このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第8章 学校教育を超えた少年犯罪

3 授業妨害(公務執行こうむしっこう妨害)という犯罪

1 授業は公務です
 公立中学校の教員は公務員です。勤務中はもちろんですが、勤務時間外も公務員として恥ずかしくない言動をすることを求められる立場です。何らかの事件に巻き込まれた時、マスメディアによって教諭や校長など公務員の肩書きが付くことが多いことからも注意が必要です。私たち教員のもっとも大切な公務は『授業』です。専門教科の授業は、教員免許を持ったものしかできない公務です。

2 公務執行妨害とは
 公務執行妨害とは、公務に対して『暴行や脅迫を加えること』とです。具体的には、授業中、先生の制止を無視して立ち歩いたり大声で世間話したりすることです。現場での判断はデリケートなものですが、大多数の授業を真面目に受けようとしている生徒が迷惑に感じる行為は、妨害です。『授業を受ける権利を奪われている』と感じるなら、『妨害している生徒の行為』は授業妨害になるでしょう。何人も正当な理由なく、授業を妨害することは許されません。それは、授業を受ける立場である生徒でも同じことです。

3 犯人とその保護者
 公務執行妨害した者は、刑法によって『3年以下の懲役』もしくは『禁錮』または『50万円以下の罰金』に処されます。ただし、14歳未満は刑罰に処されることなく、少年法によって『少年院送致(11歳以上)』などに処されます。ただし、犯罪を犯した生徒の保護者(ペアレンツ)は、刑法によって何らかの刑罰を受ける可能性があります。授業妨害を計画したり、そそのかししたりした場合は、犯人と同罪です。

刑法第95条:公務執行妨害及び職務強要

 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

4 授業妨害を訴えるべきか
 教員は、良い授業をするために教材研究を重ねましょう。教え方によって、教育的効果が大きく変わるからです。とくに、生徒や保護者から授業に関するクレームを頂いた場合は、まず自分自身を反省しましょう。大きく飛躍するチャンスです。一生懸命に努力すれば、その努力は報われ、少しずつあなたの授業を楽しみにする生徒が増えてきます。教育は人が人に行うものですから、あなたの熱意がもっとも大切です。その熱意が教育技術と経験にかわっていくと、より多くの生徒があなたを慕い、信頼し、尊敬するようになります。授業妨害を訴えるかどうかの判断に迷った時、あなたの授業を受けている全ての生徒に判断を仰ぎましょう。答えは全ての生徒が示してくれるでしょう。あなたと同じように、授業を真面目に頑張ろうとしている生徒の権利が奪われてはいけません。

 また、悪意を持った計画的な授業妨害は、悪質な犯罪の1つです。とくに、子どもの保護者がからんでいる場合は確実な犯罪です。一生懸命努力しているものが報われない社会にならないようにするため、勇気ある決断をしてください。

2010年10月29日

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