このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 物理学 2年(2000年度)です

演示実験 クルックス管
                2000 12 05(火)

 テストを終えてほっと一息。気分も新たに電流の学習を始めます。今日は1時間、Mr.Takaによる演示実験です。高電圧を発生する装置を使って、電子を飛ばしまくります。電気はマイナスの粒であることが分かれば十分です。

注意! かなりの量のエックス線が漏えいしている可能性があります

<準 備>
・ 暗 幕
・ 誘導コイル
・ 直流電源装置
・ リード線(70cmぐらいのもの2本)
・ クルックス管(十字板つき)
・ クルックス管(スリットつき)
・ クルックス管(羽根車つき)
・ クルックス管(偏向電極つき)
・ 放電管
・ 磁 石


1 誘導コイルの紹介
 大型の変圧器で、数万Vの電圧を発生させます。下の写真を見て下さい。Mr.Takaが人さし指で示している部分に高電圧がかかります。先のとがった棒状のもの、丸い皿のようなものの間に電子が飛ぶことになります。

2 理科室の暗幕を閉める

3 空中放電させる
 空気は絶縁性が非常に高いので、空中放電させるためには高電圧(3万V/cm)が必要です。そこで、前に紹介した誘導コイルを使います。この装置には、プラスとマイナスの切りかえスイッチがついているので、電子がマイナス極から飛び出していることは、ここで分かります。

 触りたいと言い出す生徒がいますが、どうぞ、その生徒の責任で触らせて下さい。有害なエックス線も照射されているので全くお勧めできませんが、実際に実験をすると、あちこちから空中放電がおこなわれ、先生は何度か痺れることになるでしょう。必ず、予備実験をして、どこから高電圧が漏れでるか、目の前の誘導コイルを使って試しておいて下さい。

4 放電している光線の中に紙を入れる
 1分以内に燃え出します。

5 暗幕を開ける

6 誘導コイルにクルックス管をつなげる
 これまでは、空気中に放電させましたが、これからクルックス管という放電管を使って実験しましょう。このクルックス管は陰極線(電子の流れ)が見やすい程度に真空になっています。中には、羽根車やいろいろな形をしたものが入っていて、さまざまな実験ができるようになっています。

 さきほど空中放電させた誘導コイルの尖った棒と丸い板は、取り外しておくか距離を十分に離しおきます。また、クルックス管につなぐリード線は十分に長いものを利用して下さい。そして、確実に接続してからスイッチを入れるようにしないと、突然、あなたの手に空中放電するので十分に注意して下さい。

7 暗幕を閉める

8 クルックス管(十字板つき)
 まず、十字板つきクルックス管を観察しました。下の写真では、激しい蛍光の中に十字形の影が映っています。これは、マイナス極から飛び出た電子は直進することを証明しています。なお、下の写真の十字形の下にクリップが写っていますが、これがプラス端子です電子はマイナスからプラスに飛びますが、この場合は、電子はマイナス極から真横に飛び出していると説明します。

6 クルックス管(羽根車つき)
 陰極線が当たると、くるくる羽根車が動いていきます。プラスマイナスを逆にすると、今度は反対向きに動いていきます。まるで、光の粒子や圧力によって回転しているようですが、実際は、羽根の温度が上昇するラジオメーター効果によって運動しています。

写真下のような形をした羽根つきクルックス管もあります。

7 クルックス管(スリットつき)
 磁石を近付けると陰極線が曲がります。曲がる方向は決まっていますが、詳細は、フレミングの左手の法則を学習するときに説明します。今日は、マジシャンのように「それでは、光を曲げて御覧に入れます。えいっ! 今度は反対方向に、えいっ!」とだけ紹介しておきましょう。


8 クルックス管(偏向電極つき)
 下の写真では分かりませんが、直流電源装置を使って、プラス・マイナスの電気に対する反応を調べます。結果はとても単純です。プラス極に引き寄せられ、マイナス極に反発します。


9 放電管
 下の写真には、4本の放電管が並んでいます。それぞれ真空の度合いが違います。空気中の放電現象は、空気の割合によって大きく異なるので、詳しい説明をしなくても楽しく観察することができます。教室の天井についている蛍光灯は、これと同じ原理で、ガラス管の内側に蛍光塗料が塗ってあり、水銀(気体)が充填されています。ネオン管も同じ原理です。
(上の2枚: 1番上と3番目に電圧をかけてみました。)



 
  

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