このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第1章 学校とは何か

3 学力差を活かす授業

─差があるからこそ公立学校の授業は楽しい─

1 いろいろな人間が集るから楽しい
 公立中学校の授業の楽しさは、いろいろな人の考えを聞き、その疑問や質問に答えるえることです。地域環境は同じでも、家庭環境は1人ずつ違いますし、中学生であってもその価値観は多様です。この幅広い人間の考えを受け入れ、人間の大きさを学習することろが公立の中学校です。この考えにたてば、学力差もたった1つの多様性を示すに過ぎません。

2 学力レベルが違うから楽しい
 公立中学校の良さの1つは、学力レベルの違う生徒が集っていることです。学力レベルが揃っていないからこそ、考えに幅ができ、大きな人間ができるのです。これは大人の社会でも同じです。同じ人、同じレベルの人ばかりでは息が詰まります。
関連ページ『学力とは何か

3 学力差を有効に利用する方法
 1クラスの人数を減らせば、学力差があっても大丈夫です。時間にゆとりができるので、1人1人の生徒に対応できます。当然のことです。名古屋市(2008年)は、1クラス40人ですが、はっきり申し上げると、かなり厳しいです。私は、1クラス25〜30人なら、基礎学力差さえ個性として授業に活かせると思います。さらに、学力が高い生徒も低い生徒も互いにその他の長所を認めあうことができると思います。

いわゆる学力が低い生徒の長所

(1)簡単な問題を間違えてくれるので、復習のきっかけとなる
(2)簡単な問題に時間をかけてくれるので、授業にゆとりを生む
(3)必ず正解しなければならない、とプライドを捨てて発言できる
(4)意外な答えや、常識にとらわれない考えを発表する
(5)学校外で、自由な時間をたくさん持っている
(6)学習以外のことでプライド、こだわり、得意技を持っている
(7)明るい
(8)先生の失敗に付き合ってくれる

 幅広い個性を活かすために30人学級が早期に実現することを要求します。教育に関する政府の仕事は、まずこれです。そのためにお金を使って下さい。塾に金を払う人も少なくなるでしょう。

4 学力を基準にして作られたクラス
 この私の考えは、学力レベルを揃えた学習塾と比較すれば、その長所がすぐに分かります。学力レベルで作られたクラスは、その基準に人間性は必要ありません。逆に、どんなに尊敬に値する人間であっても学力が満たなければクラスから追放されます。このようなクラスに通う子どもが、息を詰まらせるのは時間の問題です。

 また、新聞やテレビニュースでみなさんもご存じかと思いますが、2008年1月、東京都の公立の和田中学校は学力上位者だけを集めた塾を始めました。私の考えでは、これは校舎を無料で選ばれた人間だけに利用させ、出入りする塾の業者を宣伝し、一部の人間の私腹を肥やすだけに止まらず、日本国民全体に対して学力偏重を煽ることに他なりません。大変危険な活動であると断言します。

 公立学校は、多様な人が集り、いろいろな生活に基づいた考えが出会うことに意義があるのです。教師は、それらの短所と長所を見つめさせ、その違いを尊重し、これからの日本と担う子どもを育てなければなりません。

2008年2月22日
福地孝宏

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