維管束(道管と師管)の観察実験例

 同僚のA先生から「面白い維管束の実験はありませんか?どうしても維管束の授業は盛り上がらないのですよ。」と相談を受けた私は、いい加減な返事をしました。「バケツに赤インクを入れて、ダイコンとかごぼうとか何でも良いから野菜を入れておけば、維管束のところだけ赤色になって面白いんじゃない。」

 そして、理科室前に生えている雑草、セイタカアワダチソウを引き抜き、赤いインクを入れたビーカーの中に入れておきました(写真1)。


写真1 赤インク水溶液に24時間つけておいたセイタカアワダチソウ

 翌日、セイタカアワダチソウを見ると、葉は赤色に染まっていますが、茎は緑色のままでした。そして、茎を切断すると維管束だけが染色されていることが分かりました(写真2)?。すみません。これしか写真がないのです。


写真2 染色されたセイタカアワダチソウの茎の維管束

 これに刺激を受けたA先生は、本当に野菜を買ってきて、バケツに赤インクを入れて実験を開始しました(写真3)。


写真3 赤インクを入れたバケツの中に野菜を入れて24時間放置する

 するとどうでしょう。予想通りのすばらしい結果が得られました。例えば、双子葉植物のセロリ(写真4)やダイコン(写真5)は規則正しく並んでいる維管束が一目瞭然でした。


写真4 セロリの維管束


写真5 ダイコンの維管束

 これらを包丁でスライスすれば、すらばしい標本の出来上がりです(写真6)。


写真6 スライスしたダイコンの主根

 わくわく状態になったA先生は、ネギ、チンゲンサイ、ブロッコリー、山芋、レンコン、タマネギなど、100円均一ショップに並んでいる野菜を全て購入してきたようです(写真7)。やっぱり、先生も生徒もわくわくすることが大切ですね。私は校庭に生えている雑草で満足していたので、A先生に見習いたいな、と思った維管束の実験でした。


写真7 赤いインクにつけらた野菜(植物)達

 身近にある野菜が植物であること、根・茎・葉のどの部分を食べているか知ることなど、普段見なれている食材を新しい視点で見直すことは、本当に新鮮なことだと感じました。

→ 授業記録へ戻る

↑ TOP

[→home(C) 2002-2005 Fukuchi Takahiro