このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

30 生徒のつぶやきを拾う

1 生徒のつぶやき
 つぶやきとは、とても素朴な疑問や心の内側から湧き出る言葉を思わず口にしてしまったものです。「どうしてかなあ?」「あれって何だろう?」「前のと関係あるのかな?」「○○みたい」「あれと同じだな」「それは知っている」「おばあちゃんから聞いたことがある」など、ぼそっと口にしてしまったものです。

2 つぶやきの種類
(1) 自分自身に対する小さなつぶやき
(2) 先生に対する質問、発言
(3) 友達への話しかけ

3 つぶやきは核心に触れるものがある
 心の底から自然に出てきたつぶやきの多くは、学習内容の機微や核心に触れるものです。そのような言葉を聞いた時は、すかさず拾い上げて下さい。「たしかに当たり前のことだけど、どうしてだと思う? そこがポイントなんだよ」「そこを疑問に思うことが、すごいことなんだよ」「前の問題と関係あることに、よく気づいたね」「それと似ているけれど、どこが似ていると思う?」「前のと関係あるけれど、その関係がわかる人はいますか!」「先生も○○みたいだと思うけれど、それはどうして?」「同じだと思うのはどうしてですか?」「えっ、どこで聞いたの?」「おばあちゃんは何て話ていた?」などです。

4 意識していなかったことを言葉にする
 つぶやきを拾われた生徒は、饒舌に、あるいは、深く思い出しながら、あるいは、深く考えならが自分の言葉でしっかり話をするものです。それを聞く周りの生徒はとても良く集中して話を聞くでしょう。先生は、生徒が思わず呟きたくなるような話を授業の中にちりばめてください。

5 私語を拾い上げて、授業の中心にすえる
 近くの友達に思わず話し掛けてしまった私語は、とてもタイムリーな話題、興味深い内容であることがほとんどです。注意するのではなく、授業にメインストリートに引っぱり出しましょう。「A君! 今、B君に話したその話をみんなにしてよ。とても良いよ。先生が言いたいのは、まさにソコだからさ。みんなも知っていると思うけれど、お願い!」「その話! とても分かりやすいから、みんなにも紹介して!」など、思わず声を出てしまった生徒の気持に乗っていきましょう。授業は、いっきに盛り上がるはずです。

6 理解力の低い生徒が『先生、わかんないよ』と言ったら
 最高のチャンス到来です。通常、成績が悪い生徒は、自分から「わからない」と言いません。恥ずかしいからです。助けを求めてきた生徒を使って授業を展開しましょう。先生は、学級全体が応援するような雰囲気を作ってください。とても和やかな時間、素敵な時間が過ごせるはずです。できる生徒にとっても、基本に立ち返るよいチャンスになるばかりでなく、基礎の大切さ、基礎の奥深さを体験する絶好のチャンスになります。まさに、多様な生徒が集った学校における授業の醍醐味を堪能できると思います。

7 普段と会話と同じように授業を進める
 大きな声で授業を進めると、声の大きな生徒に反応してしまいがちです。その結果として、元気が良い一部の生徒を中心にして授業が進みます。これは悪いことではありませんが、時には目立たない生徒のつぶやきも拾えるように、小さな声で授業してみましょう。もちろん、基本は日常会話と同じように話すことです。これまでにない雰囲気ある授業を楽しめるはずです。

2011年2月8日

↑ TOP

[Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home

(C) 2011 Fukuchi Takahiro