ありがとうエン
1998 01 04(日)晴れ
==◎今日の日程=======================
・ 家の中でごろごろ
サン・フォック村13:00→18:00ホーチミン
・ 市内をぶらぶら
不 眠
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朝5時半起床。
ハンモックに座りベトナムの時間を楽しむ。
1日は太陽と共に始まった。
2人の少年が緑色の太いパイプをトラクターに取り付けている。ト
ラクターは水を運ぶためにやってきたが、あんなに太いパイプで、あ
んなに大きな瓶に何杯も水を吸い取られては、ひとたまりもない。こ
の家1件でカラッポになったんじゃないかな。少年達は、身軽になっ
たトラクターの運転席に乗り込み、大きなディーゼル音を響かせ去っ
て行った。
太陽は私の正面、その高度は5度。辺りは薄もやに包まれ、熱くな
い。昨日私を誘ってくれた、、、
エンが呼びに来た。
「父が待っている。」
朝食の支度ができたらしい。
昨夜と同じメニュー。
キュウリで始まり、親父さんと酒を交す。
何から何まで同じ。
満足感まで同じなのだ。
私は眠くなって寝てしまった。
(写真上:勉強をするニャーと朝寝をする私。家中で眠っている
のは私だけ。エンは英語の勉強をしているし、親父は煙草をす
っている。そして、お袋さんがビデオを回している。
「がーん。」
「ショックー。」
一体、どうやってビデオを撮ったんだー。誰が教えたんだー。
私はこの映像を初めて日本で見たとき、激しいショックを受け
た。でも、撮ってくれてありがとう!)
目を覚ますと、エンが傍にいた。
彼女は私を外に連れ出した。外に連れ出すといっても、玄関のベラ
ンダだ。そして、恋人のように話し始めた。
「私は日本に行けるかしら?」
何回も同じ質問をした。私は、
「できるけど難しい。」
何回も答えた。見つめ合って話すので、不思議な気分になる。
「ご飯ですよー。」
3回目の食事。
お腹は空いていないけど食べる。
また、何から何まで同じなのだ。
ついに出発時間になった。
バイクの運ちゃん『ルイン』が迎えに来た。私は家族の1人1人
にお礼と記念の品を渡し、記念写真を撮った。
=====
12時30分。
午後の日差しが暑い。
私は村のバス停でサイゴン行きのバスを待っている。あと30分で
出発する予定なのに乗客は私1人。
「今日の午後便は取り止めだ。」
と言われるのではないかビクビクする。隣には、私をバイクで運んで
くれたルインがいる。彼には20000ドンのチップをやったので、
とても幸せそうだ。氷入りジュースと煙草をうまそうに飲んでいる。
しかし、ルインが私にしてくれた仕事量と気持ちは、20000ドン
では足りないと思う。と同時に、もし、彼が大金をもらったことを同
業者に話したとしたら、私のチップは台無しになってしまう。ベトナ
ムの人々にとってあまりに大金なのだ。彼には黙っていて欲しい。
別れの際には、家族に5ドル、父親にライター2個、エンに鏡と2
0000ドン、ニャーにペンと10000ドン、その他の家族には各
々違ったペンをプレゼントした。喜んでくれたと思う。ほんの気持ち
だけなんだ。金でも物でもないことが通じていると思う。昨夜はニャ
ーにお菓子(30000ドン分)を買ってあげた。彼女は私のことが
好きになって、一緒に日本に行きたいそうだ。また、エンの話によれ
ば、彼女の大学の授業料は20000ドン/月。宿舎代は10000
ドン/月。もし、一軒家を借りたとすると50000ドン/月。そし
て、教員のサラリーは200000ドン/月。サイゴンでも3000
00ドン/月。ただし、労働時間は週4日である。
どうも、お金の話になって申し分けないが、労働量と賃金の国家間
格差がこれ程までにあるのは許し難い。
今度はバスの中に移動した。運転手の後ろの席になった。窓からの
風が涼しい。このまま出発してくれれば申し分ない。ただ、こちらの
サイドは、日向になるんだなあ。
さっき店で払った5000ドンは、私のジュース代だけか、それと
も、
5000=2000×2(ジュース)+1000(煙草)
と計算するのだろうか?
(写真上:バスの中で写す。シートが籐でできている。しかし、
午後の日差しが厳しい。)
13時、出発。
バス料金20000ドンを払ったが、これはサイゴンまでなのか?
昨日は35000ドン払った。
14時30分。
橋を渡る。
400ドン。
14時50分。
サトウキビジュースを飲む。
やっぱり旨いなあ。
今日は1000ドン。
昨日の1500ドンはボラレていたようだ。
14時25分。
ガソリンスタンドに止まる。
14時半。
橋に着く。
14時40分。
ゲートが開き一斉にバイクが動き出す。
あの臭い音が始まった。
16時15分。
バス再出発。
18時。
サイゴン、チョロン駅に着く。
バス代は結局20000ドンだった。昨日の35000ドンは
どういう計算なのだろう?訳分からん。バスは順調に駒を進め、
18時にチョロン・バスターミナルに着いた。屋台がいっぱい有
ったので、いろいろ見てから冷麺を食べた。6000ドンもする。
とても高いと思う。
(写真上:バスの中からサイゴン市内を写す。若いバイク・タ
クシーの運ちゃんがビデオを回す私を見つけ、バスが止まる
度に声を掛ける。
「バスから降りて、後ろに乗れ!」 )
それから、バイク・タクシーで中心部に移動。
※もちろん違う運ちゃんである。
10000ドンだった。今までの中で一番安く乗った。2500
ドン/キロの計算になるが、庶民からすればたくさん払っている
ことになるだろう。運転手は盛んに時計を見ていたが、地元民は
時間で料金が決まるのだと思う。そこでは、風船やハリボテ人形
などで華やいでいた。ちょっと写真を撮ろうかと思ったけど止め
た。内容が乏しい。アディダスの店に入った。まあまあ良かった。
それから周辺をぐるぐる歩いたけど閉店ばかり。仕方ないのでア
ディダス・ウェアで帰国することを決心し、その前にハンバーガ
ー店に入って西欧の風に当たることにした。
35000ドンのハンバーガーを頼む。とてつもない金額を払
ったので、なんだか別の人間になった気がする。人間にランクを
付けている自分が怖い。私は店の2階にあるトイレで手と顔をご
しごし洗った。石鹸で洗った。3回、4回、5回と洗ううちに、
やっと奇麗な水になってきた。
外に出て、アディダスの服を買う。パンツも脱いで、全て買っ
たものに着替えた。全部新品だ。履いていたズボンとシャツは路
上のスケボーに乗った男性にプレゼントした。私がズボンを見せ
て、
「必要か?」
と尋ねると、
「うんうん。」
と答えた。アディダスの真新しい紙袋に丁寧に折り畳んだズボン
とシャツを入れ、彼と握手した。彼はとても嬉しそうだった。ズ
ボンとシャツと私も幸せだった。
彼は上半身裸だった。
午後10時。
バイクに乗って空港に向かう。もう10000ドンで乗れるよう
になった。自信をもってベトナム料金を言える。
午後10時15分、空港着。
パッキングし直してチェックイン。
空港内でお土産を買う。
午前1時10分発の便に乗る。
ベトナムよ、さようなら
1998 01 05(月)晴れ
==◎今日の日程=======================
ホーチミン01:10→08:00
ソウル12:00→13:30名古屋
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韓国の金ポ空港にいる。良く帰ってきたものだ。時計の針を2時間
進めた。これは韓国の時間だけど日本と同じなので、もう戻った気分
だ。今、岡田さんが広島行きの便に乗った。彼とはマツダのロータリ
ー・エンジンとか産業の話、私からは民泊の話をしていたら、あっと
いう間に2時間過ぎた。これも何かの御縁である。
takaのメモ帳 1月5日 |