このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第7章 悩んでいる生徒

7 1人でいることが好きな生徒

1 いろいろな個性や特徴を認めよう
 学校にはいろいろな生徒が集まりますが、その中に1人で静かに過ごすことが好きな生徒がいます。読書をしたり編み物をしたりすることが好きな人です。空想に耽ったり、詩や絵を書いたりすることもあります。このような生徒は、大勢で集って騒ぐことが嫌いなので、無理に集団の中に入れてはいけません。それは、明るく陽気でお喋りが好きな人に、独りでじっとしていろ、というのと同じです。

2 読書の喜びを知っている生徒
 1人で読書する楽しみを知っている生徒は、本当に楽しんでいるのですから、無闇に禁止してはいけません。その喜びを奪う権利は誰にもありません。それがその子の特性なら、十分の尊重すべきです。『みんなで楽しむこと』と『1人で楽しむこと』に優劣はありません。どちらかと言えば、学校は『みんなで楽しむこと』を学ぶ場所ですが、『1人の時間』を確保することも必要です。学校はトイレの個室だけが憩いの場、なんて言われないようにしましょう。

3 たった1人だけのグループ
 学校の生活の中心は『クラス』というグループです。ほとんどの授業、ランチ、学年行事はクラス単位で行われます。クラス(学級)は、学校における家族のようなものです。この家族は協力して活動しますが、人数が多いので、場面に応じて小さなグループを作ります。その中に、1人グループがあっても良いでしょう。例えば、授業の中で、ランチの時間に、音楽学習係として、1人で活動させるものも悪くありません。

4 授業で頑張ったから、ランチは1人で静かに
 学校の先生は、集団生活に適応した活発な人が多いので、1人でお弁当を食べている生徒をみると、ついつい声を掛けたり、誰かと一緒に食べるように指導してまいすが、お弁当の時ぐらい、自分の好きにさせてあげても良いと思います。学校生活は、その全てが集団活動の連続なので、大きなストレスをためてしまうことは容易に想像できます。本心から1人でいることが好きな生徒は非常に少ないと思いますが、現状ではそれがベターなのです。どうしても声をかけたいなら、できそうな生徒に頼みましょう。ただし、今度はその生徒にプレッシャーがかかることをお忘れなく! いわゆる良い子を潰さないようにしてくださいね。先生が手を加えなくても、1、2カ月見守っていれば、誰かと一緒に食べるようになります。

5 おとなしく目立たないグループ
 もの静かな少人数の友達と集り、一言ふたこと言葉を交わすだけで十分な満足を得られる生徒がいることも理解しましょう。何でもかんでも友達と一緒にわいわい、と考えるのは見識が狭い証拠です。人は成長することで、いろいろな楽しみ方を知ります。友達を変え、時間や場所を変え、いろいろなグループの中で活動する楽しみを学びます。恋人と2人で、家族の中で、学校の中で、サークルの中で、会社の中で、地域の中で、さまざまな場面で楽しむことができるのが大人です。小さな楽しみも貴重です。

6 学校はいろいろなグループで楽しむ場所
 いろいろな場面で、それぞれに応じたグループを作る技術を学ばせましょう。学校に一緒に来て、毎放課一緒に遊び、ランチは隣で食べ、部活動も同じで、最後は一緒に帰る、そんな友達もいても悪くありません。しかし、学校は多様な人間が集るから面白いのです。さまざまな活動場面で、それぞれ違った仲間を作ること、すなわち、目的に応じたルールを作ることを学ばせてください。静かな子どもはエネルギー溢れる子どもと、元気な子どもは落ち着いた子どもとグループを作ることで、幅広い人間に成長していきます。

7 黙って1人でいる生徒もルールを守っている
 最後に、独りぼっちの生徒も『集団のルール』を守っていることを付けくわえておきます。1人でいることがルール違反だ! と言われればそれまでですが、集団の秩序を乱すことはしていないと思います。周りから見て「大丈夫かな」「1人でいいのかな」と心配をかけていますが、悪意はありません。むしろ、本人は頑張って集団に入ろうとしています。みんなの役に立とうとしているし、実際、クラスを団結させるために一役かっています。

2010年12月29日

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