このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第7章 悩んでいる生徒

6 泣いている生徒を見かけたら

1 近くにいる友達に原因を聞いてみよう
 生徒が泣いていたら、近くの友達にその原因を聞いてみましょう。そおっとしておけば良いなら、そのままです。「先生、任せておいて」と言われたら任せておきます。90%の涙は、このように対応します。人は涙によって成長します。涙を拭うの泣いた本人です。

2 肩を抱いて慰める
 泣いている生徒を抱いて慰めるのは、基本的にやめましょう。友達なら別ですが、先生が肩を抱いて慰めることは危険です。同性でも避けるべきです。愛情に飢えた生徒が間違った学習をして、何度も泣くようになるからです。乳幼児期に十分に甘えることができなかった子どもは、中学生になってもスキンシップを求めています。若い先生は、自分の胸の中で泣かれると「この子は私を頼りにしている」と勘違いしたり、嘘を信じてしまったりします。それは、涙によって人を騙せることを学習させることです。十分に注意してください。結果として、生徒は自分自身と先生を欺くことになります。

3 ほんの少しだけ聴く
 1人で泣いている時は、ほんの少しだけ事情を聴きます。「どうした?」これで十分です。そして、一通り話が終ったら、泣き止むまで待ちます。落ち着かせるために話を聴くこともあるでしょう。同性なら肩を抱いて話を聞くこともあるでしょう。しかし、話の内容は混乱していたり間違っていたり極端な主観や偏見にもとずいている場合があるので、鵜呑みにしてはいけません。真実は、関係者の全員から事情を聴くことから始まります。

4 泣き止むまで待つ
 泣き止まない子どもを泣き止ませる方法は、黙って見守ることです。誰もいない部屋に入れ、「落ち着いたら話を聞いてあげるから、ここで待っていてね」と言い、1人で泣かせておくのも良いでしょう。先生は、窓の外から見守ってください。放課中なら何人かの友達に任せても良いでしょう。ポイントは、寄り添ったりせずに、少し距離をとって見守ることです。「泣き止むのを待つから、好きなだけ泣きなさい」「泣き止んで落ち着いてから、話をしましょう」など、とにかく、泣いている時に話をしてはいけません。顔を洗わせることも有効です。

5 泣き止んだら、それでお終い!
 泣きなんだら、泣いた原因を聞きましょう。それが繰り返されるようなら原因を取り除くようにしますが、多くの場合、泣くことで気分がスッキリして、「先生、もう大丈夫」と言うことがほとんどです。涙の数だけ人は強くなります。

 万一、涙の背景に先生が関与しなければいけない事件がある場合は、別ページ『』をご覧ください。

泣くって何?
 一般に、泣く目的と行為は一致しています。悲しいから泣くのであり、泣くから悲しくなります。泣いている時、心に悲しい感情が満ちが溢れ、自己コントロールや生産的なことができない状態になっています。すべてが泣くことに捧げられている状態です。これは大人も子どもも同じです。

注意しよう! 人を欺くための涙
 その一方、他人を騙すために涙を流す人もいます。両目に涙をいっぱい浮かべ、「ごめんなさい。もう2度としません」と言われれば、謝られた方はついつい許してしまいますが、それは真相を隠すための策略であることもあります。このような戦略は、幼児でも実行する場合があります。他人の涙に弱い人は、騙されないように注意しましょう。涙を使った主な戦略は次のとおりです。

(ア)嘘を隠すため、反省しているふりをするための涙
 中学3年生になっても泣く生徒は要注意です。とくに簡単な事件の場合は、ほとんどの場合嘘です。嘘を信用させるためか、さっさと事件を終らせて帰りたいのでしょう。

(イ)立場を有利にするための涙
 当事者が2人いて、1人は平常心、もう1人は大泣きしている場合は要注意です。この場合、平常心でいる方はいつも虐められている被害者、泣いている方は加害者である可能性が高くなります。

(ウ)嘘を信用させるための涙
 泣きながら自分の考えを主張することは、とても迫力があります。その中にいくつかの真実が含まれている場合は、とくにそうです。しかし、その中には、思わぬ発言が飛び出し、予想外の展開になります。発言した本人も、後から大きな後悔をすることになったり、修復不可能なひび割れができることも多々あります。これは、大人の喧嘩でも同じです。自分の考えや気持ちを主張する時は、冷静かつ客観的にするようにしましょう。

2010年11月5日

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