このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第4章 学級運営

4 室長(学級委員長)の決め方

 室長選びは、とても重要です。室長の人柄を含めた力量によって、学級運営が大きく変わるからです。このページは、異なるいくつかの小学校から入学してきた新1年生の中から、男女各1人の室長を選ぶことを想定して解説します。


1 入学式の翌日の学級活動の時間
(1) 新1年生で分からない場合は、小学校での経験者を挙手させる。
(2) 手の挙げ方で、その子のやる気を判断する。
 → 中学校でもやりたい生徒は、しっかり手を挙げます。
 → 逆に、小学校で「やらされた」という感覚の生徒は嫌な顔をします。
 → 周りの生徒も、その子のやる気を判断するでしょう。
(3) 明日、正式決定する旨を学級に伝え、予備調査をする。
(4) 「中学校で室長をやりたい人」を挙手させる。

ここまでの生徒への話し方
 「さっそくですが、このクラスの代表を決めたいと思います。小学校では学級委員長、クラス委員と呼んでいたかも知れません。経験してきた人も何人かいると思いますが、クラスの代表はとても大切なことは知っていると思います。先生のお手伝いではありません。本当に君たちのやりたいことを決めるために話し合い、みんなの違う考えを1つにまとめ、最後に、大きな声で説明して行動までする人です。とは言っても、やるこは小学校と同じでですから怖がることはありません。先生はできるだけ口出しないようにしますが、できない場合は手伝います。積極的、あるいは、明るい、あるいは、人の話をきける、冗談がうまい、行動力がある、頭がいい、そのうち1つがあれば室長になれます。男女1人ずつ決めるので、例えば頭が悪くてもいつでも元気いっぱいで男女誰からも人気がある男子と、静かで頭の回転が速い女子の2人が室長になるなら、とてもバランスのとれた良いクラスになると思います。どうです、誰でも室長になれそうでしょ。誰にでも良いところがあります。性格が明るい、いつでも大きな声が出せる、真面目、常に冷静、みんなの意見をまとめられる、などいろいろあると思いますが、このうち1つでもあれば室長になれます。明日、決定します。立候補、そして、選挙によって決めますが、ちょっと聞いてみましょう。今、中学生になって室長になりたいと思っている人、手を挙げて下さい。」

 「うん、男女1人ずつちょうどいますね。皆さん、拍手!」

 「はい、ありがとう。でもまだ決定ではありせんよ。明日、もう1度全員に尋ねてから決定したいと思いますので、今日1日、家に帰ってよく考えてきて下さい。無理に張り切ると半年間失敗だし、自分も友達も大変ですからね。それに勘違いもいけません。室長の他にも、小学校と同じように委員会や係りの活動があるので、例えば英語に興味がある人は英語の学習係りとして一生懸命活動すれば良いです。」

2 翌日の学級活動の時間
(1) 立候補するとき、一言発表させる。
(2) 挙手による多数決で良い。
 → できるだけ明るいオープンな雰囲気を作りたい。
 → 必要に応じて、小さな紙を使って投票させる。
 → 1人しかいない時は、信任の拍手で良い。

 生徒への話し方
 「それでは、昨日話をしておいた通り、室長を決めます。やりたい人!」

 「男子2人、女子1人。他にいませんか!!」

 「はい、立候補した3人に拍手!!」

 「では、これから決定したいと思いますが、男女各1人ずつ選ばなければならないので、まず女子を決めましょう。1日、家で悩んで考えてきたと思いますので、みなさんに一言、室長に立候補した理由を言って下さい。その後に、賛成できる人から拍手をもらうことにします。理由は難しいことを言う必要はありません。特に言うことが思い浮かばないなら、『一生懸命やりますので、よろしくお願いします。』と言えば、みんなから拍手がもらえると思いますよ。それでは、Aさん立って前に出てきて下さい。」

 「それでは、一言お願いします。」

 「はい、みなさん拍手をありがとう。これでAさんに決定ですね。さて、次は男子です。2人いるので、2人から1言ずつ立候補した理由やどんなクラスにしたいか話をしてもらってから拍手で決めることにしましょう。じゃあ、B君、C君、ほんの少しだけ時間をあげますから一言考えて下さい。他の人は、静かに待っていて下さいね。では、B君、C君前に出てきて一言お願いします。」

 ─ B君の話 ─

 ─ C君の話 ─

 「では、多数決を取ります。1人1回だけ手を挙げて下さい。一生懸命話をしてくれたので、皆さんもどちらかを選んで真直ぐに手を挙げましょう。では、聞きます。C君が良いと思う人!」

 「B君が良いと思う人!!」

 「はい、17対19でB君とします。皆さん拍手! では、B君とAさんは前に出てきてもう一度、一言お願いします。みなさんにたくさん拍手をもらって決まったのですから、さっきよりしっかり話をして下さい。」

 「はい、皆さん大きな拍手をありがとう。これで、1年3組も楽しくスタートできそうです。また、C君は惜しくも破れてしまいましたが、大変実力があるようなので2人を助けてクラスを盛り上げて下さいね。皆さん、惜しくも破れましたがC君の勇気に拍手しましょう。」


どうしても、何を言っても立候補が出ない時
(1) 小学校の経験者を挙手させる。
(2) 経験者を廊下に呼び、担任が入って相談する。
 → この場合、能力が高いにもかからわず、小学校でやる気を失っている生徒が多いので、やる気がでるような話をする。前日の話では効果がなかったわけだから、さらにやる気がでるような話をする。
 → 1番やる気のある生徒を教師が指名してもよいが危険を伴う。これは非常手段であり、極力、生徒同士で話し合って決まるような雰囲気を作る。
 → 何10分かかっても頑張る。

(3) 経験者の中で承認を得る。
(4) 学級に戻り、全体の承認を得る。


どうしても仮の正副学級委員長が必要な場合
適当な理由をつけて先生が指名して下さい。
<適当な理由>
・ 席が1番前だから。
・ この前、字を見せてもらったら綺麗だったから。
・ 大きな声が出るから。

 ただし、仮の生徒を数日間使うのは危険です。仮はつくらない方が正当です。そのような仕事は先生がやればよいのです。室長には、教師ができないような創造的・自主的な仕事を与えなければ失礼、学級運営失敗です。雑用なら誰でもできるのだから、室長という名称を与えてはいけまん。号令係り、点呼をする係り、教科書の数を点検する係り、物を運ぶ係りで良いのです。できるだけ早い段階で正式な学級委員を決定し、彼らと一緒に楽しい学級をつくるための相談をしましょう。彼らを中心にして、自主的な活動の輪がどんどん広がっていくはずです。

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