このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第7章 悩んでいる生徒

9 優等生からの相談、友達を助けて!

1 生徒が助けを求めています!
 「先生、友達を助けて下さい」と助けを求めてきた時、あなたはどうしますか。病気や怪我など、身体的な援助なら1も2もなく助けに行けばよいのですが、人間関係の場合は簡単ではありません。なぜなら、本当に助けが必要なのが誰なのか、何が原因なのか調べなければならないからです。とにかく、その子の話を聞いてみましょう。

2 本当に助けが必要な生徒を見抜く
 とくに、いわゆる優等生から相談は注意してください。言葉上は、『友達』が困っていることになっていますが、本当に助けが必要なのは『相談者本人』であることがあります。先生から期待されているので、直接「私を助けて!」言えないのです。優等生からのサインを見落とすと、その生徒はますます苦しい立場に追い詰められるので、細心の注意を払って対応してください。

3 優等生の典型的な相談例と対応方法

優等生Aさんからの相談

 Aさんがそっと近づき、耳元で報告しました。
「先生、Bさんが同級生5人グループに虐められています。Bさんを助けてあげて下さい」

対応方法
ステップ1:Aさんから事実だけを聞く

 できるだけ早くBさんと同級生5人グループを呼び、それぞれ別々の部屋で事情を聞く、という先生が多いでしょう。しかし、私は違います。まず、Aさんをソファーがある部屋へ招き、そこでBさんと同級生のことを詳しく教えてもらいます。具体的な時間、場所、周りにいた人、どんな状況だったか、などできるだけ詳細に聞きます。この時、Aさんの考えや感情を切り離して聞くようにします。話を聞く時に、客観的な事実と個人的な考えを切り離すのは大変ですが、あなた自身も主観を入れないように質問して下さい。考え、気持ち、感情は、もっとも重要なことですが、次のステップ2まで我慢して下さい。

ステップ2:その事実に関するAさんの気持ちを聞く
 次に、Aさんの気持ちを聞きます。当事者(Bさん、5人グループ)の心の中を推測させたり、Aさんがどのように感じたかを言わせます。なぜなら、私の関心はBさんではなく、Aさんにあるからです。Aさん自身が虐めらている可能性があるからです。冒頭の報告を読み直して下さい。この事件は、Aさんの視点から見たものです。Bさんと同級生5人グループは、仲良く遊んでいただけかも知れませんし、Bさんも同級生も何も感じていないかも知れません。放置できない虐めだ! と感じたのはAさんだけかも知れません。もしそうなら、Bさんと5人グループは問題ありません。問題は、それを虐めと感じるAさんにあります。先生は、Aさんが虐められいないか、苛めのターゲットがBさんからAさんへ変わらないか、調べる必要があります。

ステップ3:Bさんと同級生5人を呼び出す場合の条件
 Aさん自身は問題ないように感じても、Aさんだけの報告で、Bさんと同級生を呼び出してはいけません。現場を目撃していた他の生徒に、事実確認をします。その結果、複数の目撃者(生徒)から、同じような『虐め』としての見解が得られたら、Bさんを呼び出します。別室で、ゆっくりと事実を確認します。その後、同級生5人グループを呼んで同じように指導します。

ステップ4:目撃者に聞く時のテクニック
 素早く事実を得るポイントは、質問された子が「えっ、そんなことまで知っているの」と驚くほど詳細に伝えることです。先生の主観を入れずに、事実だけを詳細に簡潔に述べます。事件の大きさにもよりますが、まず、先生の方からさらりと詳細を話せば、質問された子どもも同じようにさらりと答えるはずです。先生は、事件の詳細をAさんから聞いているので、それを復唱するだけで良いのです。誰も見ていない隙を狙って、「ある子から、Bさんが@@のとき@@で@@されていたみたいだけど、知ってる? どうだった?」と聞きます。別室を使うことは、逆効果です。

ステップ5:優等生Aさんが助けを求めている場合
 問題は、優等生Aさんが助けを求めている場合です。この生徒は、自分で自分の気持ちを表現することが上手ではありません。まして、先生や親から「君は良い子だから、、、」と期待されている場合はなおさらです。簡単には自分の本心を伝えることができません。だからこそ、友達を使って先生に訴えてきたのです。あなたが、Aさんに過度な負担(期待)をかけていた張本人なら、苛めの原因はあなたにあります。猛反省し、態度を改めて下さい。これができれば、友達によるAさんへの苛めは、Aさん自身によって解決されるでしょう。Aさんができないようなら、非常にゆっくりと慎重にことを進めなければいけませんが、詳細をこのページで紹介することはできません。

以 上

2009 1 3 

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