このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

28 失敗した原因はすぐ教える

1 失敗して落ち込んでいる生徒
 失敗して落ち込んでいる生徒に、その原因を追及させるのは愚かです。なぜなら、初めから失敗することがわかっていて、あるいは、叱られることがわかっていて失敗する生徒はいないからです。先生は、次回成功するように励ましたり、成功する方法を教えたりするべきです。それでは次に、算数の計算問題 5-(-7)=?  ができなかった生徒について考えてみましょう。

2 単純なミスで失敗した場合
 中学3年生にとって、この計算問題はとても簡単です。あまりに単純なので、5-(-7)=-2のように答えてしまうことがあります。うっかりミスです。高度な問題をスラスラ解く生徒でも、「これは簡単だ!」と思った瞬間に失敗することがあります。このようなケアレスミスをおかす生徒には、性格上の欠点を指摘します。「簡単な問題ほど、よく確認すること」「いつでも自分のペースを守って考えを進めること」「早くできたら、何度も見直すこと!」「見直す時は、文字(数字)が乱れているものを重点的に見ること」などです。ケアレスミスをおかす生徒は、どの教科でも、日常生活でも同じように慌てる傾向にあります。具体的に、数学の問題を使って、単純な失敗をしない行動ができるように指導しましょう。

3  根本的に解決できない場合
 5-(-7)=? という問題には、2つの数字が出てきます。この2つの数字の意味が分からない生徒は、その意味を教えてもらわない限り、永遠に解くことができません。しかし、数字の意味を教えることは、簡単ではありません。アラビア数字を知らない人もいるでしょう。マイナスの意味を知らない人もいるでしょう。数学は、数学者によって完璧に定義されたものの上にあります。したがって、その定義を知らないければ何もできません。間違えた原因は、数学の定義を知らないことです。生徒は、自分で学習するか、先生に教えてもらうかの2つの道しかありません。先生はすぐさま、できるだけ効率的に教えてください。考えさせる必要は一切ありません。ちなみに、5-(-7)=12です。

4 友達と喧嘩したことを後悔している生徒
 次に、友達と口論して、ついつい言い過ぎて後悔している生徒について考えてみましょう。その生徒が相談に来た時、私は、原因を追求しません。何があったか話してもらうだけです。話を聞いているうちに、生徒は自分の失敗の原因に気づくでしょう。単純な原因なら、友達に「ごめんなさい」すれば良いことです。生徒が自分でも気づかない無意識レベルの原因があったなら、私が指摘する場合もあります。

5 先生がわかっているなら、すぐに教えること!
 先生は、失敗の原因を追求させるのではなく、成功へのアドバイスをしてください。失敗の原因がわかっているなら、すぐさま教えてあげましょう。先生でも原因がわかるような失敗については、すぐさま原因を教えるべきです。意地悪な先生は嫌われます。授業内容について、先生はすべて答えを知っているはずです。フェイントをかけたり、ほんの僅かな時間考えさせたりすることもありますが、出し惜しみする必要は一切ありません。失敗原因を教え、成功体験をさせ、成功をほめたたえ、自信をつけさせましょう。失敗は必ずします。生徒が成長すれば、先生にも原因がわからない問題が出てきます。その時、一緒になって真剣に考えましょう。生徒は、一緒になって考える先生のことを尊敬するまでに成長していることでしょう。

2011年2月6日

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