このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

34 授業内容のレベルを下げる

1 授業内容のレベルとは
 授業内容のレベルとは、その難易度です。簡単な計算問題を例にすると、次の(1)〜(3)の順にレベルが高くなります。
(1) 1+2=3 (片手でできる計算)
(2) 3+4=7 (両手でできる計算)
(3) 5+6=11 (手指だけでできない計算)

2 文部科学省が示したレベル
 学習指導要領に示された内容の大部分は、適切なレベルです。高くも低くもないと思います。小学校から中学へ、それぞれの年齢に応じてほぼ適切に設定されています。もし、先生自身が高いと感じるなら、明らかな勉強不足です。生徒に教える前にしっかり勉強してください。逆に、低いと感じるなら良く勉強された証拠です。自信を持って指導してください。

3 授業レベルを上げることは楽しい
 授業レベルを上げることは、先生にとって楽しいことです。とくに、教材研究で新しい指導方法を考えたり、たくさんの準備をしたりしたときは心踊ります。「本当にうまくいくかな?」「生徒は喜んでくれるかな?」 不安と期待が入り交じり、授業が待ち遠しく感じるものです。

4 レベルを下げることは悲しいけれど・・・ 
 逆に、授業をレベルを下げることは悲しいことです。頑張って準備した授業なら、理解できない生徒にいらいらし、「どうしてわからないだ!」と怒鳴りたくなることもあるでしょう。「昔は良かった」と嘆き節を聞かせたくなることもあるでしょう。しかし、我慢してください。授業レベルを下げてください。授業を行うのは先生ですが、その主人公は生徒です。

5 上げる下げるのではなく、適切なレベルにする
 そもそも、授業レベルは上げ下げするものではありません。生徒に合わせて柔軟に対応するものです。その結果、上がったり下がったりするように感じるだけです。全ての生徒のスタート地点は0(ゼロ)であり、それが基準です。今の生徒の現状から始めてください。先生の仕事は、適切なレベルを設定をすることです。設定は授業前に行いますが、授業がはじまってからも柔軟に対応してください。

6 レベルを下げても、最終的には標準まで上げること
 一時的にレベルを下げても、最終的には戻ります。各単元の終りには、文科省が示した内容をクリヤーしましょう。それほど大変なことではありません。むしろ、標準的な内容より、小学校の復習の方が楽しい時間になるものです。小学生低学年の内容を復習してもよいでしょう。『基礎や基本は応用より難しい』ことは、小中学校の先生なら誰でも知っています。小学校で理解できなかった内容を、中学校で生まれて初めて理解したときの歓びは極上です。その感動の瞬間に立ち会ってください。
→ 実践例:日本地図の色塗り

7 高くすることにこだわる先生
 ここで問題なのは、レベルを高くすることにこだわる先生です。とくに長年勤めている先生は、毎年同じ内容を教えているので、内容を深く理解しています。その結果、生徒は変わらなくても、毎年のように生徒ができなくなるように感じます。「最近の生徒は勉強しないからダメだ!」 そのような台詞を年配の先生から聞いたことはありませんか。生徒はいつの時代でも同じように大人社会の影響を受けています。生徒は大人(先生)の鏡です。生徒をダメだと言う先生は、ダメな先生です。

8 1つの学年を複数の先生で担当する場合
 1つの学年を先輩と一緒に教える場合、先輩はあなたの力量に合わせてくれることでしょう。生徒に不公平が出ることは許されないからです。敬意を払って、たくさんのことを教えてもらってください。逆に、自分が先輩の立場になったら、後輩にできる限り合わせてあげましょう。ただし、自分が合わせたとしても、後輩は自分以下ではありません。あなたより情熱的に伸びようとするなら、情熱と向上心において、あなたより上です。これは生徒でも同じです。自惚れないように授業レベルを下げましょう。

2011年2月16日

↑ TOP

[Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home

(C) 2011 Fukuchi Takahiro