クロッキー F 美術館

第1章 クロッキーの描き方(基礎)
はじめに

1 先生、クロッキーの描き方がわかりません
 私は中学校の先生をしていますが、子どもや保護者から「先生、勉強の仕方がわかりません」という質問をよく受けます。「勉強の仕方がわからないから成績が悪いんだ」と考える人はたくさんいますが、それは間違いです。私は毎日勉強の仕方を教えています。勉強の方法は、授業で先生や友達の話を良く聴き、黒板に書いてあることをしっかりと書き、宿題をやることです。あなたが人並み以上の成績を目ざすなら、授業で積極的に質問したり、黒板に先生が書かなかったことをノートにまとめたり、放課中に分らない友達を助けたり、自分で買ってきた問題集を解いたりすれば良いのです。これが勉強の仕方で、とてもシンプルで当たり前のことです。勉強ができないのは「方法がわからない」からではなく、先生の話を聞かない、自分の努力が足らない、学問に王道がないことを知らない、楽して怠けようとしている、からです。クロッキーも同じです。

2 あなたはクロッキーに何を望みますか
 クロッキーをしたいという、あなたの欲望を感じて下さい。その欲望は強ければ強いほど、よい結果になるでしょう。あなたが真剣にこのページを読んでいるのは、「より良いクロッキーを描きたい」という欲望の現れです。動機はそれだけで十分です。クロッキーを楽しみ、クロッキーに歓びを感じるならそれで必要十分です。しかし、あなたがクロッキーについて悩んでいるなら、あなたの本当の欲望を見つける必要があります。他に目的があるはずです。何かの練習? 何かの準備をするため? それとも、・・・? 私にはあなたの欲望はわかりません。この問題を解決しない限り、あなたは自分が理解できない、あるいは、自分が認めたくない欲望に右左させられるでしょう。自分と真正面に向き合って下さい。

右図:とにかくクロッキーが描きたくて、色が使いたくて、型にはまりたくなくて、絵具を塗りたくりたて、ただそれだけのとは言えないほどたくさんの欲望に支配されて描いた10分クロッキー(クロッキー作品群2001 Nov 24から)

3 画材の準備は簡単に
 別ページ『準備するもの』ではいろいろな画材を紹介していますが、あなたが初心者なら安価なコピー用紙(A3サイズ)と濃い鉛筆(5B)があれば十分です。あれこれ思いや悩んだり、描けない原因を画材に求めたりするのはやめましょう。さあ、とにかく描いて下さい。簡単な画材で描く、その行為がクロッキーのスタートです。

4 見たとおりに描く
 モデルをよく見たら、見たとおりに描きます。難しいことはありません。見たとおりに描く、だだそれだけです。何も見えない人は、別ページ『モデルを見る方法』をご覧下さい。もし、あなたが機械(カメラ)のように描きたいなら、石膏像や写真を準備して下さい。生身のモデルを見る必要はありません。絶対に動かない絶対的な美をもった古典的石膏像は、不完全で動くモデルより優れています。もっと確実な練習をしたいなら、石膏像を撮影した写真をもとに描くことをお勧めします。カメラという優れた古典的技術を無視、軽視してはいけません。

5 技術的な問題があるなら
 見たり感じたりはできるけれど、それを表現するための技術に問題を感じる人は別ページ『』をご覧下さい。

note
 クロッキーの描き方(方法)と目的は区別することができない深遠なテーマです。

2010年3月16日公開

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