このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録:生物学 3年(2001年度)です

メンデルの法則
                 2001 7(短縮期間中)
                 各教室

 このページは2005年夏、4年後の当時を思い出しながら書き起こしたものです。しかし、私の手許に残されたものは当時の教科書だけで、生徒の学習プリントがありません。

授業の流れ
1 学習プリントの配付
2 前時の復習と重要単語の説明

 次の順序ですすめるとよいと思います。太文字部分は確実に押さえて下さい。
形 質

 生物のからだのや性

例1 赤い花と白い花
例2 丸い種子としわのある種子
例3 黄色い子葉と緑色の子葉

遺伝子
(DNA)
 形質を決定するもので、細胞の核にある
対立遺伝子  赤い花と白い花のように、1つの形質に対して異なる形質をもつ遺伝子。別の説明として、遺伝子には父親のものと母親のものがある、同じはたらきをするものが2つある、すなわち、遺伝子は対になっている、と考えても良い。
補足: 対立遺伝子、という言葉を教える必要はありません。

優性の法則
 子どもに現れる形質は、父親のものか母親のもの、どちらか一方に限られる。
補足: 優性の法則、という言葉を教える必要はありません。現在、両親の中間の性質をもつ子どもの例がたくさん発見されているからです。ただし、優性の法則が成り立たないことを授業で紹介することは厳禁です。中学生においては、とりあえず、優性の法則を紹介し、これから紹介するように孫の形質が3:1になることを指導すべきです。
優性と劣性 優 性:実際に現れた形質、大文字のアルファベットで表す
劣 性:(遺伝子としては存在するけれど)隠されてしまった形質、小文字のアルファベットで表す

表現型と遺伝子型
表現型:実際に現れる形質だけを記述したもの
遺伝子型:対になった遺伝子を(隠されてしまう遺伝子も)記述したもの
補足: 遺伝子型および表現型という言葉を教える必要はありませんが、混乱を避けるために指導した方が良いでしょう。下の例を読めば、明快な説明になっていることが分かると思います。


 花の色を例にとって、ここまでを復習しましょう。赤の遺伝子を(A)、白の遺伝子を(a)とします。すると、赤い花は(AA)と(Aa)、白い花は(aa)となります。さて、ここでみなさんに質問です。「赤白のうち、どちらが優性かわかりますか?」・・・そうですね。赤い色が優性です。赤や白のことを表現型、(AA)や(Aa)や(aa)のことを遺伝子型と言います。

3 親から子、子から孫へ
 ここまで説明してしまえば、あとは簡単です。図2、3にしたがって説明すれば、生徒は楽々と理解するでしょう。では、さっそく図2を見て下さい。ここには赤色と白色、AA、Aa、aaの記号が書かれています。まず、左上の赤丸を見て下さい。丸の中はAAになっています。つまり、この親は赤色の遺伝子(A)を2つ持っています。とても強そうな感じがしますね。次に、右側の親を見て下さい。この親は白色の遺伝子(a)を2つ持っています。とても穏やかな感じがしますね。


図2 親から子どもへ

 図2の親からできる子どもは、どのように組み合わせても(Aa)しかありません。つまり、赤い形質を持った子どもしか生まれませんが、隠された遺伝子として(a)が1つあります。さて、この子ども同士で孫をつくったらどうなるでしょう。図3を見て下さい。四角い緑で囲まれたものは精子や卵子を表していると考えて下さい。親の遺伝子から確認すると、赤い親は(A)だけ、白い親は(a)だけしかできませんでした。しかし、子どもは(A)または(a)、2種類の配偶子をつくることができます。そうすると、孫の遺伝子の組み合わせは、(AA)(Aa)(aA)(aa)の4通りになります。

 最後に、孫の遺伝子型に色をつけてたらお終いです。赤でしょうか、白でしょうか。考え方はとても簡単ですよ。1つでもAがある場合は赤になります。→ ここをクリックすると解答が出ます。

 これで、孫の形質が3:1になりました。

4 教科書を読む
 エンドウ豆を使ってメンデルの法則を発見した遺伝学者メンデルの逸話は感動的です。必ず全員で音読しましょう。生徒より先生が自身がメンデルの気持ちになって感動して下さい。生徒には、実験にまつわる苦労は実感できないはずですから、、、。ただし、あまり熱く語り過ぎて、生徒の練習問題の時間や知識の定着をはかる時間を奪わないように注意して下さい。

5 本時のまとめ、練習問題
 市販の練習プリントを利用したと思いますが、非常に簡単な問題しかありません。入試対策?ということでしょう。


参考資料:以下は岩波生物学辞典、第2版(1977)から抜粋、一部削除・加筆。誤った表現があるとすれば筆者の責任です。

分離の法則  1対の対立遺伝子が雑種第1代(F)で融合しないこと。さらに、配偶子を作るときに別々の細胞に分かれて入ること。その結果として、Fが3:1になる。
独立の法則  2対以上の対立遺伝子が配偶子をつくるとき、互いに独立して組み合わさること。したがって、遺伝子型AaBbのFでは、AB、Ab、aB、abの4種類の配偶子が同数ずつできる。また、単純な優劣関係が対立遺伝子の間にあるときは、Fで、9:3:3:1の形質の分離比が得られる。しかし、1本染色体には多数の遺伝子があること、かつ、同じ染色体上の遺伝子の間ではふつう連鎖がみられことから、組み合わせが独立しておこることは少ない。
優性(優劣)の法則  2つの対立する形質のうち、Fにおいて1つの形質だけが現れること。表現される形質を優性、隠されている形質を劣性と呼ぶ。しかし、現在では、両方の形質を表す場合や両親の中間の形質を表す場合も多数発見されている。さらに、Fの形質は同じでも、その形質発現に関与している酵素やタンパク質などに違いがある場合も発見されてきたので、現在は、優性の法則をメンデルの法則として考えない。

 植物雑種に関する実験(1865年)、メンデル(オーストリアの遺伝学者)

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