このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

33 静まり返った授業を打開する

1 静かな授業、静まり返った授業
 『静かな授業』と『静まり返った授業』は違います。前者は理想の1つです。私語がなく、先生の話を熱心に聞いたり、友達の意見に耳を傾けている授業です。これに対して、後者は悪い状態の1つです。先生はがんばっているのですが、生徒は無反応、黙って座っているだけの授業です。静まり返った状態になると、先生はますますどうしたら良いかわからなくなり、悪循環で身動きが取れなくなることがあります。これは、私語ばかりの『騒がしい授業』と同レベルです。

2 静まり返る原因
(1) 気温が高い、低い、蒸し暑い
(2) 体育の後で疲れ果てている
(3) 友達に大きな不幸があった
(4) 前の時間に怒られた
(5) 先生の話がわらからない(難し過ぎる)
(6) 逆に、簡単過ぎる
(7) 先生の話が中学生の興味関心から大きく外れている
(8) 先生のテンションが異常に高い
(9) 先生の顔が恐い
(10) 間違い発言を非難する生徒(いじめっ子)がいる
 以上、静まり返る原因はいろいろなので、以下にそれぞれの打開策を番号順に紹介します。

3 教室の環境、および、身体を整えよう!
 (1)のように環境が整っていない場合は、窓を開けたり冷暖房を入れたりしましょう。ある程度の時間を使って環境を整えることは、効果的な学習をするために必要です。また、(2)のように身体が疲れているなら、授業の初めに数分間のリラックス・タイムを取っても良いでしょう。私は、夏の体育の授業の後によくとります。自分の席に座り、ゆっくりさせます。やる気まんまんの生徒のために、授業内容を簡単に紹介したり、黒板に少しだけ板書したりする配慮も忘れません。

4 心の状態を把握しよう!
 (3)や(4)のように生徒の心がふさぎ込んでいる場合は、どうしようもありません。授業内容を変更したり、内容を減らしたり努力するべきですが、無理は禁物です。1年のうち、何度かは生徒と一緒に我慢する時があります。

5 授業内容は、生徒のレベルに合わせよう!
 (5)と(6)のように授業と生徒のレベルが不一致なとき、授業は静まり返ります。ただし、一気に静まり返ることはないので、生徒の小さなサインやつぶやきから、内容を柔軟に変更してください。レベルを大きく落としたり、思いきって飛ばしたりしてください。

6 タイムリーで生徒が関心を持っている話題を探そう!
 (7)のように先生は楽しいと思っても、生徒は白けている場合があります。(8)のように先生が異常に盛り上がり、生徒がドン引きする場合もあります。いずれも、生徒の反応を見ながら話をすれば、大丈夫です。静まり返る前に、「ごめん。先生が調子に乗り過ぎました。授業に戻ります!」と反省を述べてください。生徒はほっとするでしょう。

7 話を聞く先生になろう!
 (9)の『恐い顔』とは、何を言っても受けつけてくれない性格を意味します。生徒から「とりあえず聞いてくれる先生」と言われるようにしましょう。生徒を否定するのではなく、拾い上げる先生になりましょう。

8 みんなで学級の雰囲気を良くしよう!
 (10)のように友達の発言や行動を非難する生徒がいると、授業は暗く沈みます。これを打開するために、先生は、問題発言に気づいたら、すぐに指摘してください。「その言い方はよくありません」「心を傷つける発言はやめなさい」「言葉の暴力は許しません」「それは明らかな心に対する暴力、暴言です」「君のその一言は、勇気ある発言に対して間違っています」「それは『自分の方が上だ』と自惚れている人間の言葉です」など、タイムリーに明確に指摘しましょう。学級会を開くのではなく、授業中に、具体的に1つずつ改善するようにしてください。他のみんなは黙っていても、先生に協力してくれるはずです。1つずつ、丁寧に指導していきましょう。

2011年2月14日

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