このページは、Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第10章 楽しい集会

4 集団の場における、先生の禁じ手

     ─絶対的に公平な指導をする─

1 集団の中に入って指導すること
 ごそごそする生徒の隣に座ったり、張り付いて指導することはダメです。なぜなら、その生徒は、次のような特権を先生から与えらることになるからです。集会における個別指導は禁じ手であり、「差別」に近い行為です。
(1)自分とは立場が違う先生の隣に座る特権
(2)周辺の生徒と悪ふざけをしても特別に注意されるという特権
(3)何かあったらにすぐに先生に話し掛けることができる特権

 その一方、特定の生徒に張り付くことで、自尊心を傷つけられる生徒は大勢います。友達の前で特別扱いされることは、卑屈な心を生み、先生の特別扱いに対してわざと反抗的な態度をとることがあります。このような悪循環の原因を作る先生は、ずばり失格です。

2 集団(クラス)の前など、生徒の視界に入る位置に立つこと
 もし、あなたが集団の前に立つ癖があるなら、目立ちたがり(出しゃばり)の性格を直して下さい。目立ちたがりではないと言うなら、「ここぞ!」とばかりに虎の威を借りて胸を張る非力な先生、さもなくば、「他の先生も立っているからとりあえず!」という考えの浅い先生でしょう。これは私の見方でなく、多くの子ども達の率直な見方です。

 集団の前に立つのは常に1人です。号令をかける先生(代表生徒)1人、あるいは、話をしている先生(生徒)1人です。他の者は、いかなる場合も影を潜めなければなりません。あなたよりも力量がなく「ヘタクソ!」と思う先生がマイクを握っていも我慢しましょう。脇から脇役に徹して下さい。あなたがいなくて、集会は成り立ちます。

3 集団の間を、ゆっくり歩くこと
 ゆっくりと歩き回る行為は、集団の緊張感を緩める効果しかありません。生徒達はどこで止まり、誰に注意するのかワクワクしながら見守っています。集団の中に入って本気で注意したいなら、電光石火の早足で問題生徒の前へ直進し、ビシッと指導。先に述べたように、あなたがうろうろすると集団の緊張感が弛みます。あなたはゲームの主役ではありません。何も感じずに歩き回るっているなら、それはあまりに鈍感です。

4 スリッパの音を立てて歩くこと
 私はスリッパの音を立てないように神経を使います。どうしても音が出る場合は、スリッパを持ち、裸足になって歩きます。ぺたぺたと音を立てて、集団の注意をそらしてはいけません。わざと音を立てて歩く場合もありますが、それは『集団の雰囲気が乱れているから、今から厳しく注意するぞ!』という意味になります。かなりの気迫がみなぎっていること、マイクを握っている先生よりも大音声で叱りつける勢いと実際の行動が求められます。

5 問題生徒を特別扱いすること
 体育館シューズを忘れたからといって、教師用スリッパを貸し出すなど問題外。靴下で十分です。忘れた者には、誰の目からも明らかなペナルティーを科すべきであり、体育館シューズなしで当然。さもなければ、忘れた生徒全員にスリッパを貸し出さなければ不公平になります。特別扱いは、学校崩壊の第1歩であることをお忘れなく。1足のスリッパを用意した先生は、ついに生徒全員分を用意し、さらに、体操服、筆記用具などの準備も要求されるようになるでしょう。貸し出した方が簡単な場合でも、あえて貸さないことが教育です。安易な教育は、いつか大きなツケととして回ってきます。どうしても必要な場合は、例外として教師が一方的に認めて下さい。

先生をねたにして遊ぶ生徒

 冗談やお喋りが好き生徒、落ち着きがない生徒は、先生をねたにして遊びます。そのような生徒は、先生がしかめ面をして向かってくると、内心大喜びです。先生の関心を惹くために、わざとふざけることさえあります。これは、愛情が不足している子どもが、わざと不良の真似をして声をかけられるのを待っていることと同じです。したがって、問題行動を起こす生徒に張り付くことは、子どもにとって思うつぼです。

 どんなに近寄って注意したい場合でも、遠くから眼光を飛ばし、「先生はいつでも、そこに踏み込むぞ!」という気迫を持って待機することが基本です。問題ある生徒は、周りの目を注意しながら問題行動を起こす場合がほとんどなので、友達の注意で制止する場合が多々あります。

 最終的に、それぞれの子どもが自分自身を注意することが目標です。子どもの自立をサポートするのが先生の仕事です。

6 マイクで怒鳴ること
 大声で注意することは必要です。しかし、その場合は、マイクを外して肉声で注意しましょう。マイクを使う時は、できるだけ丁寧な言葉を使います。さもなければ、マイク恐怖症、集会恐怖症の子どもが生まれます。大声は暴力に近いことを認識して下さい。肉声を素手に例えるなら、マイクは武器の使用です。絶対にあってはならない事です。マイクも人の心も壊れます。

2009年4月27日

↑ TOP

[Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home

(C) 2009 Fukuchi Takahiro