(イ)陰を描き、立体的な光の存在を描きたい
(1)陰は感じるものであり、見るものではないことを肝に命じること
(2)陰の感じ方は無限で、たくさん感じるようにすることが先決
(3)できるだけ大きな陰を感じるようにすること
(4)複数の陰を感じ、グラデーション(階調)をつくること

上:鉛筆で描いている部分には、3種類の陰を感じている。1つは背中の筋肉(固有背筋)でおおざっぱな描き方のもの、1つは肋骨で鋭いタッチのもの、1つは乳房を感じるもので優しい曲線で描かれたもの。これらは「陰」ではないが、作家の感じ方として「陰」として3種類捉えることができればそれでよい。 |
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上:できるだけ大きな陰を感じるようにする。大きなものから小さなものへと順に追っていくが、実は、大きなものと、小さなものは、全く違う原因によってできているから、大きなものは最後まで大きく、小さなものは最後まで小さくする。 |
(5)陰の階調が適切なら、光を描く必要なない
(6)鋭く細い線で描くことも不可能である
※紙の白さが「最高の光」である
(7)したがって、描けない光を表現するために陰影を積み重ねる

上:左のクロッキーでは、ハイライトが描かれていない。
しかし、陰の階調が美しいので、ハイライトの線が勝
手に見えてくる。右も同じように、グラデーションに
注意して描いたそうだ。ところで、Yくんは描き始め
て2年目、ということだけれど、わずか1時間のゼミ
でここまで描けるようになるとは! 負けてはいられ
ない。これらはいずれも3分クロッキーである。次に
Y君が来てくれたら、さらにハイレベルな課題を提出
してくれるものと期待している。自らの課題を出せる
ことは、もっとも重要な才能の1つだと思う。
左:「陰をつけるために擦ってはいけない!」
という、杉さんの実演付き失敗談。
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