このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

26 やる気を引き出す方法

1 やる気って何?
 やる気とは、新しいこと、未知なこと、困難なこと、面倒臭いこと、失敗する可能性があることに対して挑戦しようとする気持ちです。好奇心旺盛な子どもは、いろいろなことに対して『やる気』をもっていますが、『やった後の結果』や『経験』によって、その後の『やる気』が大きくなったり小さくなったりします。このページでは、やる気を大きくする方法を紹介しますが、「何でも大きければ良い」ということはありませんので、ご注意を!

2 やる気を引き出す準備
 やる気の土台として、心が安定していること、自分に自信を持っていることが必要です。『根拠のない自信』で始まることもありますが、自信は、過去の良い経験、成功、誉められた体験などから生まれます。より大きな自信は、より困難なもの挑戦しようとする『やる気』に変わります(図1)。自信を持っている子どもは、ほんの僅かな動機づけによって、期待以上の活動をします。

図1 やる気が生まれるまでの段階

リラックス
(安心)する
ほめられる 満足感をもつ 自信をもつ 新しいことに挑戦する
(やる気)

3 安心できる学級作り
 授業におけるやる気は、安心できる学級が基礎です。失敗しても大丈夫、やってみよう、発表してみよう、発言してみよう、という雰囲気が大切です。先生は、生徒の誤りを指摘するのではなく、安心してチャレンジできる環境を整えるようにします。級友から心ない批判をされるようなら、厳しく注意しても良いでしょう。他者の行動はある程度予測できるので、良い雰囲気を作ることが大切です。学級担任が中心となって各教科担任と情報を交換しあい、みんなで作りましょう。

4 自己効力感こうりょくかん
 自己抗力感とは、『できそうだ』という感覚です。これは過去の自分の経験だけでなく、友達の活動の様子を観察したり、友達や先生の励ましや応援の言葉などによって高くなります。そして、自己抗力感が十分に高まった時、不安感よりも期待感が高くなった時、実際の活動へ移ります。余談ですが、多くの老人は『過去の自己効力感』によって生きています。

5 成功、そして、賞賛
 成功したときは、先生だけでなく学級全体で賞賛するようにしましょう。『できた!』という評価は自分の中で行われるものですが、それを学級全体で行うのです。そうすることで、より大きな満足と自信を持つことができます。

6 チャレンジしたこと、視点を賞賛する
 先生の腕の見せどころは、生徒が失敗した時です。期待した結果でない場合、チャレンジしたこと、考えた視点を誉めましょう。絶対に見つけて下さい。そして、言葉にして誉めて下さい。具体的に詳しく解説して下さい。何が成功への鍵となっているのか、何が失敗した原因だったのか、臨機応変に的確にアドバイスして下さい。これは先生の仕事です。何も見つけることができなければ、「ごめんなさい!」心で呟いてから、「おしい!」「もう少し!」「次は成功だよ!」などと言います。

7 動機づけより大切なこと
 若い先生の多くは、授業の初めに「面白いものを見せて動機づけしよう」と考えますが、それよりも大切なことがあります。次の7つを参考にして、やる気のある授業になるように心掛けて下さい。
(1)先生の授業は楽しい、何かある、という期待感
(2)授業の初めに、1時間の目標と計画を示すこと
(3)失敗しても大丈夫、という安心感
(4)先生は、チャレンジしたことを誉めてくれるという期待感
(5)先生は、失敗しても「良いこと」を探し、誉めてくれる、という安心感と期待感
(6)失敗しても、だんだん良くなっていくという喜び
(7)今はできなくても、1つずつできるようになっていく喜び

8 自己決定感
 自分が決めたと言う感覚をもつと、非常に高いやる気が出ます。

2010年5月22日公開

↑ TOP

Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン
→home

(C) 2010 Fukuchi Takahiro