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第2限 速さについて復習しよう!

2009 4 16(木) 第1理科室

 今日は小学校で学習した『速さ』の復習です。速さ=距離÷時間、という公式を知っている人はたくさんいると思いますが、ポイントは単位です。例えば、自転車の速さは『km/時』、風の速さは『m/秒』で表わします。これらは一般的な速さの単位ですが、この他にも『長さ(距離)』と『時間』の2つの単位を組み合わせることで、無限といえるほどに速さの単位が生まれます。また、みなさんの中には『速さの単位変換』が不得意な人がいると思いますが、今日はその練習もしましょう。

授業の目標
(1)速さとは何か考える
(2)公式『速さ=距離÷時間』を確認する
(3)いろいろな距離(長さ)の単位を調べる
(4)いろいろな時間の単位を確認する(前時の学習内容)
(5)いろいろな速さの単位をつくる
(6)状況に応じた、適切な『速さの単位』があることに気付く
(7)速さの単位変換の練習をする


図1:本日の最後の板書(階調を反転しました。画像をクリックすると拡大します。)


授業記録
1 速さとは何か? (10分間)

 授業に初めに、とても難しい問題を出しました。優等生は「距離÷時間」と答えますが、頭のウォーミングアップとして、完全正解を求めないように注意しました。教科書に書いてない、間違っていても『速さ』の本質に迫るような考え方を募集しました。下の表1は生徒の主な考えです。

表1 生徒の主な考え『速さとは何か?』

・ 時 間
・ 光
・ 物体が動いた時の空気抵抗
・ 距離÷時間
・ 走るスピード
・ 風を感じること
・ 物がヒュッ! と動くやつ
・ 音

 最終的なまとめは『ある一定の時間に進む距離を速さという』『速さ=距離÷時間』ですが、授業では次のコラムの内容も紹介しました。速さを求めるために必要なものは2つです。

コラム なぜ、距離と時間が必要なのか?

 例えば1500メートルを走る時、よーいドン! で一斉にスタートすれば、誰が1番速いかすぐに分かります。もちろん1500mという距離を測っておく必要がありますが、多少違っていても大丈夫です。ゴールに到着した順序で決めれば良いからです。しかし、これでは昔の人と比較したり、遠く離れた人と比較することができません。そこで必要なのが、正確な『距離』と『時間』です。

 まず、1500mという距離を正確に測ります。そのために定規(じょうぎ、メジャー)を使うことになりますが、それ以前に1m(メートル)という長さの基準をどうするか、それも重要な問題です。1mm(ミリ・メートル)違うだけでも、それを1500倍すると1.5m(メートル)になりますからね。1メートルの基準についても面白い話がありますが、脱線はここまでです。興味ある人は自分で調べて下さい。1秒という時間の基準も同じように面白いですよ。

2 いろいろな距離(長さ)の単位 (10分間)
 次に、いろいろな距離の単位を自由に発表させました。生徒がよく間違う答えは、「センチ」や「ミリ」です。これらは桁を表わす語句で、センチは1/100、1/1000の意味です。例えば、ミリ・メートルは1メートルの1/1000、ミリ・リットルは1リットルの1/1000になります。さて、下の表2は生徒が発表した距離の単位です。

表2 生徒が発表した『距離』の単位
 ※ 国際単位系では距離ではなく『長さ』を使いますが、授業では分かりやすさを優先して『距離』という言葉を使いました。

・ マイクロ・メートル
・ ミリ・メートル
・ センチ・メートル
・ メートル
・ キロ・メートル
・ 寸(すん)
・ 尺(しゃく)
・ マイル
・ 光年(光が1年間に進む距離を1光年とする)
・ 里(り)
・ ヤード
・ インチ
・ 海里(かいり)
※ 国際単位系は『メートル』を使います。寸、インチなどは使いません。

※ 生徒の考えを引き出す発問例
(1)「昔、日本で使っていた単位を知っていますか?」
(2)「昔話に登場する、お椀に乗った小さな男の子の話を知っていますか?」
(3)「飛行機に乗ると貯まるものは?」
(4)「宇宙の距離は何で表わす?」
(5)「ゴルフをやっている人はいますか?」
(6)「海で測るものもあるよ」

3 速さの単位 (10分間)
 「速さの単位を20個書きなさい!」と生徒に指示しました。速さの単位を作るための『時間』は前時の学習プリントに10個以上書いてあるので、『距離』との組み合わせは軽く100を超えます(10個×10個で100個)。表3は、生徒がつくった主な速さの単位です。

表3 生徒がつくった『速さ』の単位

・ km/時
・ km/分
・ m/秒
・ mm/秒
・ nm/秒「nは、ナノと読みます」
・ 寸/年
・ 歩/秒
・ マイル/日
・ cm/秒
・ 里/日 「昔の人は、歩く速さをどう表わしたか知っていますか?」
・ ヤード/分
・ 寸/時
・ 里/時
・ マイル/時
・ 光年/年 「宇宙船で旅行する時に速さは?」
・ 海里/時

4 練習:いろいろな速さの単位変換 (15分間)
 学級の実態に合わせて、その場で問題を作りました。かなり簡単なように感じると思いますが、私が実践した授業では、「なるほどー」「そうか!」「初めて知った!」などの声が飛び交いました。

問題1 60kmを1時間で走る速さは?
→ 60km/時
※ 読み方を確認して下さい!
 例はこのページに最後にあります。

問題2 カタツムリが1分で80cm歩いたときの速さは?
→ 80cm/分

問題3 ゴキブリが2秒で80cm歩いたときの速さは?
→ 40cm/秒
 (80cm÷2秒= 80cm÷2÷2秒÷2= 40cm÷1秒= 40cm/秒
※ 分子と分母は同じ数『2』で割ることができます。
※ 割り算の記号『÷』は、前の数字を上に、後ろの数字を下に置くことです。

問題4 問題3のゴキブリの分速は?
→ 2400cm/分
 (40cm/秒= 40cm×60/秒×60= 2400cm/60秒= 2400cm/分
※ 分子と分母は同じ数『60』をかけることができます。


図1:本日の最後の板書(この学級では、50m走やロケットの速さを求めました)

5 本時のまとめ (5分間)
 私から特別にまとめることはなく、生徒の自主性にまかせて書かせました。みなさん楽しく書いていたようです。


授業を終えて
 速さに関する復習は絶対に必要だと感じました。1時間たっぷり使うべきです。できるだけ視野が広がるように、日常生活の中で良く使われているものを取り上げながら、速さに関する理解を深めさせていくと良いと思います。実験はなくても、日常生活で使っている速さや速さに関する数字を取り上げることで、楽しい授業になると思います。

 単位の読み方を忘れてしまった生徒もたくさんいるので、必ず確認、板書して下さい。km時は、『キロ・メートルまいじ』『キロ・メートルパーじ』『キロ・メートルじ』『1時間ごと○○キロ・メートル』『時速○○キロ・メートル』などと読みます。私のお勧めは、『キロ・メートルじ』です。次のような公式として覚えることができるからです。

速さの単位(km/時)の読み方
速さ=距離÷時間
速さ=km÷時
速さ=km/時
速さ=km割る

 これから時間、距離、速さに関する学習が続くので、しっかり復習しておくことはとても重要です。

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