このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第6.2章 アドバイス、説教と懲戒

13 保護者への電話連絡、直接訪問

1 保護者から信頼されていない子ども
 どのレベルから保護者に連絡するかは難しい問題ですが、私は小さな事件でもすぐに電話します。迷ったら連絡です。保護者は学校から電話がかかってくると「何か悪いことをしたのでは!」と心臓がドキドキしますが、事件の内容が小さいと「それだけで良かった!」と安心します。とくに、わが子を信用していない親の場合は、何でもない事件のうちに一度電話をしてください。そして、その時に良い点をしっかり誉めます。それを何度かくり返すと、保護者と良好な関係をつくることができます。「えっ、ホントですか?」と何度も自分の子どもを疑う発言があると思いますが、しっかり誉めてください。保護者も子どもと同じように誉めて育ててください。ポイントは3つ。1つは小さな事件のうちに連絡する。2つめは、最後に良いことをたくさん言って締めくくる。3つめは、先生が見つけた素敵な事実を何度もくり返して言う、です。

2 悪い事件を電話連絡するときの話し方
 初めに悪い事実だけを手短に話し、質問を受け、十分に理解をして頂いたら、その後は、良い事件を10倍以上話しましょう。先生はそのための材料を日頃から注意深く観察して集めておきますが、『事件後の良いこと』を拾い出すのが正道です。例えば、「もう今ではすっかり仲直りして・・・」「最後まで教室掃除を手伝ってくれました」「今は部活動を元気にやっているので心配ないと思います」などの言葉で事件を締めくくります。その後、事件とは関係ない良い活動を山のようにしてあげましょう。

3 何も連絡がないのが一番良い?
 何も連絡がないよりも、「今日は、A君にシャープを貸してあげました」「教室に残された牛乳箱を運んでくれました」「教室が騒がしくなった時、B君の一声で静かになりました」「Cさんが笑ってくれたので、いじめ問題で暗くなっていたクラス全員も笑うことができました」などと連絡があったら嬉しいでしょ。是非、ひと手間かけてください。保護者の方が喜ぶ顔を思い浮かべて!

4 室長や良い子の悩み
 室長やよい子は、友だちのトラブルに巻き込まれることがあります。みんなのために悩み、考え、行動するのですが、上手くいかないことが多々あります。本人は悩みますが、その保護者も同じような経験を持っているので、同じように悩みます。子どもと完全に同調して、先生を非難することもあります。そこで、小さな問題でも連絡したり家庭訪問したりしましょう。そして、しっかり話を聞きますが、その時の鉄則は2つです。1つは、保護者と子どもと先生の3人が同席すること。もう1つは、保護者の願いは『子ども』であり、子どもの願いは『?不明?』であり、先生の願いは『学級全体』であることです。それぞれの願いが違うことを意識し、それぞれの立場を理解し、少しずつゆずりあうことです。現実を良く見て、話しあい、現実からスタートしてください。必ずうまくいきます。

5 家庭訪問する
 問題がある家には、できるだけ頻繁に家庭訪問しましょう。私が学級担任をしているときは、月に5回程度訪問したこともあります。当時は、授業の空き時間に電話をかけ「今から行っても良いですか」と訊ねてから車を走らせ、「こんにちは」と声をかけて上がり込み、ほんの数分だけ話して帰る。あるいは、突然訪問して「A君はいますか? 学校にきていないのですが・・・」。あるいは、授業後A君を車に載せて一緒に帰宅し、じっくり話す、などです。ただ、学校の先生に来てもらうのは、保護者の立場からすれば恐縮なことであり、面倒なことです。できれば避けたい、と思っていますので、無理に行くことはやめましょう。友だちではないので、相手を良く見て判断してください。

6 来校していただく
 よほどの重大事件でない限り、来校していただくことはありません。電話連絡と家庭訪問が基本です。ただし、何度も家庭訪問するような場合は、家庭訪問:学校来校=1:1から同=2:1まで、にすると良いでしょう。

7 保護者を教育する
 生徒が起こす問題行動を根本的に解決したいなら、保護者を教育する必要があります。それは、生徒を教育するより大変なことですが、あなたの力量が十分についたら、少しずつ取り組んでください。ただし、大人の考え方を変えたり、生活習慣を変更させるのは容易ではありません。相当な覚悟をもって、しかし、肩の力を抜いてトライしてみましょう。
→ 関連サイト『中堅教員へ贈る』

2010年12月28日

↑ TOP

[Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home

(C) 2010 Fukuchi Takahiro