このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

4 理科室の座席

1 年度初めは出席番号順
 新年度の初めは出席番号順にしましょう。男女混合でも男女別でも構いません。子ども達も新しいクラスに慣れることが先決ですから、たとえ出席番号順でも教室と違う配置なので新鮮な気分を味わいます。「なんだかんだ」と言われても黒板に座席表を書いておき、その順に座らせます。子どもはそれで納得します。

2 席替えのタイミング
 1年生なら5月中旬、2、3年生なら数週間したとろこで席替えをする必要があります。1年生については、複数の小学校が集まってできた集団なのでお互いの名前や性格を十分に知りません。ですから、ある程度固定しておいた方が気持ちが安定し、授業に集中できます。5月中旬から6月初旬までが席替えのタイミングでしょう。一方、2、3年生からは「早く席替えしてよ!」と催促の声が連発されるでしょう。子ども達は自分の親しい友だちと一緒の席になりたいからです。しかし、次の条件を説明し、それが満たせるようになってから席替えをして下さい。

席替えするための条件
1 放課中に全員移動し、着席していること
2 先生の指示があったら、静かにすること
3 上記1、2を連続して3回達成すること

3 理科室は自由席!
 「理科室は先着順の自由席です」 それを聞いただけでわくわくしませんか。1番前のロイヤルボックスに座るのも良し、1番後ろの席に陣取るのも良しです。子ども達は「我先に」と理科室に駆け込んでくるでしょう。遅れてきた生徒に選択権はないのです。友だちの座席を確保しておくこともできません。あくまで自分1人の席だけを選ぶことができるのです。この他にも、自由席であるためのルールがあるので、事前に生徒に説明して下さい。

自由席ルール
1 先着順。
2 自分の席しか確保できない。
3 友だちに席は確保できない。
4 実験台の定員(4人)以上は不可。
5 1人でもよい。
6 始業のチャイムから5分以内に全員確定する。
 ※5分の有余時間があるのは初回のみで、2回めからは始業前に完了する。
7 1〜6ができない場合、強制的に出席番号順となる。
8 毎時間、先着順の自由席とする(前回と変わってよい)。

4 初回のようすを観察しましょう
 この自由席ルールを読んでいると、戦国絵巻が思い浮かぶかも知れませんが、実際の生徒はとても民主的です。放課中に駆け込んでくるのですが、その後は、親しい友だちとブループを作り、他のグループと話し合います。半数以上は立ったまま、前の方と後ろのほうに分かれて話し合う姿が見られるでしょう。定員をオーバーしてしまうグループも必ず出ますが、これも話し合い、移動します。ジャンケンよりも話し合いが多いことに驚くと思います。生徒の力の凄さを目の当たりにして下さい。

※先生は、子どもを信じる勇気を持ちましょう!
子どもには「子どものルール」があり、それはとても合理的で民主的です。
できないとすれば、大人が介入するからです。
全てを任せてみましょう。
できないときは、番号順にすれば良いだけの話です。

5 1人になった生徒
 その一方で、1人で困っている生徒がいることも事実です。そのような場合は、先生がどこかの班に入れてあげて下さい。必ず適切な班があります。誰もが自分の好きなようにグループを作ったのですから、文句をいったり嫌がったりするような雰囲気が極めて薄い状態になっているからです。寛容な心ができあがっていると思うので、先生が適切な言葉を双方にかけ、ごく自然に入るようにして下さい。班が完全に出来上がる前に、99%完成したタイミングで声をかけます。そのタイミングがとても重要なので放課中から生徒の動きをよく観察して下さい。なお、小学校から1人で活動していたような子どもは無理に入れる必要はありません。時期が来れば、自然に溶け込んでいきます。

※1人でいる生徒を「かわいそう」だと思うことは間違いです。友達に何も言われなくてすむので、心から「ほっ」としている場合もあります。詳細は別ページで述べます。

6 早く理科室に行きたい
 これで理科室に来る喜びができました。気の合う友だちと一緒に実習できるのですから、これにまさる授業はないと言えます。「見ているだけ」の子どもはなくなります。できる班もできない班も、互いに助け合って実習します。「お客様」のような子どもができないことが最大の長所です。ただし、お喋りが過ぎるようになってはいけません。否、お喋りをさせてはいけません。理科室に来る目的は、理科の授業です。授業を通して、友だちの新しい一面を学習することです。次に、自由で民主的な理科室を守るためのルールを示します。

理科室でのルール
1 座席は、毎回先着順の自由席とする。
2 放課中に全員移動し、着席する。
3 先生の指示があったら、静かにする。
4 他の班から苦情が出ないようにする。
5 1〜4が守れない場合は、即座に出席番号順とする。

7 定期的な強制席がえ
 1年に1、2回、先生の指示による強制席がえを行って下さい。どんなに優れた班構成でもマンネリ化や仕事分担が固定する弊害を防ぐことはできません。必ず、先生の指示で強制的に変化をつけましょう。できれば、修学旅行や体育大会など学校行事で作られた班を流用する形が自然で良いと思います。ただし、強制席がえは、新しい班や新しい自分の役割を発見するための行為なので、修学旅行や体育大会などとは完全に切り離して考えて下さい。そうしないと、理科の授業も学校行事もつまらないものになってしまいます。ある一定期間を過ぎたら、前と同じように先着順自由席にしましょう。班編成が変わっても、全く同じでも構いません。

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