このページは中学校2年理科『生物』/takaの授業記録2003です

観察5 皮 膚
              
                   2003 10 28(火) 
                   第1理科室

 体の表面は皮膚でおおわれていますが、全て同じではありません。今日は皮膚の基本的なしくみを調べた後に、簡単な実験を2つしましょう。

実験1 痛点の間隔を調べる
実験2 2点弁別テスト


授業の流れ
1 人の皮膚のスケッチ

 「今日は皮膚について調べます。いつものように5分間スケッチしてもらいますが、ポイントは『毛』『汗の出る穴』『オイルの出る穴』です。とくに、『毛』については、1本1本に専用の筋肉がついています。寒くなると、鳥肌になったり、サムボロができますが、あれですね。良く観察すると、毛のところが盛り上がっていることがわかるので、今度できた時にはよく観察して下さい。人間の場合は、寒さを防ぐために毛を立てようとしているのですが、猫などは興奮すると、ふーっといって尻尾や全身の毛を逆立てるて喧嘩の相手を威嚇します。もしかしたら、この中の誰かも同じよう髪の毛を逆立てることができるかも知れません。では、理科便覧32ページを開いてスケッチしなさい。そうそう、この筋肉の名前は毛を立てると書いて、立毛筋と言います。」

<スケッチのポイント>
・ 毛と『立毛筋』
・ 毛に隣接している『皮脂腺』
・ 汗腺
・ 表皮、真皮、皮下組織
 (皮下脂肪を含む)


(左:Aさんの学習プリント)

 
 「皮膚にはどのような感覚細胞があるでしょう。例えば、指で音を聞くことはできませんね。指で見ることはできませんね。しかし、指で温度を測定することができます。これは、ものすごい感覚神経があるということです。では、理科便覧などで調べて下さい。」

2 皮膚の感覚点

・ 人の皮膚には、以下ように4種類の感覚点がある
・ それらの点の数を調べると、痛点が1番多い
・ 「かゆみ」を感じる点は、今のところ発見させていないが、「痛点」が関係している可能性がある
1 痛点(200個/平方cm)
2 圧点(25個/平方cm)
3 冷点(20個/平方cm)
4 温点(2個/平方cm)
(からだの各部位の平均値
<説明の例>
 「痛点が1番多いようです。さて、ここで質問ですが、もし、痛点が圧点のように1cmの間に2個しかなかったらどうなるでしょう?傷みを感じなくて便利でしょうか? 違いますね。だって、指をカッターナイフで切っても、5mm切れてやっと「痛い!」と感じる訳ですから、気がついた時には、指が無くなっているかも知れません。痛点がなかったら怪我ばかりすることになります。」

3 実験『痛点の間隔を調べよう』
 「次に、痛点がどれくらいあるのか調べてみましょう。体の皮膚にはたくさんの痛点がありますが、体の部分によっては数が少なく、あまり傷みを感じないところがあります。例えば、耳たぶは少ないので採血、つまり、血液の検査をしたいときに針で穴を開けて1滴だけ血液を採ることがあります。では、1本のつまようじを使って、体のいろいろな部分を調べてみましょう。方法は次の通りです。適当に刺激していると、何がなんだか分からなくなるので、正確に1cmの線を引いてから、その上を10回刺激します。同じ強さで刺激するのですが、全部同じに痛さになってしまう人は、友達と協力してやると良いでしょう。目をつぶってやると、さらに、痛みの違いが分かるはずです。」

実験の方法
1 手の平に1cmの線を書く
2 つまようじで、その線上を10回刺激する
3 ハッキリ痛いと感じた点の数を調べる
 → まったく痛くないことはないので、あまり痛くなかったら「痛くない」とする
4 同様にして、体の他の部分を調べる

4 実験2『2点弁別テスト』
実験の方法
 皮膚の異なる2点を同時に刺激して、それらが異なる2点であることを識別できる最小の距離を測定する。
場 所 距離(mm)
4.5
手の平
41
太もも 68

(上:つまようじを使って皮膚を刺激する。幅は20mm。)

説明の例
「誰か実験台になってくれる人はいませんか?」
「では、A君お願いします。」
「みんなの方を向いて、右手を出して下さい。先生が2本のつまようじを使って同時に刺激しますから、それが1本か2本か答えて下さい。つまようじの間隔は1cmにします。理科便覧のデータによると、ちょうど1cmぐらいになるので集中して答えて下さいね。それでは、連続して5回刺激します。テンポよく刺激するので、テンポよく1本か2本か答えて下さい。」
「はい、何本ですか?」
「はい、何本ですか?」
「はい、何本ですか?」
「はい、何本ですか?」
「はい、何本ですか?」
「はい、お疲れ様でした。目を開けて下さい。答えは全て2本です。」

ポイント
・ とにかく、テンポよく刺激する
・ 全て2本同時に刺激しても、生徒は「1本」と答える
・ それを見ている生徒の顔は、本当に吃驚しているので面白い
・ 実験台になる生徒を2人以上用意しておいても面白い


(上:2本のつまようじで1箇所だけ刺激する場合。)

 「ということで、2箇所であることが分からなく距離があるのですが、その最小の距離を測定して下さい。理科便覧に答えが書いてありますが、自分の体のいろいろな部分で確かめてみましょう。」
  


◎ D君の学習プリント

(上:耳、皮膚は同じプリントでまとめた。)


評価基準
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 皮膚を丁寧にスケッチし、正確にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 皮膚への刺激が脳に伝わるまでを総合的に考えることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 2箇所以上で、痛点の間隔を調べ、その結果をまとめることができる
 B 2箇所以上で、2点弁別テストを行い結果をまとめることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 皮膚のしくみと働きを理解することができる


授業を終えて
 2点弁別テストは、演示方法によって盛り上がるので、頑張って盛り上げて下さい。目立ちたがり屋の生徒に手伝ってもらうと良いです。

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