このページは、『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。


「3観点」を総括的「評定」に

1 2021年度から変わること
  2021年度から完全実施される学習指導要領(中学校)では、評価の仕方がかわります。その結果、私たち教員が行うことになる内容は、次の5点です。

(1)観点が3つになる(1つ減る)
(2)評定5は、AAA、AABが適当
(3)BBBは、評定3
(4)評定1は、BCC、CCCが適当
(5)AとCの混在は不適当
 これから自然に導かれる3つの組み合わせは、以下の7つとなる。
 AAA、AAB、ABB、BBB、BBC、BCC、CCC

 上記(1)は、2019年に中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会(第109回)でとりまとめられた『児童生徒の学習評価の在り方について(報告)』にあります。
 (2)〜(4)は、2020年3月に国立教育政策研究所が発刊した『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料(中学校 理科)』17頁から抜粋(部分)しました。
 (5)は、2019年に中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会がまとめた『児童生徒の学習評価の在り方について(報告)』の12頁にもとづいています。

 これらは公的機関が公にしたものです。遵守してください。私は、◯◯会で上記(2)と(4)を守らない「画一的な評定」にする、と決めたことを知りました。さらに、(2)と(4)を守らない不適当な評定にするよう(その根拠を明文化しないまま)職員会議で提案された学校もある、と聞いております。万一、該当される会員や学校がありましたら、直ちに公文書を読み直し、教育を歪めないようにしてください。

2 観点を評定にする場合の組み合わせ
 1の(1)〜(5)に従うと、合理的に導かれる「評定」は以下の4パターン(A〜D案)になります。評定5と評定1は動かすことができないので、統計学的に評定2〜4の組み合わせが決まります。なお、以下は私の私案です。

  A案 B案 C案 D案 根拠
-AAB 1の(2)
-AAB-ABB -AAB-ABB AAB-ABB AAB-ABB  
AAB-ABB--BBC-BCC ABB--BBC AAB-ABB--BBC-BCC ABB--BBC 1の(3)
BBC-BCC- BBC-BCC- BBC-BCC BBC-BCC  
BCC- 1の(4)
配分 2.3.5.3.2 2.3.3.3.2 2.2.5.2.2 2.2.3.2.2  

3 実際の学校現場で、どの案を採用するか
 2で紹介した4案(A〜D)のうち、理想的なものは「A案」です。もっとも幅広いことは、教育の自由度が高いことを意味しているからです。

 しかし、自由度が高いということは、教育内容とその評価の責任が大きくなるのですから、教員に相応の実力と努力が求められます。同時に、子どもや保護者にも相応の力(理解したり努力したりする力)が必要になります。したがって、もっとも無難なものは「D案」です。

 さて、あなたの現場に適しているものはどでしょう?

 これは職場で話し合って決めることです。話し合いの前に覚悟すべきことは、「どんなに教員や学校が努力しても、すべての子どもと保護者に100%理解されることはないであろう」ということです。あなたが誰かを愛しても、すべての人に100%理解されることはない、と言い換えることもできるでしょう。それは自然であり、当然です。それを理解した上で、あなたの現場にとってどれが最適なのか話し合い、A案〜D案のうちの1つを採用してください。

 また、A案〜D案以外の組み合わせもありますが、2021年現在は『絶対評価』なので、評定3を中心(最大数)とする組み合わせにしておけば十分でしょう。その規準にしたがって子どもを評価した結果、評定3より上で正規分布になったなら「すばらしい教育の成果が出た」ことを意味します。素直に、みんなで喜び合ってください。

4 お願い
 このページに大きな間違いや勘違いがありましたら、ご教示ください。よろしくお願いします。

5 観点別評価について
 日本で観点別評価が始まったのは19年前、2002年のことです。当時は4観点でしたが、2021年から3観点になりました。「なぜ、観点の数が減ったのか」という問題はさておき、私は「そもそも観点評価は不要」と考えています。是非、別ページ『観点別評価について─混乱と悲劇をくり返さないために─(2008年公開)』をお読みください。

2021年4月16日公開

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