このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第6.3章 校 則

8 バレンタインデーの不要物
  ─学校に不要物を持ってきてはいけませんが─

バレンタインデーとは
・毎年2月14日、世界各国で『男女が愛を誓いあう日』とされています。
・正確な歴史的由来は不明です。例えば、269年(ローマ時代)の聖ウァレンティヌス(テルニのバレンタイン)に由来するという説は、1960年代のバチカン公会議で削除されました。
・日本では、女性から(好意をもった)男性へチョコレートを贈りますが、その歴史は約50年です。また、男性から女性へお返しをするホワイトデー(3月14日)は日本だけに見られる風習で、さらに歴史が浅く、由来も不明です。

1 学校に不要物を持ってきてはいけません
 学校への不要物持ち込みを認めると、興味関心が強い子どもは、玩具を次から次へと持って来ます。新製品の発表会になるだけでなく、高額な遊具の貸し借りが始まります。子どもは大人の真似をしますから、普通の生活をしている子どもでは想像がつかないレベルの事件になることもあります。取り返しがつかない新聞ニュースになる前に、毅然とした態度でことは指導して下さい。校内への不要物持ち込みは一切禁止であり、1つの例外も見逃しはいけません。

2 学校にお菓子を持ってきはいけません
 お菓子の持ち込みもこの理論の延長線上で説明できます。初めは、美味しいお菓子を見つけた喜びを友だちと共有するために、「美味しいから食べてみて」に始ます。しかし、時間の経過と共に、「それ1個ちょうだい」「どうして私にだけくれないの」「明日も買って来い」のように発展する可能性があります。ジュースなどの飲み物も同じような危険性があります。

3 バレンタインデーのチョコレートは不要物か?
 したがって、校内にチョコレートを持ち込んだり、校内でチョコレートを食べることは許されません。チョコレートは間違いなく不要物です。しかし、バレンタインデーの日のチョコレートは不要物でしょうか。私は、この日に限って、教師の力量で教育上有効なものに変えることができまると思います。ただし、指導力が弱い先生は「絶対にダメ」と言い切って下さい。特別な日であっても例外を認めることは危険です。

4 チョコを使って人間関係を深める方法
 子どもと十分な人間関係ができていて、子どもを十分に信用できる先生は、バレンタインデーのチョコレートを使って、さらに深い人間関係を築くことができます。その具体的な手順は次の通りです。

前日の話し方の例(中学1年生に対して)
 「明日はバレンタインデーだけど、小学校の時にチョコをもらった人?・・・はいはい・・・ざっと15人位かな。女子もいるようですが、・・・なるほど、女の子と交換したのですね。まあ、小学校はどうだったか知りませんが、中学ではお菓子を持ってくることは禁止です。これはもう十分知っていると思いますが、明日に限っては、チョコが見えてしまっても見えないことにします。ただし、誰か友だちから「@@さんがチョコを持ってきているから注意して下さい」という苦情が来たら、先生はいつもと同じように厳しく注意します。したがって、絶対に見えないように注意して下さい。他人に気付かれないように気を使って下さい。もちろん、学校の中で食べることは禁止です。もらったものは、そっと家まで運んで、家で楽しんで下さい。友だちと分け合って食べることは禁止です。

生徒全員に対して約束すること
(1)チョコレートは不要物である
(2)翌日に限って、チョコレートの持ち込みを黙認する
(3)チョコレートは校内で食べない
(4)(3)を破った場合は、厳しく指導する
(5)プレゼントする相手以外に分からないようにする
(6)(5)を破った場合は、厳しく指導する
(7)チョコレートに関連することで、授業に障害を出さない
(8)チョコに関する話題を慎む

当日:

5 クラス全員分のクッキーを焼いてきた生徒
 これは、卒業後のクラス会へと結びつくでしょう。また、部活動のお別れ会などにも応用できます。

6 そもそもバレンタインデーが不要物
 子ども達の中には、チョコレートと無縁だっり、冷ややかな態度で見ている子どもいます。「バレンタインデーなんか無くなれば良いのに」と思っている子もたくさんいます。しかし、教育的効果を狙った場合は、2月14日が、次のように変質します。
(1)個人的なことは、他人に見せびらかさない。
(2)個人的なことで、他人に迷惑をかけない。
(3)今回の自分は、他人の秘密を見ないようにする立場だったけれど、これから先、他人が自分の秘密を守ってくれることがあることを体験的に理解する。これは、大人も子どもの関係ないことで、秘密にする範囲や状況を適切に判断できることにつながります。
(4)遊び心、ゆとりある心が育つ。

7 1980年代の生徒と先生の関係
 私が新卒の頃は、暗黙の了解の中でチョコレートの交換をしていました。生徒にとって先生は怖い存在でしたが、バレンタインデーは特別な日であり、先生が見逃してくれることを知っていたのです。それは、先生と生徒のとても良い関係であり、どんなに強く指導してもお互いに信頼しあっていることを確認する日だと感じていました。また、野犬どうしが喧嘩する場合、どんなに真剣になっても、けっしてかみ殺すことなく勝敗を決めるのと同じ原理を感じていました。

2008年3月19日

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