このページは、中学校理科の分野別index『生物』です。 |
太陽は生きていると思いますか? 中学生に同じ質問をすると意見が半々に分かれますが、あなたはどう思いますか。地球が誕生した直後は無生物の惑星でしたが、それからしばらくすると生命らしきものが現れました。生物と非生物の境界線は考え方や視点の違いによって生じるものですが、現代生物学では次の3つの条件を満たしているものを生物としてみなします。
生物としての3つの条件
1 細胞をもつ(自己と外界の境界がある)
2 自己複製や遺伝が可能(DNAやRNAによって繁殖する)
3 代謝する(食べる、呼吸するなどの物質の出入りによってエネルギーを取り出す)したがって、太陽も地球も死んでいることになります。しかし、にわかに納得することはできませんし、深く納得するためには上記3つの条件を理解しなければなりません。理解するといっても、学習すればする程、条件にあてはまらない中間の生物?(物質?)が存在することに気づきます。結果として研究者の視点によって生物の線引きが変化することを理解したらおしまいです。ですから、学者でない中学生においては、太陽や地球は生命として分類できる可能性をもっているものとして残しておくべきだと思います。
また、私達の体の細胞を蝕むウィルスも生命として分類される可能性を残しておくべきでしょう。一般に、細胞構造を持たないウィルスは生物とみなされていません。表1に、ウィルスと混同されやすい細菌と比較しますので、生物と非生物の境界線を考える一助として下さい。
表1 細菌とウィルスの比較
観 点 細 菌 ウィルス 生物か否か 生物です 生物ではありません 大きさ 大きい(1μm程度)
中学校の顕微鏡でも十分観察できる小さい(50〜100nm)
電子顕微鏡でやっと見える特徴、構造 ・ 単細胞
・ 原核生物・細胞膜や細胞内小器官を持たない
・空気中や細胞外では、半永久的に結晶構造をもつ化学物質として存在(タバコモザイクなど)
・条件がそろうと自己複製を開始する化学物質共通点 自己複製(遺伝)をする 自己複製の方法 細胞分裂(核分裂と細胞質分裂) DNAまたはRNAの複製だけ その場所 どこでも可能 他の生物(動植物、細菌)の細胞内 分かりやすい例 0-157、大腸菌、破傷風、B型肝炎(毒素を出す)
結核(細胞を圧迫する)カゼ、オタフクカゼ、ハシカ、インフルエンザ、エイズ(増殖して細胞を破壊する) 治療方法 ・抗生物質を使う ・基本的に薬はありません
・自己免疫ができるのを待つしかありません
・高熱を発生して殺す(ウィルスは熱に弱い)備 考 ・細菌に感染するウィルスをバクテリオファージという 余談ですが、カゼにかかって医者から処方される抗生物質は、カゼウィルスに対して全く効き目がありません。弱った体に侵入した細菌(生物)を殺すために使われます。カゼウィルスを退治するのためには、あなたの細胞内のDNAがカゼウィルスのDNAを退治するための抗体を作れるようになるまで待つしかありません。約1週間かかります。それまでは必要以上の熱を下げ、栄養をとって安静にしているしかありません。
さて、中学生のための生物の分類を紹介してこのページを閉じます(表2)。
表2 taka先生による中学生のための生物の分類 分類名 細胞数 生態系での役割 生物例、備考 動 物 多細胞 消費者 ・脊椎動物(クジラ、カエル)、無脊椎動物(タコ、昆虫)、ミミズ、ウニ、サンゴ 植 物 生産者
光合成を行う・種子植物(桜、イチョウ)、シダ、コケ その他の生物 単細胞
(群体も含む)分解者が多い ・キノコ、乳酸菌
・ゾウリムシ、ミドリムシ生物と物質の境界線上にあるもの
生物としての可能性をもつもの・ ウィルス(細胞構造をもたないけれど、くり返し自己複製する)
・ 太陽(現在エネルギーを放出しているだけなく、爆発してばらばらになった後も新しい恒星としてエネルギーを放出するようになる)
・ 地球(すべての生命産み出した母体・・・文学的ですね)