このページは、Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第10章 楽しい集会

5 緊張と期待を高める方法

1 緊張感が好きな先生
 ある日のことです。集会を終えたばかりの男子生徒から、「先生達は緊張感が好きだから、僕達はそれに付合っているんだよ。そうしないと怒鳴られるからね」と教えてもらったことがあります。この声を聞いた時、私は「先生よりも大人だなあ」と思いました。生徒は、先生を良く観察し、先生のためによく我慢してくれている、と感心しました。

2 ピリピリ感だけで満足する人は、倒錯しています
 かく言う私も緊張感が好きですが、それだけを楽しむことはしません。集会はたくさんの人が集まるので、わくわく興奮します。それを一時的に緊張させることで、ばらばらな興奮を「何があるのだろう」という1つの期待感に変えます。集まった全員の心を1つにするのです。1つにすることで、その後の集会の目的を効果的に達成できるようになります。

3 緊張感を作る方法
 緊張感をつくる最善の方法は、うまくできていているときに、追い討ちをかけるように注意するこです。問題がないときにこそ、高度な緊張感が得られます。以下の(1)(2)は、その例です。腹筋と背筋に力を入れ、腹の底から指示を出してください。なお、よくある失敗は、たるんでいる集団に怒鳴り散らすことです。暴力で押さえつけると、緊張感や期待感は小さくしぼみます。その後の集会は、お粗末な内容になるでしょう。
(1) 隊形を整えているときに、あえて大声で「遅い!」と注意する
 ・ 静かに口を閉じて隊形を整えている時にどうぞ!
(2)「前にならえ・なおれ」の後に、すぐさま「背筋を伸ばせ!」と命じる
 ・ その気持ち良い緊張感は、中学校が最後かも知れません

4 忘れ物に対しては、明確に厳しく叱ること
 忘れ物をした生徒がいたら、その場に立たせて厳しく注意してください。事情を確認してから、「忘れ物は、持って来ている人に迷惑をかけている。先生にも迷惑をかけている」と今の事実を指摘してください。そして、集会に対する意識の低さを注意し、全体の場で反省させて下さい。反省し、約束できたら、座らせます。よくない指導は、「そんなことで君は大丈夫か?」と質問することです。忘れ物をする何人かの生徒は「私は大丈夫」「大したことないだろう」と心の中でつぶやいています。

5 準備ができたら、何をしても楽しいはずです
 ここまでの準備が整えば、何をやっても充実します。本当につまらない内容でも、全員で「つまらなかった」「足がしびれた」「でも、仕方なかった」「必要だった」と言えるのは、素晴らしい経験です。もちろん、先生はできる限り楽しくなる工夫をしてください。集会の目的と目標をしっかり確認してください。準備・整列・緊張・期待したのは、メイン・ディッシュを頂くためです。美味しいお話や内容を出してください。

6 我慢し過ぎてないか、よく観よう!
 生徒の体調を見守るのは先生の仕事です。とくに1年生は、全校集会の途中で、緊張や体調不良で失神したり嘔吐したりする生徒がいます。よく観察して下さい。顔色が悪い生徒がいたら、そっと近寄って声をかけましょう。事前に、「各自の判断で座ってもよい」と話しておくことも重要です。場合によっては、小声で「体調が悪くなったら座りなさい」と言いながら、隊列の間を歩きます。

2011年3月12日

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