ペンでチェックした重要ポイントを問題にするだけです。単純作業に近いので、さくさくできます。うまくできない先生はテストに出題できるような授業内容がなかったわけです。十分に反省した上で、教科書の内容に沿い、教科書をそのまま問題にしてください。あるいは、問題集をそのまま写してください。これは本気です。ひねる必要は一切ありません。

作成のヒント
(1) 教科書の重要語句を答えにする

 教科書の重要語句を拾い出し、それがそのままが答えとなるような問題をつくります。ただし、その重要語句の扱い方はいろいろです。知識•理解として扱うなら、その語句を単純に知っているかどうかを問います。思考として扱うなら、他の語句と比較•思考•決定させるようにすれば良いでしょう。関心•意欲•態度として扱うなら、授業の導入や雑談で扱った内容と絡めて出題します。このように、同じ1つの重要語句であっても、扱い方は多様です。微妙に変化させ、他の問題とのバランスを取るようにしてください。

(2) 授業中の小テスト、補助教材、プリントから出題する
 授業中の小テストをそのまま出題しましょう。補助教材もそのまま出題してください。ひねりを入れる必要はありません。同じような問題でなく、まったく同じ問題で十分です。学習を苦手な生徒にとって、やればできる、やれば点がとれることを体験させることは非常に重要です。先生がよかれと思って作成した応用問題の多くは、先生の思考パターンを認知•理解•解決させることに他なりません。多くの生徒は先生につき合ってくれていること、をお忘れなく!

 私はテスト2週間ほど前から、空き時間を利用して少しずつ作ります。すると、自分でも知らない間に完成しています。見直しもできるし頭も冷えるので、落ち着いた問題用紙が完成します。一気につくるのも悪くありませんが、少しずつ作るのは負担を感じないための手法です。毎日30分〜1時間ずつ作成、ぼちぼち作成する習慣をつけると、毎日の授業も豊かになります。

手順5 模範解答(用紙)を作る (1時間)
 模範解答(用紙)は、問題用紙と同時進行で作成しても良いでしょう。私は、基本的に先に問題用紙を作りますが、行き詰まった時の気分転換の1つとして模範解答用紙をつくることがあります。なお、完成した模範解答用紙から解答を消すと、生徒が解答するための解答用紙の完成、ということになります。

手順6 解答用紙を作る (1時間)
 手順5で述べたように、模範解答用紙ができれば解答用紙もできたと同じです。さて、ここでテスト後の採点を楽にするためのアドバイスをします。解答欄の配列を単純にしてください。できれば年間を通して同じにします。記述が多い国語や英語は難しいと思いますが、それでも枠幅や行間の使い方を統一しておくことで、採点ミスを減らすことができます。

手順7 問題用紙と解答用紙を実際に使ってみる (40分〜1時間半)
 問題用紙と解答用紙ができたら、印刷前に自分で使ってみましょう。思わぬミスを減らすことで、テスト当日の先生にゆとりが生まれます。

手順8 問題用紙と解答用紙を印刷する (1時間)
 心を込めて印刷しましょう。上下左右の位置を微調整し、穴も丁寧に空けます。1時間あれば十分にできることです。印刷ミスや数え間違いないようにしてください。生徒や保護者にとって、定期テストは大きな関心ごとの1つです。

2014年6月2日

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