このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

少年法

1984年(昭和23年)7月15日 法律第168号
2010年(平成22年)4月27日 改正(19回目)

第1章 総 則 第1条、第2条
第2章 少年の保護事件 第3条〜 第39条
第3章 少年の刑事事件 第40条〜 第60条
第4章 雑 則
附 則
第61条


第1章 総 則
(この法律の目的)
第1条 この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

(少年、成人、保護者)
第2条 この法律で「少年」とは、20歳に満たない者をいい、「成人」とは、満20歳以上の者をいう。
 この法律で「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者をいう。

↑ TOP


第2章 少年の保護事件

第1節 通 則 第3条〜 第5条の3
第2節 通告、警察官の調査等 第6条〜 第7条
第3節 調査及び審判 第8条〜 第31条の2
第4節 抗 告 第32条〜 第36条

↑ TOP

第1節 通 則
(審判に付すべき少年)
第3条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
 1.罪を犯した少年
 2.14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
 3.次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
  イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
  ロ 正当の理由がなく家屋に寄り附かないこと。
  ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
  ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
 家庭裁判所は、前項第2号に掲げる少年及び同項第3号に掲げる少年で14歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。

(判事補の職権)
第4条 第20条の決定以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。

(管轄)
第5条 保護事件の管轄は、少年の行為地、住所、居所又は現在地による。
 家庭裁判所は、保護の適正を期するため特に必要があると認めるときは、決定をもつて、事件を他の管轄家庭裁判所に移送することができる。
 家庭裁判所は、事件がその管轄に属しないと認めるときは、決定をもつて、これを管轄家庭裁判所に移送しなければならない。

(被害者等による記録の閲覧及び謄写)
第5条の2 裁判所は、第3条第1項第1号又は第2号に掲げる少年に係る保護事件について、第21条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く。)の閲覧又は謄写の申出があるときは、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。
 前項の申出は、その申出に係る保護事件を終局させる決定が確定した後3年を経過したときは、することができない。
 第1項の規定により記録の閲覧又は謄写をした者は、正当な理由がないのに閲覧又は謄写により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、閲覧又は謄写により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならない。

(閲覧又は謄写の手数料)
第5条の3 前条第1項の規定による記録の閲覧又は謄写の手数料については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)第7条から第10条まで及び別表第2の1の項の規定(同項上欄中「(事件の係属中に当事者等が請求するものを除く。)」とある部分を除く。)を準用する。


第2節 通告、警察官の調査等
(通告)
第6条 家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。
 警察官又は保護者は、第3条第1項第3号に掲げる少年について、直接これを家庭裁判所に送致し、又は通告するよりも、先づ児童福祉法(昭和22年法律第164号)による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、その少年を直接児童相談所に通告することができる。

(警察官等の調査)
第6条の2 警察官は、客観的な事情から合理的に判断して、第3条第1項第2号に掲げる少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において、必要があるときは、事件について調査をすることができる。
 前項の調査は、少年の情操の保護に配慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もつて少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。
 警察官は、国家公安委員会規則の定めるところにより、少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員(警察官を除く。)に調査(第6条の5第1項の処分を除く。)をさせることができる。

(調査における付添人)
第6条の3 少年及び保護者は、前条第1項の調査に関し、いつでも、弁護士である付添人を選任することができる。

(呼出し、質問、報告の要求)
第6条の4 警察官は、調査をするについて必要があるときは、少年、保護者又は参考人を呼び出し、質問することができる。
 前項の質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。
 警察官は、調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

(押収、捜索、検証、鑑定嘱託)
第6条の5 警察官は、第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件の調査をするについて必要があるときは、押収、捜索、検証又は鑑定の嘱託をすることができる。
 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)中、司法警察職員の行う押収、捜索、検証及び鑑定の嘱託に関する規定(同法第224条を除く。)は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、これらの規定中「司法警察員」とあるのは「司法警察員たる警察官」と、「司法巡査」とあるのは「司法巡査たる警察官」と読み替えるほか、同法第499条第1項中「検察官」とあるのは「警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長」と、「政令」とあるのは「国家公安委員会規則」と、同条第3項中「国庫」とあるのは「当該都道府県警察又は警察署の属する都道府県」と読み替えるものとする。

(警察官の送致等)
第6条の6 警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。
 1. 第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が第22条の2第1項各号に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。
 2. 前号に掲げるもののほか、第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。
 警察官は、前項の規定により児童相談所長に送致した事件について、児童福祉法第27条第1項第4号の措置がとられた場合において、証拠物があるときは、これを家庭裁判所に送付しなければならない。
 警察官は、第1項の規定により事件を送致した場合を除き、児童福祉法第25条の規定により調査に係る少年を児童相談所に通告するときは、国家公安委員会規則の定めるところにより、児童相談所に対し、同法による措置をとるについて参考となる当該調査の概要及び結果を通知するものとする。

(都道府県知事又は児童相談所長の送致)
第6条の7 都道府県知事又は児童相談所長は、前条第1項(第1号に係る部分に限る。)の規定により送致を受けた事件については、児童福祉法第27条第1項第4号の措置をとらなければならない。ただし、調査の結果、その必要がないと認められるときは、この限りでない。
 都道府県知事又は児童相談所長は、児童福祉法の適用がある少年について、たまたま、その行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、同法第33条及び第47条の規定により認められる場合を除き、これを家庭裁判所に送致しなければならない。

(家庭裁判所調査官の報告)
第7条 家庭裁判所調査官は、家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見したときは、これを裁判官に報告しなければならない。
 家庭裁判所調査官は、前項の報告に先だち、少年及び保護者について、事情を調査することができる。

第3節 調査及び審判
(事件の調査)
第8条 家庭裁判所は、第6条第1項の通告又は前条第1項の報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。検察官、司法警察員、警察官、都道府県知事又は児童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同様とする。
 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に命じて、少年、保護者又は参考人の取調その他の必要な調査を行わせることができる。

(調査の方針)
第9条 前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行うように努めなければならない。

(被害者等の申出による意見の聴取)
第9条の2 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第3条第1項第1号又は第2号に掲げる少年に係る事件の被害者等から、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させるものとする。ただし、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、この限りでない。

(付添人)
第10条 少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人を選任することができる。ただし、弁護士を付添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない。
 保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人となることができる。

(呼出、同行)
第11条 家庭裁判所は、事件の調査又は審判について必要があると認めるときは、少年又は保護者に対して、呼出状を発することができる。
 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に応じない者に対して、同行状を発することができる。

(緊急の場合の同行)
第12条 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前条第2項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発することができる。
 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

(同行状の執行)
第13条 同行状は、家庭裁判所調査官がこれを執行する。
 家庭裁判所は、警察官、保護監察官又は裁判所書記官をして、同行状を執行させることができる。
 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

(証人尋問・鑑定・通訳・翻訳)
第14条 家庭裁判所は、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる。
 刑事訴訟法中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳及び翻訳に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。

(検証、押収、捜索)
第15条 家庭裁判所は、検証、押収又は捜索をすることができる。
 刑事訴訟法中、裁判所の行う検証、押収及び捜索に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。

(援助、協力)
第16条 家庭裁判所は、調査及び観察のため、警察官、保護観察官、保護司、児童福祉司(児童福祉法第12条の3第2項第4号に規定する児童福祉司をいう。第26条第1項において同じ。)又は児童委員に対して、必要な援助をさせることができる。
 家庭裁判所は、その職務を行うについて、公務所、公私の団体、学校、病院その他に対して、必要な協力を求めることができる。

(観護の措置)
第17条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
 1.家庭裁判所調査官の観護に付すること。
 2.少年鑑別所に送致すること。
 同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから24時間以内に、これを行わなければならない。検察官又は司法警察員から勾留又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同様である。
 第1項第2号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、2週間を超えることができない。ただし、特に継続の必要があるときは、決定をもつて、これを更新することができる。
 前項ただし書の規定による更新は、1回を超えて行うことができない。ただし、第3条第1項第1号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件でその非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、更に2回を限度として、行うことができる。
 第3項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が先に第1項第2号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。
 裁判官が第43条第1項の請求により、第1項第1号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第1項第1号の措置とみなす。
 裁判官が第43条第1項の請求により第1項第2号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第1項第2号の措置とみなす。この場合には、第3項の期間は、家庭裁判所が事件の送致を受けた日から、これを起算する。
 観護の措置は、決定をもつて、これを取り消し、又は変更することができる。
 第1項第2号の措置については、収容の期間は、通じて8週間を超えることができない。ただし、その収容の期間が通じて4週間を超えることとなる決定を行うときは、第4項ただし書に規定する事由がなければならない。
10 裁判長は、急速を要する場合には、第1項及び第8項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

(異議の申立て)
第17条の2 少年、その法定代理人又は付添人は、前条第1項第2号又は第3項ただし書の決定に対して、保護事件の係属する家庭裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、異議の申立てをすることができない。
 前項の、異議の申立ては、審判に付すべき事由がないことを理由としてすることはできない。
 第1項の異議の申立てについては、家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。この場合において、その決定には、原決定に関与した裁判官は、関与することができない。
 第32条の3、第33条及び第34条の規定は、第1項の異議の申立てがあつた場合について準用する。この場合において、第33条第2項中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、「取り消し、必要があるときは、更に裁判をしなければならない」と読み替えるものとする。

(特別抗告)
第17条の3 第35条第1項の規定は、前条第3項の決定について準用する。この場合において、第35条第1項中「2週間」とあるのは、「5日」と読み替えるものとする。
 前条第4項及び第32条の2の規定は、前項の規定による抗告があつた場合について準用する。

(少年鑑別所送致の場合の仮収容)
第17条の4 家庭裁判所は、第17条第1項第2号の措置をとつた場合において、直ちに少年鑑別所に収容することが著しく困難であると認める事情があるときは、決定をもつて、少年を仮に最寄りの少年院又は刑事施設の特に区別した場所に収容することができる。ただし、その期間は、収容した時から72時間を超えることができない。
 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
 第1項の規定による収容の期間は、これを第17条第1項第2号の措置により少年鑑別所に収容した期間とみなし、同条第3項の期間は、少年院又は刑事施設に収容した日から、これを起算する。
 裁判官が第43条第1項の請求のあつた事件につき、第1項の収容をした場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その収容は、これを第1項の規定による収容とみなす。

(児童福祉法の措置)
第18条 家庭裁判所は、調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府県知事又は児童相談所に送致しなければならない。
 第6条の7第2項の規定により、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた少年については、決定をもつて、期限を付して、これに対してとるべき保護の方法その他の措置を指示して、事件を権限を有する都道府県知事又は児童相談所長に送致することができる。

(審判を開始しない旨の決定)
第19条 家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。
 家庭裁判所は、調査の結果、本人が20歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

(検察官への送致)
第20条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

(審判開始の決定)
第21条 家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、その旨の決定をしなければならない。

(審判の方式)
第22条 審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。
 審判は、これを公開しない。
 審判の指揮は、裁判長が行う。

(検察官の関与)
第22条の2 家庭裁判所は、第3条第1項第1号に掲げる少年に係る事件であつて、次に掲げる罪のものにおいて、その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもつて、審判に検察官を出席させることができる。
 1. 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪
 2. 前号に掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪
 家庭裁判所は、前項の決定をするには、検察官の申出がある場合を除き、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
 検察官は、第1項の決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録及び証拠物を閲覧し及び謄写し、審判の手続(事件を終局させる決定の告知を含む。)に立ち会い、少年及び証人その他の関係人に発問し、並びに意見を述べることができる。

(国選付添人)
第22条の3 家庭裁判所は、前条第1項の決定をした場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
 家庭裁判所は、第3条第1項第1号に掲げる少年に係る事件であつて前条第1項各号に掲げる罪のもの又は第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件であつて前条第1項各号に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものについて、第17条第1項第2号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。
 前2項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより、選任するものとする。
 前項(第22条の5第4項において準用する場合を含む。)の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。

(被害者等による少年審判の傍聴)
第22条の4 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第3条第1項第1号に掲げる少年に係る事件であつて次に掲げる罪のもの又は同項第2号に掲げる少年(12歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年を除く。次項において同じ。)に係る事件であつて次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるもの(いずれも被害者を傷害した場合にあつては、これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限る。)の被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、その申出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができる。
 1.故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪
 2.刑法(明治40年法律第45号)第211条(業務上過失致死傷等)の罪
 家庭裁判所は、前項の規定により第3条第1項第2号に掲げる少年に係る事件の被害者等に審判の傍聴を許すか否かを判断するに当たつては、同号に掲げる少年が、一般に、精神的に特に未成熟であることを十分考慮しなければならない。
 家庭裁判所は、第1項の規定により審判の傍聴を許す場合において、傍聴する者の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、その者が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、審判を妨げ、又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、傍聴する者に付き添わせることができる。
 裁判長は、第1項の規定により審判を傍聴する者及び前項の規定によりこの者に付き添う者の座席の位置、審判を行う場所における裁判所職員の配置等を定めるに当たつては、少年の心身に及ぼす影響に配慮しなければならない。
 第5条の2第3項の規定は、第1項の規定により審判を傍聴した者又は第3項の規定によりこの者に付き添つた者について、準用する。

(弁護士である付添人からの意見の聴取等)
第22条の5 家庭裁判所は、前条第1項の規定により審判の傍聴を許すには、あらかじめ、弁護士である付添人の意見を聴かなければならない。
 家庭裁判所は、前項の場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
 少年に弁護士である付添人がない場合であつて、最高裁判所規則の定めるところにより少年及び保護者がこれを必要としない旨の意思を明示したときは、前2項の規定は適用しない。
 第22条の3第3項の規定は、第2項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人について、準用する。

(被害者等に対する説明)
第22条の6 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第3条第1項第1号又は第2号に掲げる少年に係る事件の被害者等から申出がある場合において、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、最高裁判所規則の定めるところにより、その申出をした者に対し、審判期日における審判の状況を説明するものとする。
 前項の申出は、その申出に係る事件を終局させる決定が確定した後3年を経過したときは、することができない。
 第5条の2第3項の規定は、第1項の規定により説明を受けた者について、準用する。

(審判開始後保護処分に付しない場合)
第23条 家庭裁判所は、審判の結果、第18条又は第20条にあたる場合であると認めるときは、それぞれ、所定の決定をしなければならない。
 家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
 第19条第2項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が20歳以上であることが判明した場合に準用する。

(保護処分の決定)
第24条 家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に14歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第3号の保護処分をすることができる。
 1.保護観察所の保護観察に付すること。
 2.児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
 3.少年院に送致すること。
 前項第1号及び第3号の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。

(没取)
第24条の2 家庭裁判所は、第3条第1項第1号及び第2号に掲げる少年について、第18条、第19条、第23条第2項又は前条第1項の決定をする場合には、決定をもつて、次に掲げる物を没取することができる。
 1.刑罰法令に触れる行為を組成した物
 2.刑罰法令に離れる行為に供し、又は供しようとした物
 3.刑罰法令に触れる行為から生じ、若しくはこれによつて得た物又は刑罰法令に触れる行為の報酬として得た物
 4.前号に記載した物の対価として得た物
 没取は、その物が本人以外の者に属しないときに限る。但し、刑罰法令に触れる行為の後、本人以外の者が情を知つてその物を取得したときは、本人以外の者に属する場合であつても、これを没取することができる。

(家庭裁判所調査官の観察)
第25条 家庭裁判所は、第24条第1項の保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付することができる。
 家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることができる。
 1.遵守事項を定めてその履行を命ずること。
 2.条件を附けて保護者に引き渡すこと。
 3.適当な施設、団体又は個人に補導を委託すること。

(保護者に対する措置)
第25条の2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査又は審判において、自ら訓戒、指導その他の適当な措置をとり、又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。

(決定の執行)
第26条 家庭裁判所は、第17条第1項第2号、第17条の4第1項、第18条、第20条及び第24条第1項の決定をしたときは、家庭裁判所調査官、裁判所書記官、法務事務官、法務教官、警察官、保護観察官又は児童福祉司をして、その決定を執行させることができる。
 家庭裁判所は、第17条第1項第2号、第17条の4第1項、第18条、第20条及び第24条第1項の決定を執行するため必要があるときは、少年に対して、呼出状を発することができる。
 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に応じない為に対して、同行状を発することができる。
 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発することができる。
 第13条の規定は、前2項の同行状に、これを準用する。
 裁判長は、急速を要する場合には、第1項及び第4項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

(少年鑑別所収容の一時継続)
第26条の2 家庭裁判所は、第17条第1項第2号の措置がとられている事件について、第18条から第20条まで、第23条第2項又は第24条第1項の決定をする場合において、必要と認めるときは、決定をもつて、少年を引き続き相当期間少年鑑別所に収容することができる。但し、その期間は、7日を超えることはできない。

(同行状の執行の場合の仮収容)
第26条の3 第24条第1項第3号の決定を受けた少年に対して第26条第3項又は第4項の同行状を執行する場合において、必要があるときは、その少年を仮に最寄の少年鑑別所に収容することができる。

(保護観察中の者に対する措置)
第26条の4 更生保護法(平成19年法律第88号)第67条第2項の申請があつた場合において、家庭裁判所は、審判の結果、第24条第1項第1号の保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守せず、同法第67条第1項の警告を受けたにもかかわらず、なお遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、その保護処分によつては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、決定をもつて、第24条第1項第2号又は第3号の保護処分をしなければならない。
 家庭裁判所は、前項の規定により20歳以上の者に対して第24条第1項第3号の保護処分をするときは、その決定と同時に、本人が23歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。
 前項に定めるもののほか、第1項の規定による保護処分に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、第24条第1項の規定による保護処分に係る事件の手続の例による。

(競合する処分の調整)
第27条 保護処分の継続中、本人に対して有罪判決が確定したときは、保護処分をした家庭裁判所は、相当と認めるときは、決定をもつて、その保護処分を取り消すことができる。
 保護処分の継続中、本人に対して新たな保護処分がなされたときは、新たな保護処分をした家庭裁判所は、前の保護処分をした家庭裁判所の意見を聞いて、決定をもつて、いずれかの保護処分を取消すことができる。

(保護処分の取消し)
第27条の2 保護処分の継続中、本人に対し審判権がなかつたこと、又は14歳に満たない少年について、都道府県知事若しくは児童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければならない。
 保護処分が終了した後においても、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、前項と同様とする。ただし、本人が死亡した場合は、この限りでない。
 保護観察所、教護院、養護施設又は少年院の長は、保護処分の継続中の者について、第1項の事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは、保護処分をした家庭裁判所に、その旨の通知をしなければならない。
 第18条第1項及び第19条第2項の規定は、家庭裁判所が、第1項の規定により、保護処分を取り消した場合に準用する。
 家庭及判所は、第1項の規定により、少年院に収容中の者の保護処分を取り消した場合において、必要があると認めるときは、決定をもつて、その者を引き続き少年院に収容することができる。但し、その期間は、3日を超えることはできない。
 前3項に定めるもののほか、第1項及び第2項の規定による保護処分の取消しの事件の手続は、その性質に反しない限り、保護事件の例による。

(報告と意見の提出)
第28条 家庭裁判所は、第24条又は第25条の決定をした場合において、施設、団体、個人、保護観察所、児童福祉施設又は少年院に対して、少年に関する報告又は意見の提出を求めることができる。

(委託費用の支給)
第29条 家庭裁判所は、第25条第2項第3号の措置として、適当な施設、団体又は個人に補導を委託したときは、その者に対して、これによつて生じた費用の全部又は一部を支給することができる。

(証人等の費用)
第30条 証人、鑑定人、翻訳人及び通訳人に支給する旅費、日で宿泊料その他の費用の額については、刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
 参考人は、旅費、日当、宿泊料を請求することができる。
 参考人に支給する費用は、これを証人に支給する費用とみなして、第1項の規定を適用する。
 第22条の3第4項の規定により付添人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の額については、刑事訴訟法第38条第2項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の例による。
 
第30条の2 家庭裁判所は、第16条第1項の規定により保護司又は児童委員をして、調査及び観察の援助をさせた場合には、最高裁判所の定めるところにより、その費用の一部又は全部を支払うことができる。

(費用の徴収)
第31条 家庭裁判所は、少年又はこれを扶養する義務のある者から証人、鑑定人、通訳人、翻訳人、参考人、第22条の3第3項(第22条の5第4項において準用する場合を含む。)の規定により選任された付添人及び補導を委託された者に支給した旅費、日当、宿泊料その他の費用並びに少年鑑別所及び少年院において生じた費用の全部又は一部を徴収することができる。
 前項の費用の徴収については、非訟事件手続法(明治31年法律第14号)第163条の規定を準用する。

(被害者等に対する通知)
第31条の2 家庭裁判所は、第3条第1項第1号又は第2号に掲げる少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、最高裁判所規則の定めるところにより当該事件の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。ただし、その通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、この限りでない。
 1.少年及びその法定代理人の氏名及び住居
 2.決定の年月日、主文及び理由の要旨
 前項の申出は、同項に規定する決定が確定した後3年を経過したときは、することができない。
 第5条の2第3項の規定は、第1項の規定により通知を受けた者について、準用する。

第4節 抗 告
(抗告)
第32条 保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、2週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。

(抗告裁判所の調査の範囲)
第32条の2 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り、調査をするものとする。
 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれていない事項であつても、抗告の理由となる事由に関しては、職権で調査をすることができる。

(抗告裁判所の事実の取調べ)
第32条の3 抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。
 前項の取調べは、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。

(抗告受理の申立て)
第32条の4 検察官は、第22条の2第1項の決定がされた場合においては、保護処分に付さない決定又は保護処分の決定に対し、同項の決定があつた事件の非行事実の認定に関し、決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り、高等裁判所に対し、2週間以内に、抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。
 前項の規定による申立て(以下「抗告受理の申立て」という。)は、申立書を原裁判所に差し出してしなければならない。この場合において、原裁判所は、速やかにこれを高等裁判所に送付しなければならない。
 高等裁判所は、抗告受理の申立てがされた場合において、抗告審として事件を受理するのを相当と認めるときは、これを受理することができる。この場合においては、その旨の決定をしなければならない。
 高等裁判所は、前項の決定をする場合において、抗告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
 第3項の決定は、高等裁判所が原裁判所から第2項の申立書の送付を受けた日から2週間以内にしなければならない。
 第3項の決定があつた場合には、抗告があつたものとみなす。この場合において、第32条の2の規定の適用については、抗告受理の申立ての理由中第4項の規定により排除されたもの以外のものを抗告の趣意とみなす。

(抗告審における国選付添人)
第32条の5 前条第3項の決定があつた場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、抗告裁判所は、弁護士である付添人を付さなければならない。
 抗告裁判所は、第22条の3第2項に規定する事件(家庭裁判所において第17条第1項第2号の措置がとられたものに限る。)について、少年に弁護士である付添人がなく、かつ、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、抗告審の審理に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。

(準用)
第32条の6 第32条の2、第32条の3及び前条に定めるもののほか、抗告審の審理については、その性質に反しない限り、家庭裁判所の審判に関する規定を準用する。

(抗告審の裁判)
第33条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定をもつて、抗告を棄却しなければならない。
 抗告が理由のあるときは、原決定を取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない。

(執行の停止)
第34条 抗告は、執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。

(再抗告)
第35条 抗告裁判所のした第33条の決定に対しては、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、少年、その法定代理人又は付添人から、最高裁判所に対し、2週間以内に、特に抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
 第32条の2、第32条の3、第32条の5第2項及び第32条の6から前条までの規定は、前項の場合、これを準用する。この場合において、第33条第2項中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、「取り消さなければならない。この場合には、家庭裁判所の決定を取り消して、事件を家庭裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することができる」と読み替えるものとする。

(その他の事項)
第36条 この法律で定めるものの外、保護事件に関して必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

第37条から第39条まで 削除

↑ TOP


第3章 少年の刑事事件

第1節 通 則 第40条
第2節 手 続 第41条〜 第50条
第3節 処 分 第51条〜 第60条

↑ TOP

第1節 通 則
(準拠法例)
第40条 少年の刑事事件については、この法律で定めるものの外、一般の例による。

第2節 手 続
(司法警察員の送致)
第41条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

(検察官の送致)
第42条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第45条第5号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。

(勾留に代る措置)
第43条 検察官は、少年の被疑事件においては、裁判官に対して、勾留の請求に代え、第17条第1項の措置を請求することができる。但し、第17条第1項第1号の措置は、家庭裁判所の裁判官に対して、これを請求しなければならない。
 前項の請求を受けた裁判官は、第17条第1項の措置に関して、家庭裁判所と同一の権限を有する。
 検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。

(勾留に代る措置の効力)
第44条 裁判官が前条第1項の請求に基いて第17条第1項第1号の措置をとつた場合において、検察官は、捜査を遂げた結果、事件を家庭裁判所に送致しないときは、直ちに、裁判官に対して、その措置の取消を請求しなければならない。
刑事訴訟規則・第278条
 裁判官が前条第1項の請求に基いて第17条第1項第2号の措置をとるときは、令状を発してこれをしなければならない。
 前項の措置の効力は、その請求をした日から10日とする。

(検察官へ送致後の取扱い)
第45条 家庭裁判所が、第20条の規定によつて事件を検察官に送致したときは、次の例による。
 1.第17条第1項第1号の措置は、その少年の事件が再び家庭裁判所に送致された場合を除いて、検察官が事件の送致を受けた日から10日以内に公訴が提起されないときは、その効力を失う。公訴が提起されたときは、裁判所は、検察官の請求により、又は職権をもつて、いつでも、これを取り消すことができる。
 2.前号の措置の継続中、勾留状が発せられたときは、その措置は、これによつて、その効力を失う。
 3.第1号の措置は、その少年が満20歳に達した後も、引き続きその効力を有する。
 4.第17条第1項第2号の措置は、これを裁判官のした勾留とみなし、その期間は、検察官が事件の送致を受けた日から、これを起算する。この場合において、その事件が先に勾留状の発せられた事件であるときは、この期間は、これを延長することができない。
 5.検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。
 6.少年又は保護者が選任した弁護士である付添人は、これを弁護人とみなす。
 7.第4号の規定により第17条第1項第2号の措置が裁判官のした勾留とみなされた場合には、勾留状が発せられているものとみなして、刑事訴訟法中、裁判官による被疑者についての弁護人の選任に関する規定を適用する。

第45条の2 前条第1号から第4号まで及び第7号の規定は、家庭裁判所が、第19条第2項又は第23条第3項の規定により、事件を検察官に送致した場合に準用する。

(訴訟費用の負担)
第45条の3 家庭裁判所が、先に裁判官により被疑者のため弁護人が付された事件について第23条第2項又は第24条第1項の決定をするときは、刑事訴訟法中、訴訟費用の負担に関する規定を準用する。この場合において、同法第181条第1項及び第2項中「刑の言渡」とあるのは、「保護処分の決定」と読み替えるものとする。
 検察官は、家庭裁判所が少年に訴訟費用の負担を命ずる裁判をした事件について、その裁判を執行するため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録及び証拠物を閲覧し、及び謄写することができる。

(保護処分の効力)
第46条 罪を犯した少年に対して第24条第1項の保護処分等がなされたときは、審判を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判所の審判に付することができない。
 第22条の2第1項の決定がされた場合において、同項の決定があつた事件につき、審判に付すべき事由の存在が認められないこと又は保護処分に付する必要がないことを理由とした保護処分に付さない旨の決定が確定したときは、その事件についても、前項と同様とする。
 第1項の規定は、第27条の2第1項の規定による保護処分の取消しの決定が確定した事件については、適用しない。ただし、当該事件につき同条第6項の規定によりその例によることとされる第22条の2第1項の決定がされた場合であつて、その取消しの理由が審判に付すべき事由の存在が認められないことであるときは、この限りでない。

(時効の停止)
第47条 第8条第1項前段の場合においては第21条の決定があつてから、第8条第1項後段の場合においては送致を受けてから、保護処分の決定が確定するまで、公訴の時効は、その進行を停止する。
 前項の規定は、第21条の決定又は送致の後、本人が満20歳に達した事件についても、これを適用する。

(勾留)
第48条 勾留状は、やむを得ない場合でなければ、少年に対して、これを発することはできない。
 少年を勾留する場合には、少年鑑別所にこれを拘禁することができる。
 本人が満20歳に達した後でも、引き続き前項の規定によることができる。

(取扱いの分離)
第49条 少年の被疑者又は被告人は、他の被疑者又は被告人と分離して、なるべく、その接触を避けなければならない。
 少年に対する被告事件は、他の被告事件と関連する場合にも、審理に妨げない限り、その手続を分離しなければならない。
 刑事施設、留置施設及び海上保安留置施設においては、少年(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年法律第50号)第2条第4号の受刑者(同条第8号の未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)を除く。)を成人と分離して収容しなければならない。

(審理の方針)
第50条 少年に対する刑事事件の審理は、第9条の趣旨に従つて、これを行わなければならない。

第3節 処 分
(死刑と無期刑の緩和)
第51条 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、10年以上15年以下において言い渡す。

(不定期刑)
第52条 少年に対して長期3年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が5年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を5年に短縮する。
 前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は5年、長期は10年を越えることはできない。
 刑の執行猶予の言渡をする場合には、前2項の規定は、これを適用しない。

(少年鑑別所収容中の日数)
第53条 第17条第1項第2号の措置がとられた場合においては、少年鑑別所に収容中の日数は、これを未決勾留の日数とみなす。

(換刑処分の禁止)
第54条 少年に対しては、労役場留置の言渡をしない。

(家庭裁判所への移送)
第55条 裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのか相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

(懲役又は禁錮の執行)
第56条 懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年(第3項の規定により少年院において刑の執行を受ける者を除く。)に対しては、特に設けた刑事施設又は刑事施設若しくは留置施設内の特に分界を設けた場所において、その刑を執行する。
 本人が満20歳に達した後でも、満26歳に達するまでは、前項の規定による執行を継続することができる。
 懲役又は禁錮の言渡しを受けた16歳に満たない少年に対しては、刑法第12条第2項又は第13条第2項の規定にかかわらず、16歳に達するまでの間、少年院において、その刑を執行することができる。この場合において、その少年には、矯正教育を授ける。

(刑の執行と保護処分)
第57条 保護処分の継続中、懲役、禁錮又は拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行する。懲役、禁錮又は拘留の刑が確定してその執行前保護処分がなされたときも、同様である。

(仮釈放)
第58条 少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者については、次の期間を経過した後、仮釈放をすることができる。
 1.無期刑については7年
 2.第51条第2項の規定により言い渡した有期の刑については3年
 3.第52条第1項及び第2項の規定により言い渡した刑については、その刑の短期の3分の1
 第51条第1項の規定により無期刑の言渡しを受けた者については、前項第1号の規定は適用しない。

(仮釈放期間の終了)
第59条 少年のとき無期刑の言渡しを受けた者が、仮釈放後、その処分を取り消されないで10年を経過したときは、刑の執行を受け終わつたものとする。
 少年のとき第51条第2項又は第52条第1項及び第2項の規定により有期の刑の言渡しを受けた者が、仮釈放後、その処分を取り消されないで仮釈放前に刑の執行を受けた期間と同一の期間又は第51条第2項の刑期若しくは第52条第1項及び第2項の長期を経過したときは、そのいずれか早い時期において、刑の執行を受け終わつたものとする。

(人の資格に関する法令の適用)
第60条 少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす。
 少年のとき犯した罪について刑に処せられた者で刑の執行猶予の言渡を受けた者は、その猶予期間中、刑の執行を受け終つたものとみなして、前項の規定を適用する。
 前項の場合において、刑の執行猶予の言渡を取り消されたときは、人の資格に関する法令の適用については、その取り消されたとき、刑の言渡があつたものとみなす。

↑ TOP


第4章 雑 則
(記事等の掲載の禁止)
61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

↑ TOP

[Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン][home]

2010 Fukuchi Takahiro