このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第3章 理科の授業

1 おもしろい授業

 教師になったばかりの先生は「面白いオリジナル実験をしよう」と悩む傾向がありますが、そこには大きな間違いが含まれています。つまり、面白い授業をすることは大切ですが、次のような間違った考えを持ち続けていると、理科だけでなく、すべての教育活動において取り返しのつかない重傷を負います。最近のテレビ番組の中には、視聴者を驚かせる科学的な実験をおこなうものがありますが、学校の理科では絶対に必要なものではありません。

間違った考え
面白い授業= オリジナル実験のある授業
面白い授業= びっくりする実験がある授業
面白い授業= 生徒1人ひとりの実習がある授業

 ここで原点に戻って、「面白い」とは何か考えてみましょう。その基本は「教科書の内容が分かること」です。授業中、面白いことを言って笑わせる必要はありません。既成概念を打ち破るような実験をする必要はありません。ただ、黙って教科書とノートと黒板をにらめっこしていても最高に面白い授業ができるはずです。それができなければ、生徒は先生が準備してくれた「面白い」を期待する客になります。そんなおもしろいは長続きするはずありません。先生がダウンして終了です。

 中学生が最高に面白いと感じること=テストで満点を取ること。そこまで開き直りましょう。友達や保護者から誉められることはもちろん嬉しいことですが、それ以上に、偉大な科学者の業績を学んで理解し、自分のものにすることは最高に面白いことです。自然の神秘を1つずつ解き明かしていった科学者達の発見の喜びを教えて下さい。当時、誰も分からなかったことが見つけた感動を教えるのです。その感動は具体的な数字や言葉によって表現されてこそ本物です。つまりテストで100点です。全員が100点を取れるように頑張りましょう。その目標を達成するために、少しだけ実験や観察を付け加えます。

 次に、あなたに質問です。面白いと感じるのは誰ですか? 先生ですか、それとも、生徒ですか。私の答えは・・・両者です。しかし、先生が生徒より100倍以上面白さを感じなければいけません。楽しさを教えていることを忘れてはいけまんよ。初心者先生なら、生徒のことは忘れて、目の前の自然と正面から向き合って下さい。その姿勢を示すことも非常に大切です。生徒より先生の方がより楽しいと感じなければ、その楽しさ・面白さを教えること不可能です(これは、実験・観察のときの話)。

 また、体育の先生がこんな話をしていました。「ゲームをするのは面白いけれど、ゲームばかりじゃ行き詰まるので、基礎トレーニングが大切だ。」つまり、毎時間楽しいことを求めるのではなく、長い単元の中にいくつかの辛い授業時間があるからこそ、楽しい時期があることもお忘れなく。長い目で教育しましょうね。

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