このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第8章 学校教育を超えた少年犯罪

11 原付、バイクの無免許運転

1 原付、バイクの誘惑
 無免許運転は、原動機付自転車(原付、げんつき)や自動二輪車(モーターバイク)への好奇心から始まります。むしゃくしゃした気分、高揚した気分から始まることもあります。ほとんどの場合、友達や先輩に誘われ、誰もいない空き地(公園、駐車場、道路など)へ行き、誰かのバイクの後部座席(荷台)にまたがります。ヘルメットをかぶらずに走り始めた瞬間、『2人乗り』『ノーヘルメット』などの違反者になります。このレベルの過ちで踏み止まる生徒は幸いですが、この先に進む者は人生を踏み外します。

2 無免許運転のはじまり
 中学生にとって、原付の運転は簡単です。自転車と同じ感覚で、初心者でも簡単に運転できます。1回の運転で罪悪感を感じ、それで止めるならましです。しかし、バイクという新しい力、自分以上の力を手に入れたと感じる場合は危険です。それは、自分と他人へ向けた凶器です。友達と一緒に一線を超えているという連帯感を味わうだけでも危険ですが、弱く自信がない心が得たバイクによる優越感は危険です。自己中心の性格をつくり、自分の感情をコントールできない人間にしていきます。

3 駐車(停車、放置)してある原付きを盗む
 誰かのバイクを借りて無免許運転と繰り返していると、自分のものが欲しくなるのは人情です。しかし、16歳未満の者はバイクを購入できないので、先輩や友達から譲ってもらうか、窃盗することを考えます。結果として、窃盗に走ることが非常に多く、私は原付を窃盗した中学生を何人も知っています。中型バイク(250cc)を窃盗し、自分のものとして乗っていた中学生も知っています。常習的にバイクを運転している生徒のほとんどは、自分専用の盗難バイクを隠し持っています。知らないのは大人だけ、というのが現状です。かなり巧妙に隠し、誰にもわからないように乗車しています。

4 バイクを盗むより、ガソリンを入手する方が難しい
 バイクを隠し持っている中学生は、「バイクを盗むより、ガソリンを入手する方が難しい」と話します。私は、苦労してガソリンを窃盗した話を初めて聞かされた時、本当に驚きました。最近は、セルフサービスのスタンドができたので、大人びた生徒は目を盗んで購入しています。バイクおよびガソリンの窃盗方法は、事故防止のため紹介しません。

5 逃げる人生の始まり
 無免許運転が禁止されているのは、重大事故を起こし、取り返しのつかない惨事を起こす危険性があるからです。しかし、教育的に最悪な事態は、『警察から逃げることを覚えること』です。警察に捕まれば、バイクを没収されたり、家庭連絡されたりするので、本気で逃げます。判断力の弱い中学生は、とても危険で無謀な逃げ方をします。そして、逃げ切った時、「警察なんて大したことはない」と自慢します。『逃げの人生』の始まりです。自分の嫌なことから本気で、全力で、あらゆる手段で逃げることを覚えます。

6 嘘をつくことを覚える
 警察に捕まった時、本当のことを100%話す生徒はほとんどいません。なぜなら、バイクが盗難車だったり先輩のものだったりするからです。警察に嘘をつくよりも痛い目にあうこと、が予想されるからです。できる限り嘘をつき、逃れられる範囲を少しでも増やそうと最大限の努力をします。逃げの人生に『嘘つきの人生』が追加されます。

7 挑発することを覚える
 何度か警察に捕まり、痛い目にあった生徒は、自分から警察を挑発するようになります。挑発するのは、異常興奮したときです。無免許運転をする生徒の多くは、薬物を使用していることも多いので、フラッシュバックと同じような現象が起きているとも考えられます。大変危険な運転をして、自分の力を誇示したり、過去に捕まったことに対する報復をしようとします。どのような重大事故を起こしても不思議ではありません。自分でも理解できない異常行動、といえるでしょう。

8 自分の気分だけで動く人間になる
 上記は、『嫌なことから逃げ』『見つかったら嘘をつき』『気分だけで行動すること(自分をコントロールできないこと)』を意味します。これは、学校生活のあらゆる面に現れます。名札をつけない、学生服の下に派手なTシャツを着る、髪を染める、授業中立ち歩く、先生に対して暴言を吐く、暴行を加える、の順にエスカレートします。自分より弱い同級生に対しては、からかう、パシリに使う、何もしていないのに殴る、犯罪を犯すことを命令する、の順にエスカレートします。家庭では、親に口答えする、親へ命令する、親を殴る、家出をしたり友達を連れ込んだりする、家庭内で犯罪を犯す、の順にエスカレートします。最終的に、家庭や学校で教育できない、社会生活ができない人間になります。

9 みんなで通報しよう!
 最近は、警察の取締の厳しくなったので安心しています。不審者を見つけたら、すぐに110番しましょう。私は、原付を2人乗りしている者、ヘルメット着用していない者、明らかな改造車(盗難車?)に乗っている者、乗り入れ禁止の公園内を走り回っている者などを見かけると、迷わず110番します。警察もがんばってくれています。直接声をかけるのは危険なだけでなく、警察が動くチャンスを摘み取ります。初犯の者は、目立つところ、公道を走りません。自分をコントロールする力を失っている者、一般社会からマークされている者です。迷わず通報してください。

2010年12月12日

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